《妹は兄をする》3―妹の罠―『家に帰ると……』

「…いらない!」

「あっ?」

『アンタと間接キスだなんて、吐き気がしちゃう!』

「な、なんだと…!?」

「こっちだっているかよ!!」

「お前が口つけたジュースなんて飲むか!!」

繭は缶ジュースを優斗に押し付けた。

すると、優斗もその缶ジュースを繭に

押し付けた。

2人がベンチの上で缶ジュースを押し付けあうと、小さな男の子はケラケラ笑って、母親のもとに駆け寄った。

『いらないって言ってるのよ!』

『アンタが飲みなさいよ!』

「誰が飲むかって言ってるんだよ!」

「お前が口つけた缶ジュースなんて飲めるかぁ~っ!!」

「よく言うわよ、さっきバカみたいに飲んでたじゃない!」

「誰がバカだって~!?」

「アンタよアンタ。他に誰がいるのよ?」

「こいつ生意気ぃ~!」

優斗はイラッとくると、缶ジュースをおもいっきり押しつけた。すると、そのはずみでジュースが繭のスカートにひっかかった。 

「きゃああああ~~っ!!」

「何するのよアンターっ!!」

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繭はスカートにジュースがひっかかると、直ぐにベンチから立ち上がった。

優斗は繭のスカートにジュースをひかけると、持っていた缶ジュースを慌てて地面に落とした。

「す、すまん…!」

「…今のはワザとじゃないんだ。こ、これは事故だ」

「あぁ!?」

「よくも私のスカートにジュースをひっかけたわね!!」

「アンタのせいで、制服のスカートが濡れたじゃない!!」

繭は鞄からハンカチを取り出そうとすると、優斗はポケットにいれていたハンカチを取り出して、それを彼に差し出した。

 

「ほ、ほら…!」

「これ使えよ…!」

「フン…!」

繭はムスッとした顔でハンカチをけとると、スカートを拭いた。

繭のし不機嫌そうな顔がやたら怖かった。優斗はハンカチを手渡すと、そこで頭をかいて反省した。

「その、今のは悪かった…。ごめん……」

「當然でしょ。アンタのせいでスカートが濡れたじゃない。それにベトベトで気持ちわるい。もう最悪よ」

繭は公園の水道水の前でスカートを拭くと、ハンカチを洗った。

無言の空気が重たくじると、優斗はその場でいずらくなった。

洗ったハンカチを手渡そうとした時、繭はおもわず笑った。

がプッと笑うと、

優斗は後ろを振り向いた。

「やだ、優斗さんたらこんな可いハンカチ使ってるの?」

「ウサギの刺繍りのハンカチを使うなんて、見かけによらずって言うか~~」

繭はそう言うと、ハンカチを広げて

優斗の前で笑った。

にそう言われると、優斗は突然

焦り出した。

「ち、ちがっ…!!」

「ちょっ、それ返せっ!!」

「アハハハッ!」

「何焦ってるの~?」

「もしかしてこれって自分で作ったの~?」

「やだ~、優斗さんたら可い~」

繭は焦ってる彼を前に、冷やかしながら笑った。

「か、返せよ…!」

「マジで返せっ…!!」

「ウサギの刺繍りのハンカチ持ってるなんて、これはネタにつかえるわね♪」

「何のネタだぁ~っ!!」

優斗はすかさず突っ込みをれると、

繭からハンカチを奪おうとした。すると、彼はヒラリと橫にかわした。

「やっぱり自分で~?」

「その焦り合が、ますます怪しい~」

「いいから返せ~っ!!」

 

『返せよ!!』

『それ、梨乃から貰った大事なハンカチ何だぞ!!』

優斗のその言葉に繭はビックリして驚いた。

「えっ…?」

ビックリすると、ハンカチを地面に落とした。

「あっ…!」

「落とすな…!」

繭がハンカチを地面に落とすと、

優斗はそれを直ぐに拾った。

「え、この刺繍りのハンカチ…梨乃の?」

「そうだよ。悪いか?」

「俺が小6の時、梨乃からもらったんだ。見かけによらず、可いハンカチ使ってて悪かったな…!」

優斗は繭に向かってそう言うと、

し恥ずかしそうな顔で不機嫌になった。

「やっぱりおまえにハンカチ、貸すんじゃなかった…!」

そう言ってブツブツ文句を言っている彼の前で、繭は固まったままだった。

 

「り、梨乃がこれを…?」

「す…凄い…!」

「私には真似出來ないわ……!」

驚いてる彼を橫目に、優斗はハンカチを片手に繭に一言言った。

「まあ、お前みたいなガサツなが、こんな用なことが出來るとは思わないけどな」

「っ…!!」

「な、なんですって…!?」

繭は優斗にそのことを指摘されると、

キッと睨んだ。

「その點、うちの妹は用だし、気が利くし、お前と違ってガサツじゃ……」

優斗は彼の怒りにれたことも知らずに、腕を組んでのんきに語った。

繭は肩を震わせながら、目が殺意に

燃えていた。

「どうせからのガサツだろ?」

彼がその言葉を口走った瞬間、顔面に

強烈なパンチがった。

そして、そのまま宙に飛んでいった。

ノックアウトすると、優斗は地面に

手をついて頬を押さえた。

 

「な、何しやがるっ!?」

『うるさいっ…!!』

彼が口走ると、そこには涙ぐんだ

がいた。

繭は肩を震わせると、し涙目に

なっていた。

優斗はそのことに気がつくと揺した。

「えっ…?」

一瞬揺すると、繭はを噛み締めながら怒って言い返した。

「どうせあたしはガサツよ…!!」

「あんたの妹みたいに、可いくなければ、良いところなんて何一つもないわよ!!」

「ガサツで悪かったわね!!」

繭はそう言い返すと、傷ついた目をしていた。 

優斗はその時はじめて、彼を傷つけたことに気がついた。

「す、…すまん。今のは……」

「ふん!」

「アンタこそ人のこと言えるの!?」

「鈍のニブチン男の癖にっ!!」

「なっ、何…!?」

「えーい、ムカつくっ!!」

「こんなハンカチこうしてやるっ…!!」

繭は泣きながらそう言うと、落ちている

ハンカチを拾っておもいっきり鼻をかんだ。

『あ~~っ!!』

 

腹いせにおもいっきり鼻をかむと、彼はそれをクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ捨てようとした。

「こんなもの~~っ!!」

『あ~っ!!』

『やめろ~っ!!』

がゴミ箱に向かって投げようとしたとき、優斗は背後からバッと止めた。

その瞬間、両手が間違って彼

の膨らみにれた。

『キャッ…!!』

背後から突然、両られると、

繭は驚いてか細い聲をあげた。

優斗はその瞬間、しまったとじた。

らかいが手につたわると、彼は赤面したまま慌てた。

繭は肩をブルブルと震わすと、ゆっくりと後ろを振り返った。

 

 

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