《妹は兄をする》1―寫真―『それはの……』
カチカチカチ。時計が3時を回った頃、私は帰宅して直ぐにお母さんに玄関で捕まってしまった。
それから約、30分。居間で家事の話を
聞かされることになった。
「言い、梨乃ちゃん。家事で一番大事な事はわかる?」
「えっと…炊事?」
「そう、炊事も大事だけど、一番大事なのは掃除よ!」
「梨乃ちゃんもお嫁さんになったら、家中をピカピカにしなきゃダメよ!」
「お母さん。私まだお嫁さんには……」
「それに私まだ15だよ?」
「いいから良く聞きなさい!」
「お家の中を綺麗にしなきゃ、未來の旦那様に逃げられるわよ!」
「お、お母さん…」
「お母さんはね。梨乃ちゃんのためと思って言ってるのよ?」
「う、うん…」
「このお家を見てみなさい。ホラ、雨戸もピカピカでしょ?」
「それにキッチンだって!」
「お、お母さん宿題してもいい…?」
「ちょっと待ちなさい!」
「宿題はあとでいいから、お母さんの話しを聞くのよ!」
帰宅すると、私は母に呼び止められた。
私服に著替えないまま、約30分近く
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お母さんに家事の話を聞かされた。
立ったまま話を聞かされると、私は疲れて近くの椅子に座った。
「――と言うわけで、家の中をピカピカにすることで我が家は円満になるの」
「わかった梨乃ちゃん?」
「うん、掃除は大事だってことだね」
「そうよ梨乃ちゃん。それにお母さんが家の中をピカピカに掃除をしないと、我が家はゴミ屋敷になってしまうわ」
「ああ、ゴミ屋敷だなんて考えただけでも恐ろしい!」
「そうならない為にも私達が力を合わせて、家の中を綺麗に掃除して頑張るのよ!」
「そうだねお母さん。じゃあ、私は……」
話の良いところで切り上げると、私は然り気無く椅子から立ち上がって鞄を持つと、
2階に上がろうとした。
すると、お母さんが紅茶とケーキを出してきた。ドアノブに手をかけると、カウンターから母に引き留められた。
私は居間から抜け出すタイミングを逃すと、再び椅子に戻って座った。 
「このアップルパイ味しいでしょ?」
「最近できたお店で買ってきちゃったの。梨乃ちゃんはアップルパイ好きでしょ?」
「うん、このアップルパイ味しいね!」
アップルパイを食べながら隙を見計らうと、部屋に戻ろうと考えた。 
しかし、なかなかそうはいかなかった。お母さんは再び話の続きを始めた。
「お父さんはしょうがないとして、問題は優斗の方よ!」
「優斗ったらお掃除手伝わないのよ。梨乃もお兄ちゃんに何か言ってあげて頂戴」
「お母さん心配なのよ。優斗がこのまま、掃除が出來ない子に育つのが!」
「そ、そうかな…?」
「お兄ちゃん部活で忙しいから、掃除する暇がないんだと思うよ?」
「梨乃は優斗とは違ってお掃除がちゃんと出來るから、お母さん嬉しいわ」
「きっと梨乃は自立しても、ちゃんとやっていけるわね」
「もう、お母さんったら…」
私は母の傍らで紅茶を飲むと苦笑いをした。そうこうしているうちに、時計は4時半を回っていた。 
このままでは宿題をする時間がなくなると思った私は、アップルパイを食べ終わると、急いで自分の部屋に戻ろうとした。
「あ、お母さん。私もう部屋に戻るね?」
「宿題まだやってないんだった…!」
「ご、ごちそうさま…!」
鞄を持つと椅子から立ち上がって、居間から慌てて出ようとした。
すると、母が私にあるを渡してきた。 
「はい、はたき棒!」
「え?」
「2階に戻るんでしょ?」
「う、うん…」
「お母さんさっきお家の中を掃除してた時、2人の部屋をはたきするの忘れてたのよ」
「宿題が終わったあとでもいいから、やっておいてくれるかしら?」
「お母さんは買いに行くからよろしくね」
「あ、お母さん…!」
母は私にはたき棒を渡すと、そそくさと他のことを始めた。
はたき棒をけとると、ちょっと困った
顔になりながら2階へと上がって自分の
部屋に戻った。
部屋にると確かに窓が開いていた。私は窓を閉めると、さっそく宿題を始めた。
30分くらい機に向かったまま宿題に勵むと、いつの間にか時計は5時になっていた。 
切りの良いところで宿題を終わらすと、
私は椅子に座ったまま軽く背びをした。 
宿題が終わったノートを鞄の中にれると、明日の學校の準備を始めた。
やることを全部終わらすと、私はさっき
母に頼まれたことをフと思い出した。
「あ、そうだった。さっき頼まれたんだっけ…」
はたき棒を手に持つと、私は軽く
部屋の中をはたいて回った。
自分の部屋が終わると、隣の兄の部屋に向かった。
部屋のドアをノックをすると、お兄ちゃんからの返事はなかった。 
「あれ…?」
「優斗お兄ちゃん學校からまだ帰ってないのかな…?」
ドアをノックするのをやめると、私は兄が居ない部屋へとって行った。 
「お、お兄ちゃんるよ…?」
部屋の中をキョロキョロ見渡しながら、一応聲をかけてみた。
中にるとやっぱり兄の姿はなかった。制服も鞄もなく、開いている窓の近くで
カーテンが靜かに揺れていた。
兄の部屋は思ったよりも綺麗だった。
いだあとの上著がベッドの上に置いて
あるくらいで、別に普通だった。
私は兄の部屋にるなり、の中が
ちょっとだけドキドキしてしまった。
普段は兄の部屋には余りらないから、
が妙に張してしまうとのドキドキが高まった。
「部屋の中、お兄ちゃんの匂いがする…」
部屋の中は爽やかな香りが広がっていた。
私はちょっとその香りを楽しむと、自分が何の目的で訪れたかを忘れそうになった。
「あっ、そうだった…!」
「お兄ちゃんが帰って來る前に、部屋の中をはたいてこう!」
そこで本來の目的を思い出すと、
兄が帰って來る前にやることを済ました。
一通りはたき終わると、最後は窓を閉めて兄の部屋から出ようとした。すると、妙な好奇心が急に芽生えてしまった。
このまま出て行くのも、もったいない気がした。お兄ちゃんが帰って來るまで、しだけ中に居ようと思いついたのだった。 
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