《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》10
「隨分登りましたね……大丈夫ですかシルク様?」
「あぁ、問題ない…」
あぁ長かった……あれから恐ろしい威圧で知りたくも無い知識を聞かされてしまった、あの説教が終わって歩き始めた俺とヴァーム、あれからは休みなしなのでし辛い……いや俺は説教の事もあり心ともに疲れてるな、外でも神に大ダメージを與えられるんだな……何か泣けてきた、深く傷心していた時だ。
「さぁ著きましたよ、此処に商談の相手がいる筈です」
山頂付近に辿り著く、登り始めに比べて沢山の木が生えてる場所だ、ここが目的地と言う訳か。
「さっさと終わらせて帰りたい……」
心に思った言葉がつい出てしまう、するとそれに反応するヴァーム、つんつんと俺のを指でつっついてくる。
「おや? それは魔王城にですよね? まさか家に帰りたい……と言う意味で言って無いですよね? 呪いの件覚えてます?」
「何を言ってる、勿論、城に帰りたいって意味に決まってるじゃないか、ははははっ……はぁ」
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呪いの事が無かったら速攻で帰ってたよ……まぁ呪いが無くても俺の力じゃ無理か、自分で気付いて余計悲しくなってきた、くそぅ……俺は目から出て來る涙を拭う……泣いてる場合じゃないよな、此処に來るまで凄く疲れた、匂いを嗅がれたりコスプレ知識を話されたり、俺を見て「うふふふっ」と笑って寫真を撮ったり……男の娘についてを長々と聞かされたり……恐らくだがもっと俺を疲れさせに來る筈だ、今はその心構えをするべきだな……よし深呼吸しよう、吸ってぇ吐いてぇ吸ってぇ吐いてぇ……。
「うふふふ……」
「勝手に撮るな!」
カシャカシャ……こいつは俺の1挙手1行を寫真に納めないと気がすまないのか? 深呼吸しても心が休まる所か余計に疲れてしまった……。
「あっシルクさん、いましたよ!」
ヴァームは何時もの様にカメラをにしまう、明らかにるな大きさじゃないが、するっとってしまった、謎をじる俺を他所にくいくいっと袖を引っ張るヴァーム、いったいどんな原理でしまってるんだよ、今は考えても仕方ないので前を向く事にする、すると……。
「やぁ男の娘さん……お初にお目にかかるね、俺の名はヘッグ! 
気軽にイケメンと呼んでくれ」
「……なにこいつ」
突然執事服を著て爽やかな笑みを浮かべる高長の男が立っていた、緑の髪の、きっちりと丸く揃えられた髪形…前髪は斜めに揃えられている、頭にはヴァームと同じく角が2本、だが此方は真っ直ぐで短い、おの上には棘が生えた太い尾が見えている、「はっはっはっ!」と笑いながら腕を広げ俺を上から下まで舐める様に見てくる、俗に言う甘くとろける聲の持ち主……その話し方なんか鼻につくなぁ、思わず心の聲が出てしまった、あと俺は男の娘じゃないぞ!
「おいおいおい……そんな熱い視線を俺に向けないでくれ、照れるだろ?」
ばちこーんっーーと言う擬音がしそうなウィンクをしてくる、うーん……どう反応したら良いんだろうか。
「俺は照れ屋なのさっ」
「熱い視線なんか向けてないんだが……」
ふぁさぁーーと自分の髪をでてキメ顔、爽やかな奴のか? それともただのナルシストなのか良く分からない、また濃い奴が來たなぁ……するとヴァームがヘッグを見て笑顔を見せる。
「うふふふ……相変わらずですねヘッグは」
「それは此方の臺詞さ……素晴らしいメイド服だ、その頭のツインテも素晴らしい……カチューシャもよくぞ付けたね、まさに稱賛に値するコスプレだよ」
「ふふふ……それは何よりです、ですがヘッグも良くコスプレだと気づきましたね? それにシルクさんが男の娘だと気付いてましたよね? 流石です」
「はっはっはっ! 伊達だてにコスプレと男の娘は見て來て無いからね、區別が出來てこそのドラゴンさ」
やばい、今こいつ等が話してる容が全く理解出來ない……と言うか俺を置いて訳の分からん會話をするな! するとヘッグと言う奴が俺近付いて來てに手を差しべて來た、黒い皮の手袋をしてる……鼻につく笑顔を浮かべ白い歯を見せてくるヘッグ、ただ握手するだけなのに何か腹立たしいな。
「シルク君だったね……ヴァームから話しは聞いてるよ、さぁ商談を始める為に初めましての握手と行こう」
「あっあぁ……よろしく頼む」
なんだか腑に落ちないが握手をしておこう、俺はヘッグの手を握ろうと手をそこに持って行く……。
「せいっ!」
それは突然の事だった、ヘッグは俺がヴァームに嫌々履かされたスカートの裾を両手で持ち勢い良く上に上げた、その剎那俺はあまりの出來事に直してしまう。
「ははは……白とは中々良いセンスじゃないかぐはぁぁぁっ!」
「なにすんだ阿呆がぁぁぁぁっ!!」
まじまじとパンツを見るヘッグ、直した俺は直ぐ様意識を取り戻し懇親の蹴りが奴の腹にめり込む……こっこいつ、変態…いや、変人か? 腹を蹴られたヘッグは手で腹を押さえ後退り……蹴ったのは腹なのに何故か鼻からをだしニヒルな笑みを浮かべる。
「はっはっはっ、定石を分かっているねシルク君……でもね、そこは『ばかっ!みないでよ!』と言ってしかったね」
「次はその角へし折ってやろうか?」
「それは止めた方が良い、俺の角には毒があるからね、君のが傷付いてしまうよ?」
爽やかウインクと謎の投げキスをかますヘッグ……そのウインクと投げキス止めてくれないか? そろそろイライラしてきた。
「ふふふ、ヘッグはニーズヘッグと言うドラゴンなんです、ドラゴンの中では珍しく木を食べるんですよ? 木を食べると角に栄養が回るんです、その栄養が人間にとっては猛毒なんです」
うん、その豆知識はありがたいけど……俺には必要ない、て言うかその姿で木を食べるんだな……何だか想像してみるとシュールだ。
「食べるのは聖樹の左のっ子だね……そこが一番味だね、ここの木も中々味だよ? 例えるなら『コカトリスの卵』の様な味がする
シルクも1つどうだい?」
「殘念ながら俺は木は食べないし『コカトリスの卵』なんて知らないから味の表現が出來ない」
執事服の中から木の斷片的を取りだし俺に見せてくる、変な奴は食べるまで変なのか?
「さて、それでは商談を始めてもよろしいですか?」
「あぁ、構わないよ」
此処でいきなり話が変わった、唐突過ぎるだろ! と言う突っ込みはれないでおこう……さっさと終わらせてくれるのは有り難い、此所はスルーしよう、こうして商談は始まる、何だろう? 絶対に何か起きるだろ! そんな気がしてならない、いや実は何も起きなかった! なーんて事は無いんだろうなぁ。
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