《婚約者が浮気したので、私も浮気しますね♪》03
婚約破棄の宣言をされてから1か月経ちますが、生憎と未だに婚約破棄は整っておりません。
約2年間ほどではありますが領地間でのやり取りもありましたし、貴族というのは何かと面倒ごとが多いのでございます。
そう、私のせいではないのですが、婚約破棄になってないのは私がごねているせいだ、と思っていらっしゃる方々が約2名ほどいらっしゃいます。
ダニエル様とパメラ様でございますわね。
「ミスト!お前にはほとほと呆れた!この度の所業、許されるものではない!パメラの命を狙うとは何てなんだ!」
「とおっしゃられましても」
何のことか思い浮かばないのですが、もしかしてあれの事でしょうか?
パメラ様が前が見えないほどの本を抱えて階段を下りようとしていたので危ないですよ、と聲をかけようと思った瞬間、パメラ様が足をらせて階段を落ちていってしまったという事件がつい一昨日ございましたわね。
正直、私は何もしていないので忘れておりました。……パメラ様、足首に包帯を巻いていらっしゃいますが3段程度の階段とはいえ落ちた時に足をひねったのかもしれませんね、お気の毒ですこと。
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それにしても、治癒の魔法をかけてもらえばよろしいのに、どうしてそのままにしているのでしょうか?
捻挫程度でしたらそれほど高くない金額で治癒していただけますし、それこそ醫務室に行けば校醫の先生がしてくださると思うのですけど、もしかして敢えて直していらっしゃらないのでしょうか?
ダニエル様へのアピールにしても賢くない選択ですわね。
それにしてもたかだか3段程度の階段で命を狙うとは、いささか大げさなのではないでしょうか?
いえ、打ちどころが悪ければ確かに危ないのでしょうけれども、ダニエル様とパメラ様は相変わらず大げさでいらっしゃって困ってしまいます。
「いいんですダニエル様っ私がきっと、ミスト様よりダニエル様にされていることが気にらないから、きっとだから背中を押したんです」
「そのような記憶は一切ございませんが」
「パメラっなんて慈悲深いんだ!それに比べて…ミスト!お前は悪魔のようなだな!」
悪魔ですか?巫長にまでなりかけたこの私に対して悪魔とおっしゃるのは全人類でもダニエル様達だけなのではないでしょうか?
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「今回は証人がいるんだ!パメラが階段から落ちた場所にお前もいたという証人がな!」
「はあ、そうですか」
「言い逃れが出來ると思うなよ!」
それって、私はいたけれども特に何もしていないとおっしゃってた人たちですわよね。自分たちに都合のいい部分しか聞こえない系の方々なのでしょうか?
困ってしまいますね。
「言い逃れも何も、パメラ様が勝手に転んだのであって、私は何もしておりませんのよ?むしろ本をたくさん抱えていては危ないですよ、と聲をかけようと思っていたぐらいですもの」
「ふざけたことを言うな!お前でなくて誰が背中を押すというんだ!」
「ですから、勝手に落ちていったのですが」
「黙れ!言い逃れもそこまでにしてもらおうか!」
「ダニエル様いいんですっ、このケガだって大したことありませんし、私はいいですから」
「パメラ、こんなにまで慈悲の心を向けるなんて君こそ聖だ」
その言葉は聞き捨てなりませんね。
「お言葉ですが、簡単に聖だなどと口にしないでいただけますでしょうか?」
「何?」
「聖、聖人という呼び方は偉業をし遂げた方々に死後・・贈られる稱號でございます」
「そ、そんなことはわかっている」
「では今のお言葉を撤回していただけますね」
「……うるさい!」
ダニエル様はそう言ってパメラ様の腰を抱くと、足早に立ち去って行ってしまわれました。
聖だと言った言葉の撤回はなさいませんでしたね、困りました。
神殿の関係者としましては、一刻も早く撤回してしいのですが、「一度口から出た言葉は戻らない」という格言通り、今この場にいらっしゃる方々の目は冷たくダニエル様とパメラ様を見ておられますね。
「なんですのあれ、信じられませんわ」
「本當に、むしろこちらが注意する前に勝手に転んだのですからいい迷というものですわ」
「それにあの場で治癒をしようとなさったミスト様を、拒絶したのはパメラ様だと言いますのに、なんということなのでしょうね」
そうなのです、私も治癒の魔法を使うことが出來ますので、あの時足首をくじいたと思われるパメラ様の手當てをしようと思ったのですが、拒絶されてしまったのでございますよね。
あの時は理由はわかりませんでしたが、もしかしたらケガをした姿でダニエル様に訴えるためだったのかもしれません。
そう考えると狡猾な方でいらっしゃいますね、パメラ様。
それにしても早く婚約破棄になりませんと毎日のようにこんな茶番が繰り広げられて、いい加減私も疲れてきてしまいました。
ああ、癒しがしいですわね。
* * *
「ミスト」
「まあお兄様、お帰りなさいませ」
「ああただいま。し話があるから書斎まで來てもらってもいいかな」
「もちろんですわ」
お兄様からのお話なんて珍しいですが何でしょうか?十中八九婚約破棄のことだとは思いますが、お父様ではなくお兄様なところがミソですわよね。
これがお父様でしたら、いよいよ婚約破棄かと思うところなのですが、お兄様ですとしそれが弱いと申しますか…。
そんなわけで書斎に來ましたが、お兄様は中々お話を開始してくださいません。積み上げられた書類に目を通している作業は確かに大切なのでしょうが、これでしたら後ほどお呼びになってもよかったのではないでしょうか?
