《星乙の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~》小話 火曜日のお話_2

【翌日、桐木敬也の場合】

僕は榊隆一郎です。フルネームあるんですよ。法律事務所に勤める26歳既婚。する妻と可い娘が一人います。今朝も二人から行ってらっしゃいのチューをしてもらいました。今日は特にウキウキしながら出勤です!

「おっはようございまーす!」

「……おはよう」

「あれ、桐木先生、早いですね。てっきりゆっくり出勤されるかと……。どうしたんですか……まさか上手くいかなかったとか?」

僕の上司、桐木先生は碇ゲ○ドウポーズでPC畫面を睨み付けていた。人を殺してきたような、かなり兇悪な表をしてるので、僕は最悪の展開を想像した。

振られた?振られたのか?

「働き方改革をします」

唐突に上司が呟いた。

「はい?」

「……このスケジュールだと、土日會えない……」

「あー!そういうことですね。よかったー!!!『働き方改革~梓を優先するには~』ですね?」

「おい、呼び捨てにするな」

「いや、タイトルコールじゃないですか。梓さん関わるとほんと容赦ないですよね」

僕はドスの効いた聲にビビりつつも、心底ほっとして、そして二人の前途を祝福して早速PCを立ち上げた。ログインしてスケジュール管理のグループウェアを開く。

「僕にまかせてください、っと」

座るのももどかしく、立ったまま僕は作業した。

「スケジュールかえました」

僕がそう言うと、桐木先生は黙ってPCと手帳を確認している。しばらくして、先生が僕の名を呼んだ。

「……榊くん」

「はい」

「君は天才?」

「ありがとうございます!」

「なんで司法試験からないの?」

「うわ痛いところ突いてきますね~!でも、今年はいけてる気がするんで、9月の合格発表が楽しみですっ!」

三回目の験だけど、今回は通事故にも遭わなかったし、謎の発熱もしなかったから大丈夫だと思う。

「まあ、先生は仕事中毒ワーカホリック気味だったんで、このスケジュールでいいと思いますよ。もうし他の人に仕事回してもいいかもです」

「……そうしてみるか」

「あの、改めて聞きたいんですけど」

「何だ?」

「昨日、どこまでいきました?」

「え、銀座いって、赤坂いって、六本木こっち帰ってきて……」

「……ド天然かよ。場所じゃなくて。梓さんとどこまで進展したんですか?ヤッた?」

桐木先生が沈黙した。目を伏せて額に手を當てている。

「……榊くん、時々振り切るよね」

「はぐらかさないで」

僕は興味津々で聞いてみた。だって、桐木先生と梓さんが一緒にいると、端から見ていて「おめーら早く付き合っちまえよ!」と言いたくなる位の空気だったんだから。そこに一人放り込まれていた僕の気持ちも察してほしい。

「ご想像にお任せします」

桐木先生は無表で手帳をパタンと閉じた。

「気になるー!」

「仕事しようか」

先生が笑ってそう言うから僕はそれ以上の追及は出來なかった。

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