《妹は兄をする》4―斷の林檎―『一夜の過ち。それは始まり。』

黙ってうつ向いていると、蓮は片方の手をばしてあたしの頬にれてきた。

指先が頬にれると、あたしは思わず顔を上にあげた。 

気がついたら蓮があたしのことをジッと見つめていた。真っ直ぐな瞳にみつめられると、の奧が急に熱くなってきた。 

「ッ…」

「繭…」

兄はジッと見つめてくると不意にあたしの名前を呼んだ。その言葉にの奧が大きく高鳴ったのをじた。

の奧がドキドキして、呼吸するのも

忘れてしまうようなに襲われた。

「繭、キスしてもいいか…――?」

「えっ…?」

「お前とキスしたい――」

思いがけない言葉に、頭の中が急に

真っ白くなった。

聞き間違えじゃない限り、蓮は確かに

あたしにそう言った。 

あまりにも信じられないような言葉に揺すると、がピタリと固まってしまった。

「お兄ちゃん今の冗談でしょ…?」

「か、からかわないでよ…」

の高鳴りを抑えながらも、あたしは蓮の前で平靜を裝った。 

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普通だったら、こんなこと有り得ない。

なのに蓮は確かにそう言った。

――お前とキスしたい――

その言葉が頭の中で駆け巡った。冗談だとおもっていたが、次の瞬間。それが本當に冗談ではないことがわかった。 

蓮は黙って顔を近づけてくると、そのまま目を閉じてあたしにそっとキスをしてきた。

「ン…」

自分のに兄のれたのをじると、あたしはビクッとが僅かに反応した。

蓮はあたしにキスをすると、そのまま

ドアの前で再びキスをしてきた。

一回目のキスよりも、二回目のキスに

がビクッとじた。

初めてのキスにの中がドキドキして、頭の中もパンクしそうだった。

なのにまるで甘いのような味がして、刺激的な気持ちにもなった。

夢の中で何度も描いていた想像が現実の形となってあらわれると、信じられない様な出來事に、あたしはこれが夢ではないかと一瞬疑ってしまった。

でも、蓮のらかいじると、これが夢ではないことを実した。

そう思うとあたしは急に嬉しくなって、蓮の背中に両手を回して名前を呼んだ。 

「お兄ちゃん…あたし…」

名前を呼ぶと、蓮はキャミソールの下から手をれてきてあたしの左ってきた。

「アッ…!」

がビクッと反応すると、あたしは

ハッとなって蓮の顔を見た。

「っ…ゴメン」

「俺、どうかしてたみたいだ…」

「お前に――なんて、どうかしてる…」

「え…?」

「最低だ…」

蓮は獨り言を呟くとドアの前から

立ち上がって、あたしに背中を向けた。

あたしは呆然と兄の背中を見つめると、

どんな聲をかけようか戸った。 

でも今、聲をかけなかったら蓮がどこかに消えてしまいそうな気がして、あたしは

後ろから聲をかけた。

「蓮…」

「あ、あたし…」

「あたし気にしてないよ…?」

「だって、あたし…」

「そ、それにね…?」

「あたし蓮なら――」

『出てってくれ!!』

『頼むから出てってくれっ!!』

「っ…」

『一人になりたいんだっ!!』

『俺を困らすなっ!!』

「ど、どうしたの蓮…?」

「あたしが嫌いになったの…?」

急な冷たい態度にあたしは揺を

隠せなかった。

兄の傍に近づくと、片方の腕を摑んだ。

すると、蓮は辛そうな顔であたしのことを見てきた。

あたしはその表に、の奧がズキンとなった。

「あっ、ごめ…ごめんなさい…!」

自分でもわけがわからずに涙が出てくると、あたし摑んだ兄の腕を離して部屋から出ていった。

あの時それがなんなのかは、

よくわからなかったけど…――。

蓮の苦しみはあたし何だとそうじずにはいられなかった。 

兄の部屋を出て行くと、あたしは自分の部屋に戻った。

さっきのことを思い出すと、の奧が熱くなった。それと同時に、わずかに切なさをじた。

れると蓮にキスされた記憶が蘇った。まるで夢を見ているようだった。

あたしはずっと蓮にキスされたかった。

でもそんなこと葉わないと諦めていたから、夢で描いていたことが現実に起こった時。あたしはあんな形でも、蓮とキス出來て嬉しかった――。

でも、何故か心が虛しさをじた。 蓮は何であたしにキスして來たんだろう…?

そんな素樸な疑問が頭の中で過った。

蓮はあたしとキスしたかったのか?それとも亡くなった沙織里さんとキスしたかったのか?

あたしはなからず、そんな疑問が頭の片隅にあった。蓮はあの時あたしに救いを求めてきた。それは本當に"あたし"だったのか?

蓮はあたしを通して、本當は――。 

嫌な考えが頭の中に浮かぶと、あたしは

それを振り払うように、考える事をやめた。

そうしなければ自分の心が壊れそうだった。

蓮はあたしのことをどう思ってるんだろう…?

知りたい。 

でも、知るのが怖い。

本當は今すぐ蓮に聞いてみたい。でも、出來ない。

あたしはもどかしい思いにの中が押し潰されると、膝を抱えて座り込んだ。 

蓮とのキスは、まるで斷の果実みたいだった。甘くてどこか毒がある様なそんな罪の味さえもした。 

ましてやあたし達、の繋がった兄妹なのに――。

蓮はあたしと"キス"して、後悔してないだろうか…?

蓮は…――。

靜寂に包まれた部屋の中で考え込んでいると、誰かが部屋のドアをノックした。

その気配にあたしは蓮だと気がついた。でも、彼と顔を合わす勇気がなかった。

どんな顔で會えばいいのか、さすがに揺した。あんなことがあったばかりなのに、簡単に頭の中を切り替えられるほどそんな単純ではなかった。

あたしはドアの前に立つと、小さな聲で返事をした。 

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