《婚約者が浮気したので、私も浮気しますね♪》04

「レイン、待たせてしまっていたようですまないな」

「いいえ司祭様、おかげで気が付くことが出來ましたので問題ございませんわ」

「気が付くこととな?」

「ええ……」

私が失しているということにですが。

「して、急に訪ねて參ったのはそなたの結婚の事であろう?」

「はい……」

「どうした、うかない顔をして。確かに急な話ではあったが、悪い話ではなかろう?」

司祭様のその純粋な想いが今は心に突き刺さりますわね。

「司祭様、ヨハン様には想う方がいらっしゃるようなのですわ」

「うむ、であるからして、そなたとの結婚を」

「ご存知ですのに結婚話など持ち上げたのですか!?そのような非道な真似をなさる等、ヨハン様のお心をお考えになってはどうなのでしょうか!」

「否、考えた末にそなたとの結婚を」

「いいえ、いいえっ!私のような者に縛り付けてはヨハン様がお気の毒で仕方がございません!ヨハン様の想い人と添い遂げることこそがヨハン様への最良の選択となりましょう!」

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「……そ、そうか」

「そうなのですわ!」

ヨハン様はもう貴族ではないのですから、義務での結婚などしなくてよいのですもの。

「おかしいのう、儂の見立てではルイはレインを好いているように思っておったのじゃがの」

「それはありませんわ。結婚話など迷だと言われてしまいましたもの」

「ふむ」

ああ、改めて自分で言うと落ち込みも倍増というものですわね。

司祭様は首をひねって出されたお茶を飲んでし考えているようですが、ろくなことを考えてはいなさそうですよね。

「まあ結婚の話は確かに早かったかもしれぬがの、神殿に戻った際には結婚もあると考えておいてくれ。もっとも、そなたの場合蘇生リザレクションの関係で白い結婚を貫いてもらうことになるのであろうがの」

「そうですわね。それですと、同じ子の蘇生リザレクション使いとの結婚になりますでしょうか?」

「うーむ、それでもいいのだが。今年齢の釣り合うものが居らぬであろう?」

「確かに、男に蘇生リザレクション使いはないですものね」

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「じゃから、ルイであればそういうところをくみ取ってもらえると思ったのじゃがな、上手くいかぬものじゃ」

「ヨハン様に負擔をかけるのは良くないですわ。それにヨハン様には想う方が……うぅ」

あ、思わず涙がこぼれてしまいました。

「レインよ、ルイを好きなのであろう?」

「好きですわ!でもこれは私の片思いですのでそれをヨハン様に押し付けるような真似をするつもりはございませんの」

「ああ、そのように泣いてしまっては目が溶けてしまうぞ?」

「ぐすん。司祭様、私はどうしたらよいのでしょうか?」

「とりあえずは、無事に婚約を破棄してこの神殿に戻ってくることじゃろうな」

「そう、ですわね。それがないと始まりませんものね」

そうでしたわ。まだ宙ぶらりんになっている婚約破棄の話をどうにかしませんと、前にも後ろにも進みませんものね。

そもそも、私がこのように思い悩む原因がダニエル様の浮気にあるのですから、それ相応の報いをけていただかなくては、気が済まないというものなのではないのでしょうか?

お母様ではありませんが謝料をたっぷりいただいて……。

いいえ、そうですわね學園での立場をより一層悪いものにさせていただきましょうか?私がいじめを行っているという噂を流していらっしゃるんですもの、実際にいじめをけたらどうなるか見ですわね。

ああ、こんなことを考えては巫失格かもしれませんけれども、今の私は貴族令嬢ですから許されますわよね。

さて、早速明日から実行いたしましょう。

まずはあからさまな無視ですわよね、嫌みも追加しておかなければなりませんし、この2年間で培った貴族令嬢のスキルを思う存分発揮させていただきますわ。

翌朝から早速いじめを開始しようと思っております。リーン様達にもお話したところ、よろこんで協力してくださるとのことですわ。

「まあ皆様覧になって?雌貓が朝から堂々と學校にってきましたわよ」

「あら本當ですわ、けれど雌貓ではなく泥棒貓の間違いではございません事?私達もうかうかしていては何を盜まれてしまうか分かったものではありませんわ」

「本當にいやですわねえ。これだから躾のなっていない下等なは困ってしまいますわ」

あらぁ、私の出番がありませんわね。流石は長年貴族令嬢をなさっている皆様ですわ、私のセリフがありませんわ。

「なんなんですか、私のことを言ってるんですか?」

「あらいやですわ、自覚がおありなのかしら?」

「リーン様、人は図星を刺されると痛いそうですわよ」

「ジャンヌ様ってば、泥棒貓を人間扱いしては貓が可哀そうでしてよ」

ほほほ、と扇子の下で笑う3人の楽しそうな事と言ったらありませんわね。

「っ!ミスト様の差し金ですね!そうやって人に言わせて楽しいですか?最低です!正々堂々といってきたらどうなんですか!」

「……あいにくですが、言葉の通じない貓と話す気はありませんのよ」

私も皆様に倣って扇子で口元を隠して微笑みを浮かべて言えば、パメラさんは顔を真っ赤にして泣きながら走り去ってしまいました。

それにしても、貴族令嬢として走って行するのはよほどの時のみと習ったのですが、今回はよほどのことが起きたのでしょうか?

