《家庭訪問はのはじまり【完】》第23話 ご機嫌

私はふわふわ夢見心地のまま、シャワーを浴びた。

武先生にキス…された?

おでこだけど。

私が、回らない頭でのろのろと寢支度をしていると、まもなく10時半という頃、攜帯が鳴った。

あっ!  瀬崎さんだ!!

私は一瞬でご機嫌になり、電話に出る。

「もしもし?」

『こんばんは』

「こんばんは。

ふふっ」

『ん?  夕凪、ご機嫌?』

「うん。嬉しいから」

『何が?』

「瀬崎さんが電話してくれた事」

『くくっ

どうした?

素直過ぎて怖いんだけど』

「ええ!?  ひどい!!

私はいつも素直ですよ〜」

『もしかして、夕凪、酔ってる?』

「そんな訳ありませんよ。

ほんのちょっとしか飲んでませんもん」

『うん、そうか、そうか。

ほんのちょっとは、飲んだんだね?』

「うん」

『楽しかった?』

「うん」

『誰と飲んだの?』

「あのね、武先生にわれたんだけどね、2人で行ったら、瀬崎さんが嫌がるかなぁって思ってね、2年生の森先生と坪井先生もって4人で行ったの」

『夕凪、俺の事、考えてくれたんだ』

「うん。

前に武先生と2人でお出掛けしてしくないって言ってたでしょ?」

『ああ、言った。

覚えててくれてありがとう』

「ふふっ

どう致しまして」

瀬崎さんにありがとうって言われちゃった。

ふふっ

嬉しい〜!!

『夕凪、明日は、お休み?』

「うん」

『何してるの?』

どうしよう?

武先生の事、言うべき?

『夕凪?  どうした?』

「あのね」

『うん。』

「今日、帰り際にね、武先生に言われたの。

武先生、先週、お誕生日でね、そのお祝いに明日お誕生日デートしてくださいって」

『……夕凪、行くの?』

瀬崎さん、怒った?

「あの、斷ったんだけど、明日10時に迎えに來ますって……」

『……斷りきれなかったって事?』

「……うん。ごめん」

『ふぅ…』

電話の向こうから、瀬崎さんのため息が聞こえた。

瀬崎さん、怒ってる?

『どこに行くかは、分かってる?』

「ううん」

『今から、斷るのは無理?』

「……うん」

『じゃあ、行き先が分かったら、連絡して』

「うん」

『今日は、嬉しかったよ』

「え?  何が?」

『夕凪が、俺からの電話を嬉しいって思ってくれてる事が分かったし、俺のために武先生と2人にならないように考えてくれただろ?

夕凪が俺の事を考えてくれるの、すっごく嬉しい』

「そんな…こと… 」

『そんな事じゃないよ。

こんな曖昧な関係だけど、俺の想いは通じてるんだなって思えた。

夕凪、ありがとう』

「うん」

『じゃ、また明日。

  夕凪、おやすみ。大好きだよ』

「おやすみなさい」

ふふっ

瀬崎さんにありがとうって言ってもらっちゃった!

嬉しい!

でも…

はぁ………

電話を切って、私は大きなため息を吐く。

明日、どうしよう?

武先生、本気?

あれ?  

でも、木村先生、6年も前からずっと片思いしてたって、言ってなかった?

なのに、なんで私?

変だよね!?

また、からかわれた?

あ、でも、おでこだけど、キス…されたし。

ああ、もう考えても分かんないから、今日は寢ちゃおう!!

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