《連奏歌〜惜のレクイエム〜》第二話

それから僕はすぐに病院に搬送されたらしい。

ベッドの上で目を覚ましたら病院だったから、それくらいはわかった。

個室で、ナースの1人も居ない、靜かな空間。

起き上がってみると、僕はすぐにの違和に気付いた。

視點が、異様に低い。

ベッドから降りて立ってみると、ベッドより頭一つ分高いくらいなのだ。

僕は長170cmを越してたのに、何故――

――ズキン

「ぐぅっ……」

の痛みと共に蹲る。

だけれど、何がどうなっているのかは思い出した。

僕は、あの死神に転生させられたんだ。

だからこんなに長が低くて、ひょっとしたら顔も前世と似てないのかもしれない。

「――――」

だけど、それがなんだと言うのだろう。

僕は、霧代に酷いことをしてしまった。

生きるなら、償いようのないその罪を償って生きていくだけ……。

誰にも迷を掛けないように、1人で……。

できれば、良いことをしていこう……。

とりあえず、僕は事件にあった。

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なら事聴取もあるだろうし、ナースコールを押して起きてることを確認させ、早く仕事を終わらせてあげるのが適切だろう。

僕は口を噤み、黙ってナースコールを押した。

數分足らずで大人數の人達が部屋に押しかけてきた。

全員知らない人だが、怖いと思うことはないし、その必要もなかった。

だけれど、不思議に思うことはあった。

看護師の何人かと警察の1人に、天使みたいな白い羽が生えていたのだ。

そういうコスプレが普通にあるのだろうか。

だからなんだといえば、それまでだけど……。

「……ごめんな、僕。こんなにたくさんの大人がいて、怖くないか?」

ベッドに座る僕に、髭のない若々しい警が帽子を取って配慮の効いた言葉を言ってくる。

僕は無難な言葉を返した。

「いえ、大丈夫です……」

「はは、しっかりした僕だな。一応、私は河岸楽部署所屬の響川旋彌ひびかわせんや警部だ。よろしくね」

「はい、響川警部さん。僕は……名前、わかりますか?」

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調べが付いているのかを確認するため、敢えて尋ねた。

僕の名前がわかってないなら、きっと元不詳だろう。

「んー……ごめんな、わからないんだ。教えてくれるか?」

「あ……はい。響川瑞揶ひびかわみずやです」

「響川瑞揶くんね。おい田中、調べてこい。歳読みの“超能力者”曰いわく5歳だ」

「ハッ」

響川警部さんの命令で1人の警さんが退室する。

……超能力者?

