《連奏歌〜惜のレクイエム〜》第四話

し遅めの朝食は靜かに過ぎ去り、僕は食を流しに水で浸してからとテーブルについた。

「えーっと……々聞きたい事はあるけど、とりあえず、名前を教えてくれる?」

「名前?名前はサィファル・ダス・エキュムバド・ラシュミヌット。長いからサラって呼んでくれて構わないわ。今までもそう呼ばれてたし」

「……うん。じゃあサラって呼ぶね。僕は響川瑞揶。よろしく」

「……こちらこそ、よろしく」

握手を求めて手をばすと、彼は力強く握り返してくれた。

魔人の力は強い……。

手を離して、改めて話を切り出す。

「訊きたいんだけど、昨日空から降ってきたのはどういうことなの?」

「……ちょっとした親子喧嘩よ。魔族にはよくあることなの」

「お、親子喧嘩……。それはそれは、お気の毒さま……」

親子喧嘩で大気を渡って地球に來させられ、重傷まで負っていたんだ。

もしそんな事が日常茶飯事なら、僕は魔族になれる気がしない。

「哀れがられることでもないわよ。なんたって、これで自由ですもの!」

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バン! とテーブルを叩き、高揚したサラが聲を張り上げた。

心の底から嬉しいというような笑顔を浮かべ、鼻息を荒くして。

「……自由?」

「まぁ聞きなさい。私達魔王の妾の子は大軍隊に配屬させられてしまうのよ。死ぬまでね。私は嫌だったから基地ごと破させていろんな人と抜けてきたわけ。生き殘ったのが何人だかは知らないけど、私はこうして生きて自由を摑んでいるわ」

「う、うん、そう……」

どうにも僕には現実味が無くて素直に話を飲み込めないが、彼がそういうならそういう事なのだろう。

「まぁ、でも、そうね……。治療してくれたのは貴方なんでしょう?」

「うん、そうだけど……」

「そ、ありがと。謝するわ」

「いやいや、そんなたいしたことは……」

「…………」

する僕を不思議な様子でサラが眺める。

首を捻り、し髪を弄ったりしてから僕の顔を覗き込んだ。

「貴方、目が見えてないの?」

「いや、見えてるけど……」

突拍子もなく変な質問をされ、しおどけながらも普通に答える。

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「……ふぅむ。こうしましょう」

「え?」

不意に、顎を摑まれる。

何を――と思った時には彼の顔が目前にあり、れ合った。

「……ッ」

「……ダメかしら?」

顔を離し、摑まれた腕がゆっくりと離れる。

サラは何か考えるようにして頭を捻っているが、そんな事関係なく僕は立ち上がった。

「……ん? どこ行くのよ?」

「……し……待ってて……適當に寛いでて良いから……」

「わ、わかったわ……」

とてつもなく低い聲に臆したのか、反論は無かった。

重たい足取りで自室に向かい、超能力で侵できないような結界を作る。

そして、手には短刀を。

超能力で練り上げた短刀は黒一で、心のを良く表していた。

そして、その短刀を――。

一方、サラはリビングで考え込んでいた。

原因は、瑞揶に魔人の【魅了】が効かない事にある。

「本気で【魅了】を使ったのに、何故効かないのかしら……ない? される事をんでないのかはたまた……超能力? 何か使ってるようには思えないけど……単に質なのかしらねぇ」

といいつつも、質という事はないと予想できた。

質で魔法をどうこうできるわけじゃあるまいし。

「とか考えてても仕方ないか。あの坊主、何してるのかしら?」

もうトイレを済ますぐらいの時間は経ったが、年は帰ってこない。

まさか、逃げられただろうか?

がバレてるし、警察に告とか……。

「……いや、仮にそうだとしても私は外に出れない。可能がないうちは外に出ず、あの子を探すかな」

なんだか居ても経っても居られなくなってきて、年を探し始める。

廊下を通り、バタバタと扉を開けて確認し、閉める。

廊下奧の扉、そこは開かなかった。

「あら? 結界ね」

超能力だろうか、結界がられていている。

それなりに強力ではあるが、私に解けないほどでもない。

「ふんっ」

手から扉に魔力を流し込むと、何か瀬戸が割れるような音がする。

結界が壊れたのだ。

私は悠々とノブに手を付け、左に回す。

「失禮~」

大きく扉を開ける。

しかし、そこに目的の人は居なかった。

青っぽい、それでいて暗い室

「ふむ」

何歩か進み、クローゼットを開けるが、類があるだけで彼はいない。

「……まったく、どこいったのかし――」

後ろを振り返ると、驚愕した。

年が壁に倒れている。

に、細長い鉄の棒を突き刺してーー。

「え? 噓……」

恐る恐る近付き、左手をとって脈を測る。

無い。

脈はもう無い。

 完全に死んでいた。

「――いよぉおおおおおおしっ!!!」

人間が死んでいるというのに、私はガッツポーズをして喜んだ。

面倒な年が死に、この家は今完全に私のものになった。

親とかが帰ってきたにしても殺せばいい。

もう1人死んでいるなら後何人殺しても、私には変わりなくじた。

さてさて、では通帳とか確認してきましょうかね〜?

