《妹は兄をする》3―の相談―『振り向いてしくて……』
「なんていじらしい~!」
「私が男だったら、間違いなくお嫁さんにしてあげるのに!」
「ちょっ、繭…!」
「苦しい!」
「ぎゅーってさせなさいよ!」 
「この繭ちゃんが癒してあげる!」
「ちょっ、繭おちついて!」
「何だかお兄さんに梨乃をあげたくないわね!」
 
「梨乃可いすぎ!」
「心配しなくても大丈夫!」
「私から見ても梨乃は十分、素敵なの子だよ?」
「ただお兄さんが鈍なだけよ!」 
「きっと気づいたら、お兄さんだって夢中になっちゃうんだから!」
「そ、そうかなぁ…?」
「そうよ!」
「自信持ちなさい!」
「そのツルペタのぺったんこのも、いつか大きくなるって!」
「私そんなにぺったんこじゃないもん!」
「コラ、繭まて~!」
繭は急に笑うと廊下を走り出した。私はムッとしながら彼を追いかけた。 
廊下を走りながら繭を追いかけていると、彼は急に柱のすみに隠れた。
私もつられて彼と一緒に隠れた。
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隠れるとの先生が廊下を左に曲がって行くのが見えた。 
先生がどこかに向かって行くと、
繭はから隠れるのをやめた。
「あぶなかった~!」
「あいつにみつかるところだった~!」
「椎名って口うるさいんだよね!」
「みつかると面倒だから早く教室に戻ろう!」
「うん…!」
私は隣でうなずいた。
「椎名先生ってたしか、半年前にってきた新しい先生だよね?」
「そう。ついでにあいつヤバい噂があるから、あまり近づかない方がいいよ」
「え…?」
繭はそう話すと私の手をとった。
「ほら、早く行こう!」
「うん!」 
私達は教室に戻ると、ドアを靜かに開けて中にった。
先生はチョークを片手に黒板に向かって、文字を書いていた。
私は一番後ろの窓際の席に戻ると、急いで教科書を出して授業をけた。
繭も自分の席に戻ると、慌てながら
教科書を出していた。
先生は黒板に文字を書き終えると、
いきなり私に答えを聞いてきた。 
先生の突然の質問に私は困すると、
席を立ち上がって黒板に目を向けた。
なかなか答えない私に、先生が再び聞いてきた。
すると、隣の席の河村君が
私に答えをボソッと教えてくれた。
私は言われたとおりの答えを答えた。
先生はチラッと疑った目で私達の方を見てきた。
先生は教科書を片手に持つと、
眼鏡をらせながら一言話してきた。
「神崎君、見事に正解だ!」
「よろしい。自分の席に座りなさい」
私はホッと安心した顔で席に座った。
席に座ると河村君が私の方を
チラッと見てきて話しかけてきた。
「神崎さんが授業に遅れるのって珍しいね」
「何かあったの?」
「えっと、ちょっと保健室に…」
「そう」
河村君は私にそう話すと、黒板に目を向けながら再び授業容をノートに書いていた。
私も直ぐに自分のノートに、授業容を書くことにした。
終業のチャイムが鳴ると、先生は教科書を持って教室から出て行った。
河村君が席から立ち上がると、私は彼にありがとうと一言お禮を言った。
彼は私の方に目を向けると、別の教科書を持ってそのまま黙って教室を出て行った。
クラスの皆は教室で騒ぎながら次の授業の準備をしていた。
繭は音楽の教科書を手に持つと、私に聲をかけてきた。
「梨乃、次は音楽だよ!」
「早く音楽室に行こう!」
「うん…!」
私は自分の席から立ち上がると繭と一緒に教室から出て、音楽室へと移した。 
午後の授業が終わると、時計は3時を回っていた。
掃除の時間が終わると、私は繭と一緒に帰ることにした。
「あ、ねえ梨乃!」
「何?」
學校の門の前で立ち上まると、繭は私に尋ねてきた。
「さっきさ、なんで答えがわかったの?」
「って來て早々に答え聞かれたじゃん!」
繭はそう話すと不思議そうに聞いてきた。
私は正直に答えた。
「河村君が…」
「隣の席の河村君が答えを教えてくれたの」
「え!?」
「あの河村が…!?」 
「そ、そうなんだぁ…」
繭はそこで驚くと私の方を見てきた。
「な、何?」
「河村ってさ。前のクラスでも私達と同じだったけど、あいつってホント無口だよね」
「それに無想だし。だけどあいつ、顔は良いんだよね」
「それに頭も良いしさ」
「でもあたし、河村は苦手だなぁ」
「2年の時。あいつと同じ席だったけど、話しかけても無視されてたし」
「それに答えだって教えてくれなかったよ」
「河村は梨乃には答え教えてくれるんだね」
「そ、そんなことないよ…」
「そうかな?」
「な、何…?」
「ううん。べつに」
繭は隣で空を仰ぐと、白々しい態度で
笑ってみせた。
「もう繭、教えてよ!」
私が話しかけると彼は急に聲をあげた。
「あ、あんな所にクレープ屋さんがある!」
「梨乃、一緒にクレープ食べよう!」
繭は走り出すと、クレープ屋さんの前で立ち止まった。 
「早く早く~!」
「待ってよ繭~!」
彼はクレープ屋さんの前で、楽しそうに手を振っていた。
私は急ぎ足で辿り著くと、繭に話しかけた。
「も~、急に走らないでよぉ!」
「ゴメンゴメン!」
「あたしクレープにはメがないんだよね」
「走らせたお詫びにおごってあげる!」
「え、いいの…?」
「もちろん!」
「繭ちゃんに任せなさい!」
「じゃあ、遠慮なく…」
私は思いきってクレープとドリンクの
セットを一緒に頼んだ。
「ちょっ、あんたしは遠慮しなさいよ!」
「だって繭おごってくれるんでしょ?」
「こら、調子にのるな!」 
私は急に可笑しくなると、そこで笑った。
私が笑うと繭もつられて笑いだした。
「あ~、なんだが久しぶりに笑った気がする」
「うん。私もなんかそんなじがするな」
「よし、わかった!」
「ふんぱつして、クレープとドリンク一緒に頼んでいいよ!」
「繭ありがとう!」
「大好き!」
私は素直に謝すると、彼の隣で
ニコッと笑った。 
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