《連奏歌〜惜のレクイエム〜》第三話

『満たせ!!』

聲を重ねて攻撃をぶつけ合う。

範囲の指定なき全攻撃を互いに自分を中心に衝撃波が世界を満たし、あたりのビル群が全て塵へと帰化した。

空を突き破り、世界を塗り替えるような攻撃にも関わらずお互いにまだ傷ひとつない。

力は拮抗している。

「塗り替えろ!」

アキューがぶと共に彼の衝撃波のが青く変し威力が増した。

【悠由覧ゆうゆうらんらん】同士での攻撃はただの毆り合いのようなもの、攻撃を上乗せすればそれだけ強くなる。

だったら僕も――

「塗り替えろ!」

「塗り替えろ!!」

「塗り替えろ!!!」

捲りめくを変える衝撃波と衝撃波がぶつかり合う。

地表はもはや崩壊し、地割れによってあたりから赤々しいマグマが噴される。

その赤もが塗り替えられ、一瞬のうちに昇華して靄もやとなった。

「しつこいなぁ!!!」

「だったら僕たちを見逃してよ!」

「それは出來ない――ね!!」

「ッ!?」

突如、頭が割れそうなほど痛くなった。

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なんだ――アキューは何をした?

「アキュー……なにを……!?」

理攻撃はもはや無意味だ。力が拮抗しあい、充満したこの空間ではね。だから神に攻撃をした・・・・・・・・。」

「なんだって!?」

脳にある頭痛は神攻撃によるものだというのか。

確かに【悠由覧ゆうゆうらんらん】同士では攻撃をいくらしても仕方がない。

だけど、僕の脳……神に干渉は絶対にさせないようにしてきた。

それは當然、【絶対の力】を使って……。

それを今、僕の力をこじ破って心に潛り込もうとしている。

僕の神がタフじゃないことは自分でもわかっている、だからなんとしても守りたい。

だから――!