さて、次はきっとダニエル様を連れて教室に乗り込んでいらっしゃるのでしょうから今度は無視をするということでよろしいのでしょうか?いじめって意外と難しいですわね。

「ミスト!お前は朝からパメラをめたそうじゃないか!」

「……」

やっぱりいらっしゃいましたわね。行パターンがお決まりになってきてますわ。わかりやすくてよいのですが。

「こんないたいけなパメラをよくもめられたものだなこの魔め!今日という今日は許さないぞ!」

「……」

「おい!なにかいったらどうなんだ!」

「…今日は犬がよく吠えてますわねえ、皆様これではうるさくて仕方がないと思いませんか?」

「「「本當に」」」

「なっ!貴様!ふざけるな!」

「きゃぁっ!」

ダニエル様が拳を振り上げてこちらに襲い掛かってきますので、オーバーアクションで怯えて見せれば、教室にいらっしゃった男子生徒の皆様が制止してくださいます。

暴力に訴えるなんて最低ですわよね。

「なにをなさいますのダニエル様」

「うるさい!そのふざけた口を黙らせてやる!」

「お、恐ろしいですわ。こんな方が私の婚約者だなんて信じられませんわ。一刻も早く婚約破棄になればよろしいのに」

「それはこっちのセリフだ」

「……パメラ様も見ているだけで止めないなんて、最低ですわよね。もしかしてこのまま私が毆られて、傷が殘るのを期待なさっていらっしゃったのでしょうか?信じられませんわ」

こういうのは言ったもの勝ちだとロベルタ様がおっしゃってましたので先に言っておきましょう。

「なっそんなわけないじゃないですか!私は心の濁り切った貴方とは違うんです!」

「まあ!巫長にまでなろうとしていた私の心が濁りきっているなんて、あんまりな言い様ですわね!神殿に対する侮辱もいいところですわ!」

実際のところ、今の私では巫長になれるかわかりませんけれどもね。

に目が曇ったとでも申しますか、ヨハン様の想い人に対する嫉妬心がないわけではありませんもの。

なるほど、は盲目というのはこういうことを申しますのね。けれども私と致しましてはヨハン様の路の邪魔をする気はまったくありませんし、やはりパメラ様とダニエル様の行に関しては、理解できかねてしまいますわね。

「うるさい!侯爵家の令嬢で神殿にコネがあるから婚約してやったというのに、俺の役にも立たずに、それどころかパメラをめるなど言語道斷だ!」

「まあっ」

神殿にコネがあるから利用しようとなさっていたのでしょうか?

確かに神殿に懇意にしている人がいれば、優先的に治療をけられたりと、何かと都合がよいのは確かですが、そんなことのためにこの私と婚約したなんて信じられませんわ。

これは我が家だけではなく神殿への侮辱です。

「今のお言葉、即刻取り消していただけませんでしょうか」

「はんっ、なんだ事実だから勘にでもったか?巫長なんて言われて図に乗ってただけのを嫁に貰ってやろうなんて家はないだろう、なんたって白い結婚を貫かないといけないんだからなあ」

「だから何だというのですか」

「だから?だから俺はこうしてパメラをしていると言っているんだ。ることもできないなど意味はないからな」

「なんというっ」

下劣なっ。このような男がいるからこそ巫子は白い結婚を義務付けられてしまうのですわ。

「ダニエル様、今回の発言も家に伝えさせていただきます。いいえ、神殿にも伝えさせていただきますわ!」

「好きなだけ言えばいいだろう、所詮自分一人では何もできないなんだからな」

「っ!」

事実なだけに何も言い返せませんわね。

結局はチャイムが鳴ってその後は授業となってしまいましたが、私のにはもやもやとしたものがくすぶるのでございました。

全ての授業が終わってすぐに私は帰宅すると、家にいたお母様に今日のことをお話いたしました。

もちろんお母様はお怒りになり、いつかのように悪いお顔になってしまいましたが、私には優しい笑みを向けて、神殿にも伝えてくるようにとおっしゃってくださいましたので、私は著替えて神殿に向かうことにいたしました。

