《連奏歌〜惜のレクイエム〜》第19話

殆ほとんど家に居る僕からすれば毎日代わり映えがなく、平和な日々が続く。

沙綾もいよいよ高校生になって、すっかり昔の沙羅……よりもスカートが長いしもふくよかだし、優しい版の沙羅になっている。

娘の長もそうだけど、僕らも30代半ば。

この前會った瑛彥と理優は見かけがちょっと老けてきたように思えるが、子供は今中學生らしい。

環奈や聖兎くんのような魔人や天使は姿も変わらず元気にしている。

2人ともまだ學生だけど、聖兎くんは無し草として世界を旅するとか。

環奈は主婦になるか歌手になるか悩んでいるとか。

外部の近況はこんなところで、今日も響川家は平和です。

「ぐでーん」

「あー、ここに蹴りやすそうな球があるわねー。蹴っていいかしらー?」

「沙羅、それは僕の頭ですにゃぐえっ」

2頭ねこさんになった僕の頭が沙羅に踏まれる。

折角リビングのフローリングでのんびり寢転がってたのに、ふにゅうう。

「ぐえって、大丈夫?」

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「ねこさんモードの時はね、頭がゴムボールみたいにらかいから大丈夫だよっ。痛いけど、死なないし」

「ふーん……。それより、今日日曜よ。なんで家にいんのよ?」

「もう仕事終わらせてきたもんっ。ぶにゅんぶにゅん」

「弾はずんでる……。ねぇ沙綾、キャッチボールしましょ?」

「お父さんでキャッチボールはしないよぅ……」

沙羅に頭を鷲摑みにされ、リビングの様子を眺める。

ソファーに座った沙綾がテレビを見ながら拒否するも、沙羅は問答無用で僕を投げ飛ばした。

「にゃああああ!!?」

「わっ、なに!?」

沙綾の頭に僕の頭が直撃し、ソファーの上に落下する。

沙綾も怪我がないようですにゃ。

「ねこさん〜ぱわ〜が〜♪ にゃーぐし、にゃーにゃー! えいやー、にゃー!」

「踴ってるし……」

「ねこさん音頭おんどだよ!!」

「お父さん可い〜っ」

踴っていると、沙綾にむぎゅーっと抱きしめられる。

沙綾もにゃーが大好きなんですよーっ♪

「お父さんはともかく、日曜に3人揃ってるならどこか行く?」

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「家族旅行ですにゃー!?」

「ぐぇっ」

沙羅の提案に娘が驚いて僕をに埋める。

力強い、潰れる潰れるっ。

「あっ!? お父さん大丈夫!!?」

「大丈夫……だよーっ」

「そのまま潰れても良かったのに」

沙羅の言いが酷いですにゃ。

ともかく、急きょ家族旅行へ行く事になりました。

明日は月曜日だから日帰りは確実、みんなそれぞれ準備する事に。

僕は荷を揃えてリビングに戻る。

相変わらず一番乗りでしたっ。

「あら、やっぱり瑞揶が早いわね」

それから30秒ぐらいして、沙羅もやってくる。

白いワンピースとピンクのカーディガンというシンプルな格好ですにゃー。

「沙羅可い〜っ」

「……ありがとっ」

いと言うと、ちょっと顔を赤くして目を逸らされる。

今でも初々しくて、こういう仕草も可い……。

だからついつい抱きついて甘えていると、沙綾もやってきた。

「お待たせ――って、ああー!? いちゃいちゃしてるぅうう!!?」

「いちゃいちゃ中よ、戻りなさい」

「何言ってるのさ沙羅……。沙綾も服可い〜っ」

「…………」

「いたたたたたっ!!?」

沙綾の服裝も褒めると、抱きついている沙羅に耳をつねられる。

うにゅーっ、ごめんなさいぃ……。

「ふっふっふ、小悪魔系なのですっ」

のパーカーとニット帽、ボトムスはカモフラ柄のもの。

足が9割見えてるけど、こういうのは……

「ちょっと何よこれ? 足出し過ぎよ。私に対する當てつけ? はい、やり直し!」

「ちーがーうー! 私だって若いんだから足ぐらいだすよーっ! お母さんこそ、生足なんてお父さんにだけ見せてればいいんだよーっ!」

「これは私のポリシーなのよ! つーか娘がチャラついた格好してたら普通止めるでしょうが!!」

「もーっ! 私には私の格好があるのーっ!」

「……ふにゃー」

ひょんな事で喧嘩に発展するのでした。

の子ってわからないなぁ……。

い娘と嫁を見れて嬉しいんだけど……ううむ、こうなったらいつもの手を……。

「いい加減にしないと、2人ともねこさんの著ぐるみ著せるよ?」

「沙綾、若いうちにファッションを堪能しなさい」

「ありがとうお母さんっ」

と、こんなじで丸く収まる。

収まった後では

「お母さんは天使っぽいね〜っ」

「私達、著る服間違えてるわよね?」

「じゃあ帰ってきたら換しよっ?」

「ええ。……沙綾のだとのサイズが合わないのが尺だけどっ」

こんな會話をしていたり、喧嘩ばかりじゃなくていいですにゃー。

準備も整ったところで、沙羅は人差し指にキーホルダーのリングを指して回した。

「じゃ、私の車でいい?」

「わーいわーいっ!」

「久し振りの車〜! お父さんは運転できないからお母さん頼りなんだよねーっ♪」