「あの、お兄様。お話というのは?」
たっぷり30分は待ったと思いますので聲をかけてみます。
「あ、ああ…すまない。すっかり仕事に夢中になってしまっていたな」
「そのようですわね」
「話というのは、まあなんだ。神殿に戻ってからの事なんだが、お前はヨハンと結婚する気があるのか?」
「え?」
ヨハン様と結婚なんて考えたこともございませんでした。確かにい焦がれておりますし、結婚が止されているわけでもありませんので、実際は可能なのでしょうけれども、そのようなことすっかり失念しておりましたね。
「え?じゃないだろう。あんだけ神殿に居たいヨハンと離れたくないって泣いてたくせに…。僕としては賛なんだけどヨハンは今、冒険者について首都の外に出ることも多いだろう?妹を言い方が悪いが突然寡婦にするような可能のある男の嫁にするのもし気が引けてしまうんだ」
「考えすぎですわ」
本當に、考えすぎですわよね。
そもそも、けっ結婚だなんて話が飛躍しすぎですわ。まだ告白もお付き合いもしておりませんのに、お兄様ってばどうしてしまったのでしょうか。
「お兄様、私はヨハン様を見ているだけで十分なのでございますもの、結婚どころかお付き合いなんていうことも考えておりませんでしたわ」
「そ、そうなのか?だが年頃のの子なのだから、そういうことも考えるだろう?」
「婚約がございましたので、婚約者と結婚するものだと思っておりましたわ。もっともそれもなくなりそうですけれど」
「そうだな、それに関しては父上も盡力なさっている」
「それに、寡婦になるだなんて不吉なことをおっしゃらないでくださいませ。冒険者にお付き合いなさっているとはいえ、ヨハン様は危ないところにはまだ行ったことはないとおっしゃっておいででしたわ」
「そうなのか?」
「ええ、冒険で行った場所のことを聞かせていただきましたけれども、それほど危険な場所のようにはじられませんでした。もっとも私を驚かせたくなくて、敢えてそうおっしゃっていただけかもしれませんけども」
「それは、ヨハンらしいというか」
「ヨハン様は本當に素晴らしい方でいらっしゃいますもの」
「まあ結婚する気がないのなら、わかった。俺の方からもそう言っておこう」
「はい?」
「いやな、司祭殿からヨハンとミストを結婚させてみてはどうかという手紙が屆いたんだが、いかんせんこんなことの最中だろう?お前の気持ちがどうなのかと思ってな」
「なっ」
司祭様、なんてことをしてくださるのですかっ。普通そういうのは私に直接尋ねるものなのではないのですか!?あ、でも今は一応侯爵家の娘ですので家の者に尋ねるのも間違ってはいませんわよね。
ああもどかしいですわっ。これだから貴族社會というのは面倒でいけませんわ。
「お兄様、あの」
「いや、いいんだ。そうだよな、こんなことが起きてる最中に他の男と結婚だなんてお前が考えているわけもないしな、すまない」
「いえ、確かに考えてはおりませんでしたけれども」
ヨハン様をお慕いしているのに間違いはないのですよ!?返答の仕方では私がヨハン様に気がないと思われてしまうのではないでしょうか。
「…お兄様、そのお返事は私の方から司祭様にさせていただきますわ」
「いやしかし」
「さ せ て い た だ き ま す わ」
「そ、そうか」
笑みを浮かべて再度言えばお兄様はコクコクを頷いて快諾してくださいました。
それにしても、司祭様は急に何を言い出しておられるのでしょうか?私とヨハン様が結婚だなんて急展開すぎて脳みそが追い付きませんわ。
さて、早速というべきかはわかりませんが、神殿にやってまいりました。司祭様にお返事をお伝えするためでございますわ。
けれど…。
「お出かけですか?」
「はい、王宮に行っていらっしゃるのでお戻りは夕刻ごろになります」
「そうなのですか、わかりましたわ」
では待たせていただくことにいたしましょう。久しぶりの神殿ですので散策をするもよし、治癒活に參加するもよしですわね。
我が國におかれている神殿の特徴と致しましてはあちらこちらに噴水がある事でしょうか?これはこの國の水源がかなことを象徴しております。その中でもお気にりなのは生命の神の像がある中央広場の噴水でございます。
お気にりの噴水の前に行くと、なんとヨハン様がいらっしゃいました。そういえばヨハン様とここでお會いすることが多いような気がいたしますわね。
ヨハン様もこの噴水がお好きなのでしょうか?