お兄様のお話ではもうすぐ婚約破棄が出來るとのことなので、この神殿に還れる日ももう間もなくのこととなりますでしょう。

神殿につきますと司祭様に取り次いでいただくようにお願いいたしましたが、今日もお出かけをなさっているようです。相変わらずお忙しい方でいらっしゃいますわね。

私は時間つぶしと致しまして中庭を散策してみることにいたしました。

ここには私が育てた薬草が多くありまして、今もしく長しているのを見るに、皆様が私の仕事をちゃんと引き継いでくださっているのだと、嬉しくなってしまいます。

「……はあ」

それにしても、ヨハン様の想い人というのはどなたなのでしょうか。きっと私などよりもしくて才能に溢れた方なのかもしれませんわね。

いいえ、ヨハン様ですし、素樸な傍にいると安心できるような方を慕っていらっしゃるのかもしれませんわ。

「私だってこんなにお慕いしておりますのに」

ぽつりとつぶやいた聲は草木に溶けていってしまい、となって消えていきます。

「誰をお慕いしているのですか?」

「え!」

背後からヨハン様の聲がして驚いて振り返れば、いつもとは違う無表のヨハン様がいらっしゃって思わず後ずさりしてしまいました。

「司祭様がお戻りになられたので呼びに來たのですが、失禮ながら聞こえてしまいました」

「あ……、その……」

「誰をお慕いしているのでしょうか?」

「その……」

ヨハン様です、とここで言えてしまえば楽なのでしょうがそうしてしまいますと、お優しいヨハン様のことですからきっと気を使ってしまわれますわよね。

「わ、私がお慕いしているのは神様でいらっしゃいますわ」

「神様、ですか」

「ええそうですわ。それ以外にいらっしゃるわけ、ありませんわ」

「……そう、ですか」

重い沈黙が流れます。

なぜでしょうか、ヨハン様には私が噓をついていることが分かってしまっているのでしょうか?けれども私の想い人がヨハン様だということは、わかっていないようですので安心ですわね。

ヨハン様のことですし、きっと結婚の話もれてしまうに違いありませんわ。そうしますと私はヨハン様とヨハン様の想い人を引き裂く悪となってしまいますもの、そんな役回りはごめんですわ。

悪役令嬢でしたら喜んで引きけますけれども、本當にい慕う方から憎まれることには耐えられそうにありませんもの。

「し、司祭様がお戻りになられたのですわよね」

「そうです。こちらですよ」

「はい」

く、空気が重いですわ。

「ヨハン様が呼び出しのお使いに出されるだなんて珍しいですわね」

「共に外に出ておりましたので」

「そうだったのですか。どちらに行っていらっしゃったのかお伺いしてもよろしいのでしょうか?」

「王宮に行っておりました。ミスト様の婚約破棄の件で」

「まあ、それはご足労をおかけいたしました」

「構いませんよ」

「それで、どうなったのでしょうか?お兄様からはもう間もなく婚約破棄が出來ると聞いたのですが」

「ええ、本日をもって婚約は白紙撤回となりました」

「破棄ではなく白紙撤回ですか?」

つまりはこの度の婚約は初めから無かったことになったということですわね。

還俗したことの記録は消えませんが、婚約した記録は消えるということですわね、喜ばしいことですわ。

「それと、ミスト様には申し訳ないのですが神殿としては、今回のことで國にミスト様に新たなる婚約を申し立てることとなりました」

「まあ!」

「私とミスト様の婚約です」

「なっそんなのあんまりですわ!」

「……そうですね」

そんなことになってしまっては、ヨハン様の想い人との路を邪魔してしまう事になってしまうではありませんか。

あ、でも私とは白い結婚ですし、人ということでご納得いただけるのでしたら……。いいえ、そんなことに甘えてはいけませんわね。

「ヨハン様はもちろん拒否なさいましたのよね?」

「いいえ」

「え!?そんな、だってヨハン様には想う方がいらっしゃるのではありませんか」

「だからです!都合がいい」

「そんなっ」

白い結婚をするから、ご自分のは好きにさせてしいということなのでしょうか?

まさかヨハン様がそのようにお考えになるとは思いませんでしたが、きっと司祭様あたりからのれ知恵に違いありませんわね。

「私との白い結婚を利用して人をお作りになるおつもりですのね、そんなの私に対しても人に対しても失禮ですわっ」

「ミスト様、私はっ」

ぐっと腕を摑まれて壁に押し付けられてしまいます。これは噂に聞く壁ドンというものでしょうか?

「嫌われても、しいものを手にれると決めたのです」

「……ぁ」

普段は穏やかなヨハン様の目に、の炎が見えて思わず震えてしまいました。こんな目もできますのね…。

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