《家庭訪問はのはじまり【完】》第14話 瀬崎さんの相談

私は、瀬崎さんに連れられ、店からし離れた職員駐車場にやってきた。

「どうぞ」

と瀬崎さんが助手席のドアを開けてくれるが、何これ!?  ドアが上に開いてる!?

「あの、これ…?」

私が戸っていると、瀬崎さんは笑う。

「先生、このタイプの車は初めてですか?」

「はい」

「気にせず、普通に乗っていただいて構いませんよ。

見慣れないだけで、普通の車ですから」

いやいや、全然、普通じゃないでしょ。

それでも、そこにいつまでも立っている訳にもいかず、その車に乗り込んだ。

すると、瀬崎さんがドアを閉めてくれる。

運転席に乗り込んだ瀬崎さんは、エンジンをかけて、意外にも靜かに走り出す。

「嘉人がね、スポーツカーが好きなんですよ。

スポーツカーなんて、燃費も悪いし、小回りは利かないし、いいところなんて全然ないから買うつもりはなかったんですけど、知り合いのディーラーがハイブリッド車があると言ってカタログを持ってきましてね。

嘉人が喜ぶならとこんな車を買ってしまいました。

親バカでしょ?」

瀬崎さんは、自嘲する。

でも、嘉人くんをかわいがる瀬崎さんは、とても素敵に思える。

「先生、とりあえず、うちで構いませんか?

後でご自宅にお送りしますから」

「はい」

なんだろう。

ドキドキする。

こんなすごい車に乗ってるからかな。

私は、こっそり瀬崎さんを見る。

前方を見ながらも、リラックスして運転している姿が、なんだか大人の男な気がした。

瀬崎さん宅に到著したが、ドアを開けられない私は、瀬崎さんが開けてくれるのを待った。

「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

車から降りようとしたら、瀬崎さんが手を差しべてくれた。

これって、摑まれって事だよね?

こんな事、された事ないから、どうしていいのか分からない。

私はおずおずと瀬崎さんの手に自分の手を重ねた。

だけど、瀬崎さんは、私が車を降りても手を握ったまま。

これって、どうすればいいの?

振りほどくのは失禮だよね?

だけど、児の保護者と手を繋いだ狀態って、アウトな気もするし。

結局、私はどうすることも出來ずに、玄関まで手を繋いだまま來てしまった。

「すみません。

帰ったばかりで暑いですが、どうぞ」

そう言うと、瀬崎さんは、ようやく手を離して、燈りを點けたり、エアコンをれたりした。

「先生、コーヒーでいいですか?」

瀬崎さんが聞いてくれる。

「いえ、お構いなく」

私が遠慮すると、

「俺が飲みたいんです。

し、付き合ってください」

瀬崎さんは微笑んだ。

今日はリビングのソファーに座るように勧められ、私はそこで瀬崎さんを待つ。

程なく、瀬崎さんがコーヒーを持ってやってきた。

テーブルに「どうぞ」と、コーヒーを置くと、し間を空けて隣に座る。

「先生、すみません」

ん?

私はコーヒーを混ぜていた手を止めて、顔を上げた。

すると、隣の瀬崎さんと間近で目が合い、慌てて逸らす。

「あの、何がでしょう?」

私はコーヒーを見つめながら、尋ねた。

「嘉人の事で相談なんて、噓です」

「え?」

私は、思わず、また顔を上げてしまった。

「今日、一緒だった學年主任さんと

お付き合いされてるんですか?」

私は、ブンブンと首を橫に振る。

「ただの同僚です」

それがどうしたんだろう。

「よかった。

2人でいらっしゃってたから、もしかして付き合ってるのかなと思って、嫉妬してしまいました」

え?

「それはどういう…」

「分かりませんか?

神山 夕凪こうやま ゆうなさん、あなたを好きだと言う事です」

「え?  あの…」

「初めて學校でお會いした時から、気になってました。

 でも、私は結婚してましたし、そういうは持ってはいけないと抑えてました。

ですが、これは嘉人も知りませんが、妻はずっと浮気を繰り返してました。

先生は気付いていらっしゃいますよね。

妻も嘉人と同じADHDだという事」

これは、なんて答えればいいの?

    人が読んでいる<家庭訪問は戀のはじまり【完】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください