《妹は兄をする》15―家族―『小さな幸せ』
「母さんが寢込んでるんだったら、今日は弁當なしか」
「父さん晝代ちょうだい!」
兄は父に晝代をせがんだ。
父は呆れながら言い返した。
「優斗。晝弁くらいは自分で作れ!」
「父さんが若い頃は、自分で晝弁を作って學校に行ったんだぞ!」
父は新聞紙を読みながらそう言った。
「父さんが言ってる晝弁って、日の丸弁當だろ!?」
「ご飯に梅干し乗せただけじゃないか!」
「エラソーに言うな!」
「そんなの俺にだって作れるわ!!」
「優斗!」
「親に向かってその口の聞き方はなんだ!」
2人は朝からテーブルで口喧嘩をした。
私はご飯を食べながら呆れた。
「2人とも止めて!」
「靜かにしないとママが起きちゃうよ!」
私が強めの口調でそう言うと、
2人はピタリと口喧嘩を止めた。
兄と父は口喧嘩を止めると、急に仲良くなって、親子の違う會話をしたのだった。
父は朝食を食べ終わると鞄を持って上著を著た。
「じゃあ父さんは先に行ってくる!」
「梨乃、すまんが後片付けよろしく!」
「うん、わかってる!」
「あ、父さん晝代くれよ~!」
私は椅子から立ち上がると臺所に向かった。そして、兄にお弁當を手渡した。
「はい、お兄ちゃんお弁當!」
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