《妹は兄をする》3―診斷テスト―『それは思いつきで始まった』

「ふっ…やっぱりあたし達、わかり合う事はなさそうね?」

「ああ、それが運命だってことだろ?」

「ええそうね。あたし達の運命なんて最初からないに等しいのよ」

「ああ、わかってるじゃないか。それが運命って奴だ」

2人は西部劇のように背中を合わすと、

一歩二歩と後ろに下がった。

「俺達はこうするしか分かりあえないんだろ?」

「笑止!」

「アンタみたいなニブチンと一緒に分かりあうくらいならのろまの亀とわかりあったほうがマシよ!」

「フッ…俺をのろまの亀と一緒にするな!」

「いっとくけど俺は小中ともにマラソン大會では、弾丸の鉄人と恐れられていたくらいなんだぞ!」

「何そのネーミング、だっさぁ!」 

2人は後ろ向きで言い爭うと、そこで言い合うのをやめた。

「もうこれ以上話しても無理なようね」

「いいわ、終わりにしてあげる!」

「こっちこそ秒殺で仕留めてやる!」

「ニブチンバカを…!」

悪な生意気を…!」

『ぶちのめす!!』

「うぉおおおおおおっ!!」

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「うりゃあああああっ!!」

2人はそこで振り返ると、一気にぶつかり合いに行った。

すると、梨乃はとっさに中に割ってった。

「2人ともケンカはやめてぇーっ!!」

 

