繭は隣で頷くと優しく笑った。

｢わかる。あたしも梨乃と同じ…｣

「あたしも蓮のことを想うと、のなかがドキドキするの｣

｢好きって気持ちが溢れて、自分でもたまにどうしよもない時がある｣

｢繭…｣

「その想いがいけないことだってわかっていても、好きになっちゃったんだもん｣

「仕方ないよね…？｣

「手をばしても屆かないだったから、あたしはいつも蓮を遠くで見つめてた｣

｢それで心の中で描くの｣

｢兄に自分の気持ちが伝わりますようにって……｣

｢でもいくら心の中で強くおもっていても、想いは言葉にしないと相手に伝わらない｣

｢だからあたしは兄が他の子と付き合ってる姿をただジッと、見てる事しか出來ない｣

｢本當は想いを打ち明けたら楽なのにね…｣

｢でも、出來ないの｣

｢兄妹だから…――｣

｢兄妹だからその言葉は、言ってはいけない許されない言葉だから堪えるの｣

｢堪えて自分の中に閉じ込めるの｣

｢お兄ちゃんを好きになったらいけないって…――｣

「あたしね｣

「蓮とが繋がってなかったらって何度も思った｣

｢同じ家に生まれてこなければって、両親がちがかったらって｣

｢名前がちがかったらって……｣

「そうすれば、こんなくるしい気持ちにはならなかった｣

｢が繋がってなかったら今頃お兄ちゃんと、付き合ってたかも知れないし…｣

｢現実は本當に稽だよね。この想いだけは許されないんだから…――｣

｢同のは認められるのに｣

｢兄妹同士のは認められないんだもん｣

｢頭おかしくなりそうだよ｣

｢だからって蓮のこと諦められない｣

｢あたしが初めて好きになった人だから｣

｢繭…――｣