「グッ!? ク、ハハハハッ!!! 瑞揶、貴様もか!?」

「僕がやられる前に、君の神を侵す!」

「やってみろ! 僕は君のように神、心をひた隠しにする気はない!! さぁこい!!!」

自ら心を開くという彼の心に、僕は無遠慮に僕の神をダイブさせた。

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彼の神世界、そこは図書館だった。

1階、2階だけでは足りない、天までびた、螺旋階段のある円筒狀の建

どういう事だと、超能力で場所の容を詮索した。

結果、ここはアキューの記憶の部屋だった。

無限とも言える、アキューの脳に保存された報が本に凝されている。

こんなものを、どうやって侵すというのか――。

天井の先は見えない、この本全てを燃やしたり濡らしたりして、果たしてそれは効果があるのだろうか。

もっと、アキューの核心を突くような出來事を探り、そこからアキューを狂わせないと――。

「“Compression”――」

この図書館全ての報を圧化し、アキューの神を作り上げた報を得る。

僕の手元には一冊の本が出來ていた。

200ページほどの、単行本のようなもの。

黃緑の表紙には文字はなく、描かれているものは何もない。

僕は本を開いた。

時間がない、超能力で読み通す――。

そこは半分の世界だった。

あらゆる理法則を乗り越え、その星ともう1つ隣接する星がくっつき、2つの星があるその世界は【クオトラーガ】と呼ばれていた。

生命のオスとメスはもともと1つであったとし、半分に別れてオスとメスになった。

この世にプラスとマイナスがあるように、S極とN極があるように、2つのものは引き合う。

これは、そんなしい世界での、1つの悲しい語――。

「――痛いっ!?」

唐突に毆られ、僕は上を見上げた。

頭頂部に殘る鈍痛の正馴染みの毆打によるもので、僕を見下ろすは口をキュッと閉じてあからさまに怒っていた。

「いっ、たいなぁ……。セイ、何をするんだ」

「アキューがまた研究所に篭ってるって聞いて、たまには外に出そうと思っただけよ」

「だからって毆るのは――っておい! 襟を持つな! 引きずるな! が!がぁぁあああ!!!?」

ズザザザと馬鹿力のセイに引きずられ、大量の印刷とモニターばかりが並ぶ部屋を出される。

1つ部屋から出れば、そこは赤と青のが混ざって優しいピンクのような、紫が差し込む廊下だった。

結局立たされ、研究施設の並ぶ道を歩かされた。

「まったく、アキューはいっつも研究所に引きこもってばかりなんだから。16歳で海外の研究所に派遣されるぐらい頭がいいのに、なんでこうなっちゃったのかしら?」

僕の前で黒髪をなびかせながらズカズカと歩いているはセイ・ヌメラナス・フラムナルという名を持つ僕の馴染。

列記としたであり、そこそこ良いつきをした16歳の――ぐらいの印象で、僕はコイツに別段興味をそそられない。

しかし、コイツは國を超えた僕にわざわざ付いてきて僕の研究の邪魔をするという、大変厄介なだ。

「僕の心は“自由と自由”だろう? 生まれた頃からこうなのさ」

「あーはいはい、そうだったわねーっ」

バカにするように彼は大聲を出し、てくてくと歩いていく。

まだこの國の言語も覚えてないくせに、1人で行して……。

「心が“と世話”の奴のくせに、しっかりしてるのは格だけで頭はスッカラカンだな」

「な、なんですって〜!?」

振り返り、顔を真っ赤にしてむくれるセイ。

はー、まったくめんどくさい。

「僕は研究に戻る。買いなら1人で行け」

「わーっ! ズルいわよアキュー! 私まだこの國の人と會話できないんだからーっ!」

「…………」

めんどくさいが、しぐらい買いに付き合うことにした。

やっと隣り合って歩き、セイの言うことを聞き流しながらこの世界のことについて考える。

この世界の大部分は人間が征服しており、2つの星は人間の手中にあるといっていい。

【クオトラージュ】と呼ばれるこの星、生まれてくる人間の神、心の半分ともう半分の特を持って生まれる。

例えば、セイの場合はと世話。

隣で歩き、僕に何か話している彼の心、その半分は、もう半分は世話。

僕の場合は特別、自由と自由だった。

これは生まれた時に病院で検査してわかる。

変な話だ、人の心がわかる裝置があるなんて。

大変興味がそそられる――。

この世界の文明は高度といっていい。

星を滅ぼすほどの兵も開発されているし、僕がこのまま研究すれば遠くない未來に“不老不死”が誕生すると言っても過言ではない。

ただ、それはクローンに自分の記憶を引き継がせる、という形なわけだから、実際にはが死ぬんだが――ともかく、文明はかなり高度だ。

セイは翻訳機すら使えないトンチンカンだが、ボタン1つで翻訳できる機械をそのうち買ってやろうと思う。

こうして世界はのどかでかなわけだが――1つだけ、人間を恐怖させる存在がある。

2つの星、そこにはそれぞれ男の神が居る。

この神々は世界を1年間かにする代わり、男100人ずつを年に1度喰らう。

それも、場所がわかっているのだから食われる畫がネットに出回るし、それを見て興する若者もいるとかどうとか。

呼び出される100人は人間で指定でき、世界的に発表される。

まぁ、どうせクズばかり集めるんだが――人が食われる様を畫で見て喜ぶ奴が居ると思うと、ヘドがでる。

もっとも、僕らが呼び出されない限りはどうでもいいが――

神様を解剖してみたい。

神様がどうなってるのか見てみたい。

そうゆう好奇心を抑えるのが、僕はそろそろ限界だ。

今は不老不死に興味があるとはいえ――この興味が失せたら、次は神だ。

僕は賢い、科學の本を貪るように読み盡くし、世界を震撼させる発見をいくつもして、ついには不老不死にまで手を出した。

あと10年――いや、5年あれば、僕は――。

「――アキュー!」

「ん……? ぐはっ!!?」

呼ばれたと思えば、頰にビンタをもらった。

首が90°曲がるぐらい強烈なビンタだった。

なんだこの、スタイルが良くて家事が多できるぐらいしか取り柄のない分際で――

「――僕に何をする!」

「アキューが私の話を全然聞かないからでしょう!? このヘルメットヘア! 研究バカ!」

「僕は求に正直なだけだ! 口うるさいめ!」

「きゃーっ!!? 摑むんじゃないわよっ!!!」

「がふっ!?」

ブラウスの下に隠されたを鷲摑みしたら、グーで顔面を毆られた。

パンチの勢いに負けて倒れる。

……コイツ。

「どうやら躾が必要らしいな。帰ったらちょっと拷問をしよう……な?」

「じゃあアキューの今晩の食事はなしだから。フフフ、これから貴方は何を食べて生きていくのかしら? 自由に生き過ぎて私以外あまり仲良くなれない貴方はこれから1人で寂しく毎日研究し、人生を浪費して一生獨りで生きていく。たった1人の馴染にも見限られて終わりね。一生貞、引きこもり、研究しか取り柄のないちっぽけな男――」

「あーもう、うるさいな!!! よく喋るのはわかってるからご飯の時だけ話せ!!」

「あら、私のご飯を食べると?」

「君のご飯を食べなければ僕は何を食べるんだ」

「ふふっ、そうよね♪」

手を引かれ、キュッと腕を抱きしめられる。

あからさまに僕に好意を持っているらしいが、僕なんかを好いてるとは変な奴だ。

研究果で得た金がしいのか?

數億程度は渡してやったがなぁ。

「お前は変な奴だ」

「あら、アキューにだけは言われたくないわよ?」

「……違いない」

僕の格も人のことは言えないため、僕は口を閉ざすのだった。

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