羽のある人もいるし、超能力者もいるってこと……かな……。

「えーっと、瑞揶くんはどうして高速道路に1人でいたか覚えてるかい? それと、の傷に思い當たる節があったらなんでも言ってもらいたいんだが……」

「……特に、思い當たる所はありません。そもそもなんで道路にいたのかもわからないし……」

「そうか……。車とぶつかった跡もないし、そもそも車と衝突してたら……あ、いや、なんでもない。別に怖がらせたかったわけじゃないんだ」

「あはは……はい」

車とぶつかってたらがぐちゃぐちゃ、かな。

別に、僕はそれでも良かったけど……。

「……うーん。お母さんの名前とかわかるかい?」

「わからないです。そもそも母さんがいるかもわからないし……」

「お母さんがいたかもわからない? どういうことなんだい? まさかとは思うが、今まで1人で生活していたってことはないだろう?」

「…………」

言葉に詰まった。

まさか、前世の記憶があるって言って信じてもらえるわけがない。

…………。

いや、超能力者がいて、天使みたいなのもいる世界だ。

もしかしたら、僕の思ってる通りなら、きっと――。

「警部さん」

「ん? なんだい?」

「僕は、前世の記憶が――」

僕は、警部さんに全てを話した。

最初は記憶があることだけを話したけど、最終的にはぼり葉ぼり聞かれた。

僕の目論見とは違い、この世界でも前世の記憶があるのは異常らしい。

僕の元は結局見つからず、響川警部に引き取られることとなった。

苗字も同じで、しは好都合だったのだろう。

響川警部にはいろいろと聞かされた。

この世界は高度5萬mに天界があり、10萬mを超えると魔界に繋がるらしい。

魔界はこの星【ヤプタレア】の中にあって、地表の下に星があるみたいで、面白い構造をしている。

當然、宇宙にもいける。

プラネットオーバースルーシステムというよくわからないのを用いることで、人類も天界も宇宙に行ったことがあるんだそうだ。

さらに、人間には1人1つの超能力が天界から與えられるらしい。

その中でも、僕の超能力は、全知全能に近いものだった。

するとさえ思わなければこの超能力は発しないけれど、それでも強力であり、今までこんな超能力を持った人間はいなかったらしい。

6歳になって、僕はある研究所に連行された。

危険因子である僕を解剖したかったらしい。

だが、解剖する科學者たちがメスをれる直前に気絶したそうだ。

僕を意図的に捌くのは無理らしい。

こんな危険な僕は生かして置けないと論爭になったと聞いたが、僕は前世の記憶もあって落ち著いてるし、普段の生活もキチンとしてるからと特別な措置はなかった。

だけど、能力を有用するため、毎週日曜日には警察署に行って命令をけ、その指示通りにすることが約束だった。

指示の容は多種多様。

外國の紛爭を止めたり、病院の患者さんを治したり、工事の手伝いだったり、僕の贖罪にも繋がることだった。

だけど、家の人たちが僕を見る目が変わった。

警部さんには奧さんと2人の子供がいて、奧さんが僕を疎み始めたんだ。

それも仕方ないと思う。

僕は想像しただけで人を殺したり消したりできるような存在。

全知全能っていう不運にも授かってしまった力だけで、僕を嫌ったって仕方ない。

それに、僕が苦しければ――それも贖罪に繋がるかもしれない。

警察署の指令をけてそこから多額のお給金も貰えるから、僕は1人暮らしを始めた。

警部さんは僕を1人の息子のように扱ってくれてたから辛そうだったけど、よくフラフラ家に來て苦労話を聞かせに來る。

今のところ、生活も問題なかった。

元々僕は、家事全般もこなせてたから。

1つだけ辛いのは、普段は能力を隠してなければいけないということ。

偉い人の命令で、普段はテレキネシスだけで生活しているのだ。

それでも、前世と比べたら楽だけど……。

一応、小學校にも通い始めて友達も何人かできた。

前世持ちというハンディキャップがあるけど、格がナメられてるみたいでお調子者に悪戯されることはたまにある。

でも僕の方がさらなる罠を仕掛けたりして、本當に小學生らしく、楽しく過ごしたと思う。

そう、楽しく――。

「……生きてる」

気がつくと、賃貸アパートの中で倒れていた。

このアパートは僕の家で、変な貍のぬいぐるみとか水の抱き枕が置いてある。

その中心にて、僕は倒れていた。

手にはに濡れた包丁を持って……。

「……痛かったなぁ」

包丁を見ながら1人呟く。

僕は、自分を刺した。

苦しければ、それだけ贖罪になるから。

普通なら死ぬんだろう。

だけれど、僕は不死だった。

前世で転生される前、あの死神が不死だと言っていたような気がしたが、それは本當だったらしい。

刺しても、頭を砕いても、溶かしても、凍らせても、引き裂いても、潰しても、1億ボルトの電圧を流しても、どんなことをしようと死ぬことがない。

だけど、痛みがあれば、辛くあれば、それが償いになると思った。

頭の中に思い描く黒髪のの顔はまだ離れない。

僕は、彼を裏切ってしまった。

は僕をしてくれていたというのに……。

だから――また、僕は――痛みを――。

その生活は15歳まで続いた。

その時には貯金で家も買って、2階建てで庭付きの広い所に住んでいた。

それ以外には変わらない。

痛みをじ、命令に従って善行をして、あとは普通の學校生活。

給金は不要と思えば寄付することも多々あった。

家を買ったのは、いろんな人が遊びに來る事が多くて、アパートじゃ近所迷だったから、という理由でしかない。

魂の抜けたような人の人生、ってじだった。

いや、事実そうだ。

僕は魂を、死神に取られたんだから……。

だけれど――。

僕の魂を復活させる、そんな出會いがあったんだ――。

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