《家庭訪問はのはじまり【完】》第24話 武先生とデート?

翌朝、私はしゆっくりと8時に起きた。

二日酔いは…うん、大丈夫そう。

軽く朝食を摂り、洗濯をし、支度を整える。

と言っても、武先生相手にあまりおしゃれをすると勘違いされそうなので、ギンガムチェックのブラウスにネイビーのスカンツという學校にも來ていく普段著をチョイスした。

ただ行き先が分からないので、化粧だけは日焼け止めを兼ねて、念りにする。

今日1日は、武先生のお誕生日をお祝いする。

だけど、最後には、きちんとお斷りしよう。

私には好きな人がいますって。

 

10時

玄関のチャイムが鳴る。

私はバッグを持って、玄関を開けた。

「おはようございます、夕凪先生」

「おはようございます」

そこには、ネイビーのシャツに白パンツ、アイボリーの涼しげなジャケットを羽織った爽やかコーデの武先生がいた。

イケメンで長で爽やかコーデ。

かっこいい以外の何でもない。

なのに、私は普段著。

チョイス、間違えたかな?

でも…

ま、いっか。

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「あの、どこに行くんですか?」

私は、車に乗ってすぐに聞いた。

「海…とも思ったんだけど、今日は暑いから、屋の方がいいかなと思って。

夕凪先生は、どこか行きたいところある?」

逆に聞き返されてしまった。

「いえ、特にありませんけど」

「じゃあ、映畫は?」

武先生は、いつものように優しく微笑んで言う。

「はい、武先生のお誕生祝いですから、武先生の行きたいところでいいですよ」

私が答えると、

「俺の行きたい所は、夕凪先生の行きたい所なんだけど」

と言われてしまった。

「えっと、それは… 」

私が返事に困ると、

「くくっ

急にこんな事、言われても困るよね。

でも、俺は、夕凪先生の笑った顔が見たいんだ。

今、夕凪先生の好きそうなディ◯ニーの映畫がやってるから、まだ見てなかったら、どうかな?」

と言われた。

「あ、それ、見たかったんです!」

思わず、私が答えると、武先生は、

「よかった。

じゃあ、行こう」

と嬉しそうに笑った。

どうしよう。

こんなに嬉しそうにされると、この後斷りにくい。

武先生は、そのまま隣町のショッピングモールに併設されたシネコンに連れてきてくれた。

私は、お手洗いに向かい、瀬崎さんに現在地と映畫の時刻をメールする。

映畫までは、し時間があるからと、武先生にわれてモールのカフェにった。

私たちは向かい合わせに座り、お茶を飲む。

「武先生は、ほんとにあんな映畫でいいんですか?」

私は心配になって尋ねる。

だって、ディ◯ニーだよ?

どう考えても、大人の男の人が見たい映畫じゃないでしょ。

「"あんな映畫"は、ないでしょ?

俺は、結構、ファンタジーも好きだよ。

それに見るのは字幕だし。

英語教師としては、ヒアリングの練習にもなるし、一石二鳥の映畫だよ」

「ああ!

武先生、英語科でしたね」

「ええ。

もしかして、忘れてた?」

武先生は、笑う。

「忘れてませんよ〜

普段、意識してないだけで。

だって、2組さんの英語の授業、とっても楽しそうですもん」

そう、普段1組はALT外國語指導助手が英語の授業をし、擔任は補助的な役割でしかないんだけど、2組さんからは、ALTの先生と武先生が楽しそうに英語で會話してる聲が聞こえてくる。

「どうして武先生は、英語、話せるんですか?」

ずっと不思議だった事を聞いてみる。

「ああ。

俺、帰國子だから」

「え!?」

「くくっ

そんなに驚く事?」

武先生は楽しそうに笑う。

「驚きますよ。

私なんて、海外旅行も行った事ありませんよ」

「そうなの?

じゃあ、今度、一緒に行く?

するよ」

そう言われて、私は慌てて首を振った。

「いえ!  それは!」

「ええ ︎

そんなに思いっきり否定しなくても。

仕方ない。

楽しみは、新婚旅行まで取っておこうかな」

武先生は、さっきからクスクス笑ってる。

もう!  また、からかってるんだ。

「武先生!

そうやって、私をからかって遊ぶのは、やめてくださいって、言いましたよね?」

私がむくれると、

「だから、からかってないって言ったよね?

俺は、ずっと本気なんだって。

昨日、分かってくれたと思ったのに。

もう一度、した方がいい?」

もう一度って、昨夜のをもう一度!?

私は、慌てて首を振る。

「そんなに力いっぱい否定しなくても。

傷つくなぁ」

そう言いながらも、武先生は笑ってて。

だから、やっぱり本気だとは思えなくて。

「そろそろ、行こうか」

武先生に促されて、私たちは再び映畫館へ向かう。

「お茶飲んだばかりだけど、飲みどうする?」

売店のメニュー表示を見ながら、武先生が尋ねる。

「んー、ポップコーンとオレンジジュースにします。

武先生は?」

「じゃあ、俺はコーラとポップコーンにしようかな」

「了解です!」

私はそう言って、売店の列に並ぶ。

さっき、映畫のチケットを買ってもらったから、これくらいは出さなきゃ。

武先生のお誕生祝いなんだし。

なのに、武先生は私の隣に並んでる。

「武先生、ここは私が出しますから、その辺で待っててください」

だけど、武先生はにっこり笑って言う。

「夕凪先生のそばにいたいんだ。

ひとりで待ってろ、なんて寂しい事、言わないでくれる?」

これは、なんて返せばいいの?

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