「ナエトくんもレリも、戻ってこないねーっ？」

「今更こっちに戻ってくるとは思えないわ。もう冬だし、帰ってこないでしょ」

「……そーだねーっ」

秋が過ぎ去り、木々は葉を落として冷たい季節になっていた。

家ではソファーとテーブルを片付け、こたつを出していつも3人でっている。

リビングにもエアコンがあるけど、それでもこたつは良いもので、手も足もれてぬくぬくとあったまる。

それが現狀だったりする。

今日は土曜日、みんなが家にいる日。

そうでなくても家にいる瀬羅は最近重が気になりだしたようで、今はをかしに出掛けていた。

沙羅と2人きりだと思うと、が熱い……のはこたつのせいじゃないよね。

「とう〜」

こたつの中にって沙羅の足に抱きつく。

こたつの中暑い……けど沙羅の足〜っ。

「ぬぁ〜っ、引っ付かないでよ。暑いっ」

「こたつの中はもっと暑いよ〜っ」

「なら出なさいよ……」

呆れられたので出ることに。

沙羅の隣に顔を出し、彼の膝下に頬りをした。

「……なにすんのよ」

「……なにしてるんだろう？」

「頬りよね」

「頬りだね？」

「…………」

「……にゃー？」

沙羅がを橫たえ、首から下までをこたつの中に潛り込ませた。

目と目が合い、見つめられるとなんだか恥ずかしい。

「……瑞揶って、ほんと甘えん坊よね」

「にゃーだもんっ」

「はいはいっ……」

「逆に、沙羅は甘えてこないよね……。外だと抱きついてくるのになぁ〜……」

「……寂しい？」

「……こうして近くに居るから、全然寂しくないよ」

「……そう」

「うん……」

「…………」

「…………」

お互いに無言になる。

見つめ合うと恥ずかしくて、目線を逸らしてしまった。

見慣れた顔なのに、が熱くなって苦しい。

ドキドキしながら彼の手を探す。

こたつの中だと狹いから抱きつけないけど、せめて手を繋ぎたい。

探っていると、何からかいものに手がれる。

なんだろうこれ？

ちょうど手に収まるじでむにゅむにゅする。

……んー？

「……どこってんのかしら？」

「えっ……」

ビクリと顔を上げると、沙羅が顔を赤くして頬をヒクつかせていた。

睨んでるように見える瞳は潤んでるようにも見える。

そしてやっと、ってるものの正に気付いた。

「ご、ごめん……。手を探してたのに、なんからかいものがあったから――」

「……瑞揶ならどこってもいいけど、許可を取りなさい」

「え、あ……う、うん……？」

手を離し、から腕を伝って彼の手を見つけて握った。

沙羅の顔は真っ赤になっていて、手も暖かかった。

目をそらしてそっぽを向くような彼も可くて、沙羅の桃のにキスをする。

もう何回としたキス、なのに飽きることなく今日もを重ねた。

沙羅の方も抵抗なく僕をけれてくれる。

「……ポカポカだね」

「アンタのせいよ……」

「えへへっ」

「……もー」

2人でこたつから出た。

そして暫くの間、2人抱きつきあっていた――。

◇

「新年明けまして！」

「おめでとうにゃー！」

『…………』

あっという間に年明けを迎え、深夜に突如現れたちゃんとポーズを取ってみんなに挨拶。

そんな響川家のリビングには客人が2人いた。

家族の沙羅と瀬羅を始め、今夜は瑛彥と理優が居る。

みんなこたつにって僕らを白い目で見ていた。

「……にゃー隊長！　みんな興味なさそうですっ！」

「ねこさん、耐えるにゃー！　理優！　君もこっちに來るにゃー！」

「アンタ達うっさいわよ。つーかなんでがいるわけ？」

「新年の挨拶につかまつもうたり……あれ、言葉変かな？」

「めっちゃ変よ」

沙羅にツッコまれてちゃんは「にゃはーっ」と言いながら倒れる。

あららら……。

「まったくよー、ズズーッ……ここは騒がしいよなー、ズズーッ」

「アンタは年越し蕎麥食いに來ただけじゃない。人ん家で年越し蕎麥食おうなんて何考えてんのよ」

「さーちゃん、お蕎麥を食べるのは良いことだよっ。あと瑞揶くん、おかわり」

「姉さんも年明けてるのに年越し蕎麥食べないでくれる？」

瑛彥も瀬羅も沙羅にツッコミを食らう。

でもダメージは無いようで、僕は瀬羅からお皿をけ取った。

今日のために5kg分のお蕎麥買ってあるし、まだまだ茹ゆでるよ〜っ。

ネギも小口切りですっ。

「まったくもう、全然年が明けた気分じゃないわ。つーか、アンタは他の神とかに挨拶回りしなくていいわけ？」

「大はメールみたいなので済ませるよー？　ほら、一斉送信ってやつ！」

「すごく親近湧く発言するのやめて、ホントに。私も一斉送信派なのよ……」

「神様に親近って、沙羅もついにねこさんの凄さがわかったようだね！」

「わからないから」

そんな會話を耳にしながらネギをトントン切る。

ちゃんも久々に會ったのに変わらないな〜っ。

「ねぇねぇ理優ちゃん。このグミ、し食べていいかな？」

「いいですよ〜っ。どうぞっ」

瀬羅と理優もグミを食べ合い、瑛彥は蕎麥をズルズル食べている。

年明けの響川家も平和なのでした。