「運転できなくてごめんなさい……」

実は、沙羅はだいぶ前に免許を取得し、僕達をドライブに連れてってくれたりする。

僕も教習所に通ってたけど、車の運転が怖過ぎてやめました……。

まぁ、足りないところは補い合うと言う事で……。

ともかく、ドライブで日帰りなのですっ。

それぞれ3人荷を持って家を出ました。

今日もお日様ポカポカいい天気なのにゃーっ。

「お父さん、車出して」

「はーいっ」

沙羅に指示され、能力で亜空間に仕舞っていた車を出す。

家に車庫が無いから仕舞うには能力使うかどこか場所を借りるしかないけど、亜空間なら車も雨で汚れたりしないし、洗車しなくていいからねっ。

赤い4人乗りの車を出し、沙羅がキーホルダーのボタンを押すと扉が開く。

運転席は沙羅、助手席は沙綾、沙羅の膝の上に2頭になった僕というのが定位置です。

シートベルトもしっかり締めて、出発しましたっ。

「で、行き先はどうする?」

「わーっ! いてますにゃーっ!」

「車いてる!? お父さんお母さん! わーっ、わーっ!」

「……アンタら聞いちゃいないわね」

車がくと沙羅の言葉も聞かずにはしゃぐのもいつもの事。

目的地は沙羅が勝手に決め、ドライブを楽しみました。

目的地に到著。

「沙羅が好きなやつだね〜っ」

「思い出深いのよ」

「私もここ好きだよーっ!」

沙羅が車を止めたのは初デートに著たテーマパークだった。

車で1時間ぐらい掛けて來るこの場所は3年に1回は來てるだろう。

そんなに頻度が高いわけじゃないけど、頻繁に來るものでもないしね。

「お父さん! ジェットコースター乗ろ!」

「いーやーだーっ!」

「今日こそお父さんと乗るんだから! お母さん、縛って!」

「さ、沙羅……」

「たまにはいいじゃない。さ、行くわよ」

「ひぃぃいい!!!」

賑やかなテーマパークに悲鳴が走る。

泣いても許してもらえず、強制連行されました。

ゴォォォォオオオオオオオ!!!

「うわぁぁぁぁぁぁぁああ!!! にゃーくん助けてぇぇええええええ!!!!」

「お父さんび過ぎーっ!」

「だらしないわよー」

「ひにゃぁぁぁぁああああああ!!!! 死んじゃう! 死んじゃうよぉぉぉおおぉぉおぉお!!!」

泣きぶも、助けてくれる手はありませんでした。

沙綾、格は僕譲りな気がするのになんで耐があるの……。

ひぃひぃ言いながらジェットコースターを降りてベンチにたどり著き、3人で座る。

そこで沙綾が飲みを買ってくると僕らに注文を取って飛び出していった。

元気だなぁ……。

「……瑞揶」

「ふにゃー? ――痛っ」

振り向いたらペチンとほっぺを叩かれた。

威力は弱かったけど……なんなのさー。

「痛いよ沙羅〜っ……」

「初デート思い出さない? あの日もアンタ、んでたわよ」

「ああ……。嫌な思い出だよ」

そんなこともあった。

僕はあの時んでたし、それからはジェットコースターもお化け屋敷も敬遠するようになったけど、今日はまだまだ振り回されそうだ。

「もうお化け屋敷なんてりたくないのにぃ……」

「……そう? 私はもう一度、瑞揶とりたいけど。思い返してみると、結構楽しかったし」

「えぇ〜……」

そんなことを言われると嫌でもりたくなってしまう。

ぶことになっても、沙羅が喜ぶならそれでいい。

「ていうか、ほら……。こうして2人で居ると、何か思わない……?」

僕の顔を覗き込み、紅した顔で僕の瞳を見つめてくる。

顔が近いし、何か期待するような目で見られてもわからないし……。

「え、と……な、何が?」

「……。ほんっともう……折角2人きりなのに。私への熱は消えちゃったわけ?」

「いやいや。今でも沙羅は大好きだけど、何をすれば……?」

「…………」

沙羅はじっと僕を見つめてから、短いキスをしてきた。

れ、すぐに離れていく彼の顔。

から真っ赤になった頬を見ると、どれだけ照れているのかが見て取れる。

僕もドキりとしたけれど、それよりも、どうしてこんな事をするのかという思いが強かった。

「沙羅、どうして……」

「……。またデート、したいのよ。察しなさい」

「…………」

むくれた様子で俯うつむいてしまう沙羅。

僕ははっきりと言われて漸く彼の真意を悟り、すぐに沙羅の手を摑む。

「沙羅! 來週はデートしよ! 僕だって沙羅と2人きりでどこか出かけたりしたい。絶対絶対行こうね!」

「……え、ええ。でも、急ね?」

「沙羅に言われたら、凄く行きたくなっちゃったんだよぅ……。沙羅、約束だからね!」

「……わかったわよ」

沙羅も顔を上げてクスリと笑い、僕も釣られて笑う。

丁度いいタイミングで沙綾も戻ってきて僕達は沙綾からジュースを貰った。

「あのね、私に近付いて來たおじさんがね、私の肩にった瞬間に吹っ飛んでったの。なんだったんだろう?」

(僕の能力と言っていいのか、悪いのか……)

戻ってきた娘の言葉には反応に困ったけれど、その後も3人でテーマパークを回りました。

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