《連奏歌〜惜のレクイエム〜》第13話

今日はお義父さんが孫の顔を見に來ていたりする。

ついでに瀬羅も子供を連れて帰って來てたり。

旦那さんの方は仕事らしく、居ないけど。

「まったく、孫がいつの間にやら2人も居るとはなぁ……」

「おじーかん!」

「お爺様!?」

呂律の回らないうちの娘とは違い、1つ年上の瀬羅の娘は呂律が回るけど、驚いてばかりだった。

「はぅ〜っ! やっぱりこの家のご飯が一番味しいよぅ〜……。瑞揶くん、おかわりっ」

「はーいっ。いやぁ、久し振りに業務用炊飯を出したよ……」

「……この家にそんなもんがあったのか」

孫娘2人にひっつかれながら戦慄するお義父さん。

瀬羅専用の炊飯でーすっ。

ちなみに時刻は午後2時で、お晝時とは言えない。

おやつ覚で瀬羅はパクパクとご飯を食べている。

おかずを作るのも、もちろん僕。

「……なんだか、見てる私まで食べたくなってきたわ。瑞揶、私にもお願い」

「は〜いっ」

キッチリ呼び名を切り替えている沙羅にもご飯とおかずに鯖さばの味噌煮とサラダ、卵焼きを提供する。

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「瑞揶、焼き鳥作ってくれ。あと生ビール一丁」

「お義父さん、うちは居酒屋じゃないんだけど」

ちなみに僕はビール飲まないので、家には置いてませんッ。

沙羅が飲み會とかでベロンベロンに酔って帰ってくることはあるけどねーっ。

「僕が酔ったら、うっかり世界征服しちゃうかもしれないし〜っ。はい、沙羅の分」

「定食屋並みの料理出すのに、炭酸の類は一切ダメなのよね。酔った瑞揶に襲われてみたいわ……」

「むぐっ!?」

「ぶっ!!」

沙羅の発言に、箸を口にれた瀬羅とお義父さんが吹き出す。

沙羅、晝間に何言うのさ……。

「じゃー沙羅、明日サイダー買ってきてね」

「んーっ」

首を縦に振り、そのまま箸を持って黙々と食べ始める沙羅。

お晝食べた後だけど箸のペースはいつもと変わらず、すぐに食べ終わりそうだった。

「瑞揶くん、おかわりっ!」

そして瀬羅のおかわりは早く、今度は炊飯ごと持ってくるのであった。

それから30分、雑談しながらご飯を食べた。

ひと段落して、リビングでお茶を飲んだり子供を積み木で遊ばせたりする。

「どうだ、積み木で警視庁作ったぞ」

「お義父さんはやらなくていいから……」

「まぁまぁ、いいじゃないか。孫娘と遊べる機會もあまりないんだから、な?」

ニヤリと笑い、うちの娘の頭をで回すお義父さん。

……怪しいおじさんですにゃー。

「ユイファルね。今までのじならユラで呼ぶのかしら?」

「ううん、ユイって呼んでるよ〜♪ ゆーるって呼ぶと両手をばしてくれて、ユファって呼ぶと足開くの」

「……はぁ、そう?」

響川ファミリーの姉妹が瀬羅の娘の話をし、話の中心であるユイちゃんは積み木を咥くわえながら手を叩いている。

大きさからして飲み込む心配はないけど、ずっと僕の方を見ていて怖い。

あやしてしい……のかな?

ユイの正面に座ってみる。

すると、彼は積み木を吹き出した。

「いたっ」

赤く四角い積み木が僕の顔に當たる。

こ、攻撃?

何事ですにゃ?

