《社長、それは忘れて下さい!?》2-3. Divergence of heat
足で寢室のドアを押し開けると、部屋の中央のベッド上に涼花のを靜かに下ろす。その目は未だ開かず、始めは青白かった顔が今度はうっすら赤く付いている。息苦しそうにを揺らす様子を見ると、決して楽にはなっていないとわかる。
空調を整えてカーテンを引くと、いつ嘔吐してもいいように洗面と水差しを用意する。見慣れた自分のベッドに仕事でしか會わないはずの涼花が橫たわっているのは、奇妙な景だった。
龍悟が傍に腰掛けるとベッドが沈む覚に気付いたのか、涼花がうっすらと瞳を開けた。
「吐きそうか?」
きっと頭が回っていないだろうと考え、無駄な説明を省いて涼花のを楽にすることを優先する。
龍悟の問いかけに開けたはずの瞳がゆっくり閉じられ、再びゆっくりと開く。朦朧としているらしく意識の置き場さえ判然としない様子だが、程なくして涼花は無言で首を橫に振った。
「辛いか?」
急を要するような吐き気は治まっても、相変わらず呼吸は荒い。涼花は次の問いにも応答に時間を要したが、今度は、こくん、と顎を引いた。
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「とりあえず、上著はがすぞ」
呼吸がしやすいように上著を剝ぎ取ると、シャツのボタンを二つだけ外す。しは呼吸が楽になったかと様子を確認すると、涼花は覚束ない指先をかして三つ目のボタンも外そうとしていた。
「おい、秋野……!?」
驚いた龍悟が名を呼ぶと、涼花がぼーっと目を見つめてきた。それからうわ言のように
「……あつ、い」
と呟く。
「から、だ……あつ、ぃ……」
涼花が切なそうに訴えるので、逡巡した後、結局はボタンを外すのを手伝った。全てのボタンを取り払って前立てを開くと、涼花は先日と異なり、インナーとしてキャミソールを著込んでいた。
なるほど、暑いわけだ。
しかしこれも気遣いと自己防衛からの忍耐なのだろうと気付き、龍悟はかに服した。
「がせてやるから腕上げろ。出來るか?」
「しゃ、ちょ……」
「暑いんだろう?」
龍悟の確認に、涼花は再度こくんと顎を引いた。
吐き気はないようなので、涼花のを起こすとその背後に回る。案の定支えがないとほんの數秒も安定していられないようで、涼花の背中にを貸すとすぐに重を預けてきた。
「ほら、がせるぞ」
斷りをれると、シャツをがせてキャミソールを捲し上げていく。力した腕をって頭から薄いインナーを剝ぎ取ると、龍悟の目の前には以前も目にした満なふくらみが姿を現した。
先日のオレンジの下著ではなく、今日は薄いラベンダーに花の刺繍が施された下著をに著けている。
下著の後ろの留めを外すと、弾けるようにが揺れる。龍悟は涼花のを注視しないよう視線を逸らすと、自然に生じた生唾をごくりと飲み込んだ。
呼吸を楽にするだけであれば、締め付ける下著を取り払えばそれでいいはずだ。だがそれだけで涼花のが楽になったようには見えない。頬を紅させ、目を閉じたまま荒い呼吸を繰り返し、時折鼻にかかったようなか細い聲がれる様子を見て『楽になっている』と判斷する人はいないだろう。
龍悟は二つの分岐路に立たされていた。
一つは、このまま涼花に自分の寢室を貸すという選択。の疼きは自分で処理させ、萬が一吐いたりシーツを汚した場合は、それらは後で洗濯をすればいい。
もう一つは龍悟が涼花を抱く選択。意識が覚束ないので涼花の意思は確認できないが、これから薬の作用が強まっていく可能を考えると、それが最も手っ取り早くて確実な方法に思えた。それに容が急変しても、傍にいれば即座に対応することが出來る。
「……はぁ」
主な選択肢は二つしかない。その答えを決めかね、延々と悩み迷う。それが涼花のためだとしても、どちらも正解でどちらも不正解な気がする。いくら考えてわからない。
何度考えても、龍悟の思考は後者に引っ張られる。
「……秋野」
そうしている間にも腕の中にいる涼花の溫はどんどん上昇してきている。辛そうなのが、よくわかる。
だから龍悟は、自分の選択をけれるための覚悟を決める。腕にぐっと力を込めると、薄く付いた白いと細いがピクリと反応する。そのに理が飲まれないよう、龍悟はもう一度深い息を吐いた。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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