「ヨハン様」
「ああミスト様、今日もおいでだったのですね」
「はい司祭様にお話がありまして參りましたの」
「司祭様に、ですか」
あら?なんだか何か言いたそうなお顔でいらっしゃいますわね。
「ヨハン様、司祭様がどうかなさいましたの?」
「いえ、し…。もしかして私との結婚のことでいらっしゃったのでしょうか?」
「え!」
「…やはりそうなのですね。おかしなものです、神殿もさぞや必死なのでしょう。次こそはもうミスト様を手放さないようにと。迷な話ですよね」
「めい、わくですか」
「ええ」
わ、私との結婚はヨハン様にとって迷なのですね。結婚する気はありませんでしたが、こうして迷と言われてしまうとショックですわ。
「それにミスト様のお心のことを全く考えていないではありませんか。婚約破棄を迎えようとしている最中だというのに次の結婚の話などもちだして」
「いえ…大丈夫ですわ」
心の中は全然大丈夫ではありませんけれども!
迷ということは、私はそう言った対象では一切ないということなのでしょうか、ど、どうしましょう。
そうなってしまいますと私の想いも邪魔になってしまう可能がございますよね。
想う事すら許されなくなってしまったら私はどうしたらよいのでしょうか。行き場のなくなってしまうこの想いはどうしたらよいのでしょうか。
「それに相手が私などではミスト様がお気の毒というか」
「まさかそんなことございませんわ!」
あ、咄嗟に大聲が出てしまいました。はしたないですわね。
「ミスト様はお優しいですね」
「そんなことはございませんわ。ヨハン様こそお優しくていらっしゃいます」
「私ですか?私など優しくなんてないですよ。心に想う人がいても何もできないような臆病者ですから」
「想う人がいらっしゃるのですか…」
正直ショックで今にも倒れてしまいそうですけれども、ここは気合で踏ん張りませ、私!
「そ、その方はどのような方なのかお聞きしても?」
「そうですね、努力家で泣き言を言わないで一生懸命な可らしい方です。それこそまさに神にされるにふさわしい方なのではないかと思っておりますよ」
「そう、ですか」
それって確実に私ではありませんわよね。泣き言を言いまくっておりますもの。失ですわ。
あ、もしかして冒険者仲間の方のどなたかなのでしょうか?きっとそうに違いありませんわね、私のような世間知らずよりも、きっと魅力的な方に違いありませんわ。
「その方とうまくいくといいですわね」
ああ、心にもないことを言ってる自信がありますわ。
「いえ、その方は今大変な時期ですので、私にできることなど話しを聞いて差し上げることぐらいなんです」
「そうなのですか。けれどもきっとその方はヨハン様に救われていると思いますわ。私がその方ならヨハン様にお話を聞いていただけるだけでうれしいですもの」
「そうでしょうか!」
「ええ」
ああ、もうそんなに嬉しそうになさって…。余程その方のことがお好きなのですね。もう決定的失ですわ。
でも構いませんわ。元々片思いなのですから心の中で想うことぐらい自由のはずですわ。
「その方とはいつお知り合いになったんですか?」
「神になる前です。まだいころだったのですが、あの時からお可らしく、今思えば私の初だったのかもしれません」
「初ですか」
私もヨハン様に初をいたしましたわ。
「長するにつれだんだんと自覚をしていったのですが、ミスト様もご存知の通り母が亡くなってしまい私は神殿に。もうその方とお會いすることもないと思っていたのですが、しばらくしてまたお會いすることが出來るようになったのです」
「それはきっとご縁があるというものなのでしょうね」
羨ましいですわ。
「けれども、ここ最近その方の周辺では々心穏やかではいられない出來事が続いてしまいまして、私が何かの一助でもできればと思いこうして思い悩んでいるところなのですよ」
「そうなのですか、きっとそのことをその方にそのままお伝えになればよろしいと思いますわ。きっとその方もヨハン様のお心づかいに謝なさいますもの」
ものすごく羨ましいですわね。
「そうでしょうか?」
「ええもちろんですわ」
「……では、ミスト様。私は」
「ミスト様、失禮いたします。司祭様がお戻りになられました」
「あ、はい。…ヨハン様、お時間を頂きありがとうございました。それでは失禮いたします」
「え、ええ…」
はあ、失…失ですわあ。
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