梨乃は二人の間に割ってると、

涙ながらに訴えた。

「お願い2人とケンカしないで!」

「私、繭とお兄ちゃんがケンカするところなんて見たくないよ!」

梨乃はそう話すと2人の前で、

突然泣き出した。

「ひっくひっく…」

繭と優斗はそこでケンカをやめた。

「ちょっ、梨乃ったら泣かないでよ!」

「アンタに泣かれると困っちゃうわよ!」

繭はそう話すと急に態度をかえて、

何もなかったように振る舞った。

すると、優斗も慌てて梨乃をめた。

「梨乃泣くな!」

「兄ちゃんが悪かったから泣かないでくれ!」

「そ、そうだ…!」

「帰りに2人でたこ焼き買って、家で仲良く食べようぜ!」

「たこ焼き好きだろ!?」

優斗はそう話すと明るく振る舞った。

すると、繭がいきなり優斗にあおいだ。

「ここは一先ず休戦にしましょ」

「今はお互いに仲良くするのよ」

「チッ、仕方ない…」

「ここは休戦にしてやる」

「でも、食券は絶対に返さないからな!」

「まあ、どこまでも卑しい男ね。そんなに食いじはってたら、ガールフレンドに逃げられるんだから!」

「余計なお世話だ!」

優斗はそこで言い返すと、

ムキになりながら捨て臺詞をはいた。

「お前こそしは上品にしたらどうだ?」

「ホントうちの妹とは正反対だな!」

「そんなんだからボーイフレンドが一人も出來ないんだよ!」

「あぁん!?」

「いまなんっつた!?」

繭はそこで態度を急変させると、ドス聲で優斗に詰め寄った。

「來るな!近寄るな!」

「俺はガザツなは嫌いなんだよ!」

「誰がガザツよ!」

「アンタこそイケメンの癖に卑しさ、丸だしじゃない!」

「きっと家ではご飯を三杯、おかわりするタイプなんだからね!」

「誰が食いしん坊だ!」

「育ち盛りの高校生と呼べ!」

2人はそこで再び言い合うと、

息を切らしながら互いに背を向けた。

「フン!」

繭と優斗は梨乃の前で言い爭うと、

急にハッとなった。

梨乃は半泣きすると2人に尋ねた。

「本當に2人とも仲が悪いの…?」

梨乃がそのことを尋ねてくると、2人はしまったと顔をかえた。

「2人がケンカするなら、私2人とも嫌いになっちゃうんだから…!」

「!!!!」

繭と優斗はその言葉に反応した。 

梨乃がその事を切り出すと、2人は急に態度をかえた。 

「や、やあ繭ちゃん!」

「さっきのは冗談だよ冗談だ!」

「いやだなぁ、本気にしちゃって…!」

「あら優斗さんったら、おふざけが上手いこと!」

「あたしこそ食券の券は勘違いしてみたい」

「いやぁ、今日も一日平和だなぁ~!」

「アハハハッ!」

「ウフフフッ!」

2人はそこで肩を組むと、仲良く笑ったフリをした。

梨乃はキョトンとした顔で泣き止むと、2人に話しかけた。 

「な、なんだぁ…」

「今のは冗談だったんだね?」

「2人とも本気だったから、本當にケンカしちゃうかと思った!」

梨乃はそうはなすとで下ろした。

「梨乃ったら大袈裟ね!」

「本気でケンカするわけないじゃない」

「冗談に決まってるでしょ!」

「う、うん…」

「そうだよね…?」

「當たり前だろ。今のは冗談だ」

「俺が梨乃の友達に手をあげるわけないだろ?」

「そーよ、そーよ、大あたしがアンタの兄貴を本気でシメたら…」

「あ?」

優斗はすかさず繭をギロリと睨んだ。

「そ、そう言えばお兄ちゃん」

「あそこのベンチで何読んでたの?」

「ん?」

「ああ、ちょっと教科書をな」

「來週はテストだから、今日習ったところ見てたんだ」

「そ、そうなんだぁ…」

「ねぇお兄ちゃん。眼鏡なんてかけてたっけ?」

「眼鏡?」

「何だよ、見てたのか?」

「うん」

「ちょっと最近、視力が落ちたからさ。仕方ないから買ったんだよ」

「でも、日常生活には支障がないから眼鏡は勉強してる時だけ、かけてるんだ」

「そ、そうなんだぁ…」

優斗はそうはなすと、鞄から眼鏡ケースを取り出して顔に眼鏡をかけてみた。

「どう、似合う?」

優斗が眼鏡をかけた途端に、梨乃には凄く賢そうに見えた。

「お兄ちゃん眼鏡似合ってるよ!」

「え、ホントに?」

「うん!」

「お兄ちゃん眼鏡かけたらカッコイイね!」

「え…!?」

「そ、そうか?」

「うん!」

妹のその言葉に優斗は急に、顔がし赤くなった。 

「眼鏡似合うか?」

「ふぅん…」

優斗はそう答えると眼鏡をはずした。

「どうしたのお兄ちゃん?」

「眼鏡かけたらダザイかなって思ってたけど、お前にそう言われると眼鏡もありかなと思ってさ」

「え…?」

「眼鏡系男子になったら、俺モテるかな?」

優斗は不意に尋ねた。

「う、うん…!」

「きっとの子達にモテると思うよ?」

「だってお兄ちゃんカッコいいもん。すぐにモテるよ…」

梨乃はそう答えると、の中が急に

悲しくなった。

「お兄ちゃん彼しいの?」

「え?」

「彼?」

優斗は妹のその言葉に、そこで考え込んだ。

「そ、そうだなぁ…」

「う~ん」

梨乃は考え込む兄の姿に切なくじた。

「そうだな…」

「彼しいけど、まだいいや!」

「お、お兄ちゃん…!」

梨乃は優斗のその答えに、顔がパァッと明るくなった。

嬉しそうな顔をすると、梨乃は優斗の腕に抱きついた。

「お兄ちゃん一緒に帰ろう!」

「ああ、いいけど…」

優斗は妹の機嫌にちょっと驚いていた。

「なんだよ、なんか嬉しそうだな?」

「そ、そんなことないよ!」

「そうか?」

梨乃はそう言い返しながらも、顔が

ニコニコしていた。

繭は2人の仲を邪魔しないようにと、

自分から一言挨拶をしてその場から離れた。

「じゃあ、あたしは用事があるからここで帰るね!」

「またね梨乃!」

「あ、繭…!」

繭は手を振ると、違う方向へと

帰って行った。

「あいつホントに元気だな」

「學校でもあんなじなのか?」

「ううん。繭は學校では大人しいよ?」

「私といる時だけ、あんな風に明るいんだ」

「ふぅん、そうか…」

梨乃がそう答えると優斗はフと笑った。

「どうしたのお兄ちゃん?」

「いや、べつに…」

「じゃあ帰るか?」

「うん!」

梨乃は兄の腕をギュッと摑むと、

ピタリと寄り添ってきた。

優斗は不思議に思いながらも、並木道を2人で仲良く歩いて帰って行った――。

 

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