妙に足取りが軽い様子でその場を後にし、冷たい死に別れを告げた。

……どれくらい倒れていた事だろう。

人を待たせるなんて、失禮な事をしたと思う。

でも、これが僕のやる事だから、ごめんなさい……。

僕は再び目覚めてから心の中で謝罪をし、部屋の中を見渡す。

「……結界、破られたか」

かなり強力なものだった筈だけど、魔王の娘には効かなかったらしい。

……見られたのか。

何が起きたのか、理解されただろうか?

……まぁ、どっちでもいいか、僕の事なんて。

「……まだ家にいるかな?」

居ても居なくても、僕にとって悪い事は無いんだけど。

廊下に出ると、リビングからテレビの音が聞こえる。

音につられてのそのそとリビングまで顔を出すと、サラがテレビを見ていた。

髪が濡れている事からシャワーでも浴びたのだろう、しかも僕の服を著てるし。

クローゼットから出してたのかな……。

「……あのー」

「ん? ……!!」

「……こんにちは?」

なんとなく、挨拶をした。

サラはまるでゾンビでも見たかのように驚いて口をパクパクさせてる。

「なんで生きてるのよぉぉおおおお!!?」

途端に絶が響く。

うん、まぁその反応が普通だろう。

「……なんでって言われたら、不死だからだけど。兎に角、君がこれからどうするかについて話そうよ」

「……うぇー」

サラは何故か嫌そうな顔をしながら、しぶしぶと頷くのであった。

僕が生きてちゃそんなにまずいのか……。

まぁそれをひっくるめて、し話そうか。

ソファに僕は腰掛けて、サラのの上を更に詳しく訊いた。

當然だが、極組織のようなものから走なんかしたら捕まるか殺されるわけで、彼は追われのらしい。

だから僕に【魅了】を何度か掛けて家に居させてもらおうとしたが、失敗してキスまでした。

それも失敗してこれからどうするか、と。

「別に、人を困らせたりしなかったら居ても良いけど……」

「……本當? 私、酷い事したわよね?」

「……別にいいよっ。終わった事でしょ」

【魅了】は法律で止されてるんだが、僕は被害が出ない限りは気にしない。

というか、僕には効かないんだからなかったも同然だ。

「……なら、よろしくさせてもらうわね」

「うん。基本的には好き勝手使って良いから。困ったらなんでも言って」

普通の一軒家だし、住み心地悪いということも多分ないし、困らないとは思うけど。

あ、DVDプレーヤーは持ってないや。

困る……かな?

「了解よ。それにしても、不死ねぇ?人間は1人1つ、天界から能力が與えられてるらしいけど、それが貴方の能力?」

「ん? ううん、これは死神に押し付けられた能力なんだ。本當の能力は、考えた事を現実にできる力だよっ?」

「…………」

「な、何?」

「……頭痛くなってきたわ」

「水飲む?」

「いらないわっ!」

激しく突っぱねられる。

うん、二日酔いじゃないんだからそれが正解。

なんてことはどうでもいい。

「それじゃあ、どうしようか〜っ。よくわからないけど、戸籍とか必要だよね?」

「えぇ。あと、今までの私の存在を抹消してしいわ。追手とか來たら困るでしょ?」

「うーん、それならすぐできるかな……」

今までのサラがどこどこに居たって記録を消せばいいということは、そう願えばそうなるからすぐできる。

でも、戸籍とか住民票とかって、もっと他にもたくさん作るものあるよね?

あぁ、調べなきゃなぁ……。

「……あ、もう今まで暮らしてたサラの記録消したから。これから一緒に図書館行かない?」

「え? 何? 終わったの?」

「うん。別に何ら作が必要じゃなかったし、終わったけど?」

「……現実味無いわねぇ」

「死んで生き返った僕が言ってるんだけど……」

「そう言われると、なにも言い返せないわ」

ふうっとサラが息を吐く。

死んでも生き返る僕だしね、うん。

これで信じてもらえなかったら、僕こそ返す言葉もない。

「でも、なんで図書館な訳?」

「だって、戸籍以外にも作るものとかありそうでしょ? どうせなら、母子手帳まで作っちゃう?」

「誰が母親なのよ……」

「……確かに、変な事になっちゃうね」

そこまでのものは必要ないだろう。

でも、何かと持ってて損しないものは作らないといけない。

保険証とか、學歴とかも……。

「あと、々と買うものもあるよね?」

サラに尋ねてみると、彼の眉間にシワが寄った。

え、なんで?

「……服?」

「いやいや、それだけじゃないでしょ?サラはの子だし、化粧品とかシャンプーとか日用品と、他にもタンスとか機とか雑貨、あと……攜帯とか。取り敢えず、見に行こうね」

「……貴方、なんか楽しそうね?」

「え、そう?」

思ってもないことを言われ、自分の言を振り返ってみる。

……別に変なことは言ってないような。

「……若干笑ってるし、多弁よ?」

「……うーん。僕、基本こんなじです……」

「……そう」

なんか引き気味な反応が返ってくる。

……えと、なんか駄目でしょうか?

よくわからないけど、これ以上引かれないうちに次の行へ移したほうがよさそうだ。

「取り敢えず、僕は出掛ける用意してくるから、ここで適當に寛くつろいでて」

「……わかったわ」

僕は逃げるようにしてリビングを抜け出した。

最後までジト目で、僕が去る間際に彼は呟く。

「……々しいわね」

その言葉はかなり僕の心を抉ったが、もう待たせないように回しを急ぐのだった。

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