「おじさん、だっこーっ!」

「おじ……。わ、わかったよ……」

僕もそんな歳かなぁ〜と思いながら、ユイを抱き上げた。

だっこしてゆっくり揺れると、耳元でキャーキャーと歓聲をあげてくれる。

沙綾も可いけど、ユイも可いね〜っ。

「み、瑞揶くんに懐いてる……」

の塊だし、そりゃあね。沙綾が夜泣きしたら瑞揶に抱かせると、すぐ泣き止むし」

「……うちの主人が抱くと、大泣きするのに」

「それは格の問題だと思うけど……」

何て事がまた聞こえてくる。

コウヤさんは聲も暗いし、目つきも怖いから……。

「ユイちゃん、にゃーだよ?」

「にゃー?」

「にゃー♪」

「にゃーっ!!!」

にゃーと言いながらペチペチ僕の頬を叩いてくる。

痛くないけど、たまに目に當たる……。

そろそろ手に負えないから、母の元へ向かわした。

「おかーさん、にゃーだって!」

「にゃー? にゃーなの?」

「うん!! にゃ〜っ!」

「うふふっ、そっかぁ〜」

ニコニコ笑う瀬羅親子。

いーなー、可いなーっ。

「どれ、私にも抱かせてみなさい」

「えっ、さーちゃんは……」

「なによ?」

沙羅がジロリと瀬羅を見る。

なんでもないと瀬羅は屈し、沙羅はユイちゃんの脇を持った。

パチンッ

しかし、その手はユイちゃんの手で叩かれる。

「……おかーさん、この人、悪い人ぉ?」

「…………」

「ゆ、ユイっ。ごめんねさーちゃん! でも、さーちゃんも目つきがあれだから……」

「……いや、いいわ」

沙羅は立ち上がり、とぼとぼと僕の方に向かってくる。

そしてなんの許可もなく僕の膝の上に座って來た。

「……子供って難しいわね」

「將來は仲良くなれるよ……。元気出してっ」

「……むーっ」

「おかーかん!」

不意に、沙綾がハイハイしながらこっちにやってきた。

一人殘されたお義父さんは瀬羅と話している。

沙羅は沙綾を抱き上げて、その膝の上に乗せた。

「どうしたの? ご飯?」

もうあまり授しなくなってきたけど、たまにしないと泣くこともあったり。

「おかーかん、えへへ〜っ」

「んー? どーしたのー?」

「にゅーっ」

「……にゃー?」

沙綾も沙羅のほっぺをペチペチ叩く。

もちろん、それはスキンシップとして。

沙羅も沙綾の頬をで、額にキスをした。

えへへへとあどけない笑顔を返され、沙羅は笑った。

「お前ら、もうすっかり親だなぁ〜。特に瑞揶が親だなんて、俺は今も信じられん……」

「お義父さん……」

「くそぉ……。瑞揶を拾った日の事を昨日のように思い出すのに、もう親か……。こんなに大きくなって……くぅう」

「涙出てないよ……」

「なんでバレた……」

「…………」

饒舌で目元にハンカチ當てたら、9割怪しいです。

それはともかく、こうして響川のみんなが揃うことは珍しくて、歓談はまだまだ続いた。

たまにこんなイベントがあったりして季節も巡り、年も変わる。

最近は瑛彥と理優が結婚したらしく、これといった出來事は結婚式に出たぐらい。

後は、沙綾が立ったとか、家庭で嬉しい事があったり。

3歳になって、沙綾も稚園に行くようになった。

人見知りもなく、沙羅と一緒に稚園へ向かっていく。

迎えは僕だけど、沙綾もたくさん喋るようになって帰りに買いに寄ったりすると楽しい。

お菓子もねだられるけどね……。

5時か6時になると、沙羅が帰ってくる。

帰宅したら沙綾がドタドタ走って迎えに行き、2人でリビングに來るのが日常。

「でもま、小學生ぐらいになったら迎えにも來なくなるでしょ」

というのが沙羅の見解だけど、そーかなー?

それからご飯食べてお風呂って、我が家ならではの夜の時間がやってくる。

「今日はこんなの考えたんだよーっ。聴いてねっ」

「はーいっ」

「はーい!」

沙羅が素っ気なく返し、沙綾は元気良く返事を返す。

それを聞いて僕は1つ頷き、楽を手に取った。

もちろん、僕の握るのはヴァイオリンである。

ゆったりとしたリズムを奏でた。

どこか艶やかで、脳に刺激を與えるような音楽。

沙羅はソファーに座ってどっしりと聴き、沙綾はにこにこ笑って音を楽しんでいる。

3分ちょっとの曲を披し、2人からパチパチと拍手を頂いた。

僕が暇なお晝の時間に考えたリズム、2人は嫌いじゃなさそうだ。

「お父さんすごーい!」

「ありがと〜、沙綾っ」

「ほんと、どこからそんなアイデアがポンポン出てくるのやら」

「あははっ……。僕は小さい時から音楽が好きだもんっ。にゃーにゃー♪」

「お父さん、私もやるーっ!」

「ああっ」

沙綾にヴァイオリンを奪い取られたり。

そしてガンガンと弓で本をバシバシ叩いて歌い出す。

「おとーさんー!♪ 音楽がぁあ!♪ じょおおずぅうだよぉぉお!!♪」

「壊れちゃうからやめてーっ!?」

彩綾の手を止めてヴァイオリンごと抱きしめると、沙綾も抱きしめ返してきた。

うぅ……どっちもしいけどぉ……。

ヴァイオリンは寶だから、やめてぇええ。

「……じゃ、私も吹くわね」

そう言って沙羅もフルートを取り出した。

僕と沙綾はそれを合図にせっせとソファーに座る。

沙羅も今では音楽を専攻していて、いろんなものを吸収しているのだ。

「ご靜聴ください」

優しい聲で告げられ、僕と沙綾は口を噤んでくのを止める。

沙羅が息を吸い、リッププレートに口を當てて、また安らかな音楽を広げていく。

こんな、しく素敵な音楽を聴いて過ごす夜。

明日もきっと、素敵な日が待っている。

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