《妹は兄をする》6―電話―

梨乃は優斗と買いに行くと、その途中で落ち著きのない彼を隣で黙ってみていた。

隣でキョロキョロ、周りを見渡しながら、優斗は安全を確認していた。

「梨乃、いいか!?」

「兄ちゃんが危ないって言ったら、直ぐに俺の後ろに隠れろ!!」

「そしたら俺が守ってやるからな!!」

「お、お兄ちゃん…!?」

「よし、不審者はいないな…!!」

優斗は梨乃にそう話すと、妹より先に

歩いてさらなる安全を確認した。

「優斗お兄ちゃんきっともう大丈夫だよ?」

「そんなにキョロキョロしなくても……」

「いや、そうとは限らない!!」

「とにかく黙って俺についてこい!!」

「うん…!」

梨乃は優斗にそう言われると、大人しく

言うことをきいた。

商店街を歩きながら、近くのスーパーを

目指した。

2人は學校の話をしながら時々笑った。

優斗から二宮金次郎の銅像の話を

きいた梨乃は、隣でビックリしていた。

「――つまり、俺がおもには、きっとあれは誰かのイタズラだとおもう」

「うん。そうかも知れないね?」

「…でも、あんな重たい銅像をどうやって運んだんだろねお兄ちゃん?」 

「そうだな。きっとそいつは、超人ハルク並の馬鹿力をめた奴だ。いや、もしかしたらエックスメーンみたいな、特殊能力をもった奴かも知れない」

「いや、それとも…人間じゃないかも――」

優斗が真顔でそう話すと、梨乃も思わず息を呑んだ。

 

「…きっとそうだ。そいつはあの、宇宙人番組に出てくるエリア51で、特殊能力めた人間に改造されたんだきっと…!!」

「改造人間なら、あの重たい銅像を持ち上げることも可能だ…!!」

「ゆ、優斗お兄ちゃん…!?」

「だとすると凄い事実だ…!!」

「これはもしかしたら、人類を揺るがす大事なことかも知れない…!!」

優斗は一人、妄想を膨らますと、

深刻な表で語り続けた。

「ハッ…!!」

「だとすると今の話しは危険だ…!!」

「きっとCIAに盜聴されているかも知れない…!!」

「いや、どこかの組織が口封じにくるかも…!!」

「お、お兄ちゃん…!?」

「ダメだ…!!」

「今の話しは忘れるんだ…!!」

「その方がいい…!!」

優斗は真顔でその話を続けると突如、妹の手を摑んだ。

「走れっ!!」

「えっ…!?」

「いいから走るんだ…!!」

組織に追われる前に走るんだ梨乃っ!!」

優斗はそう言って梨乃の手を摑むなり、いきなり走り出した。

一人だけの妄想は、妹まで巻き込んだ。梨乃は優斗に言われるままに、一緒に商店街を走り抜けたのだった。

 

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