《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》18

 「昨晩のシルク…凄く可いかったのじゃ…」

「は? 俺にはロアがなに言ってるか分からないんだが…」

「くくくっ、照れおって……可いのぅ」

昨晩は語とかで使われる「と言う夢を見たんだ」と言う言葉の大切さを知った一時だった。

もうなんと言うか、あの記憶だけ泡の様に消えてれないかな? あれは黒歴史として殘したくも無い記憶だ、とそんな事を思いながら俺とロアは朝の城下町の大通りを歩く、本當にここは賑やかだなぁ……天気も良いし風が気持ちいい……そんな城下街に今日もんな奴が歩いている。

あっ因みに今著ている服はに仕立てられた俺の服だ、こんな狀況じゃなければ楽しめただろうなぁ……今朝はヴァームに起こされ昨日の映像を見せられた後、恥心を抱いたままロアと一緒に飯を食べた……その最中に唐突にロアが言ったんだ。

「シルクよ! そなたの店が出來たのじゃっ! 早速見に行こう!」

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と言い出した、いつもこんなじだからもう慣れてしまった……そう言えば以前に「店をやる」とか言ってたけど本當にくれるんだな、明らかに怪しすぎるよな? ぽんっと他人に渡して良いとは思えないんだが…此処は聞いてみた方が良いんじゃないか?

「ロア…」

「ん、何じゃ?」

と言う訳で思い切って聞いてみる事にした、さぁどうかえってくる?

「何故俺に店をくれるんだ?」

「んー…シルクはわらわと結婚をするじゃろぅ? 々とお金がいるからのぅ…その稼ぎの為じゃ」

いや何結婚を前提に考えてるんだよ……。

「勝手な考えだな…」

「くふふふ……そう譽めてくれるな」

「ほめてない……」

本當に自分の事しか考えてない……と言うか似た言葉を以前聞いた事があったよな?

「シルク、バンダナが落ちそうだぞ?」

「ん? あぁ本當だ……」

急にロアに話し掛けられる、確かに落ちそうだな……ロアに言われるまで気が付かなかった、俺は落ちそうになったバンダナを締め直す、髪が長いから結びにくいんだよな、まぁ切れば良い話なんだがな……。

「先程から考え込んでおるのぅ…店の事なら気にせんで良いのじゃ!」

「いや、いきなり店をくれたら普通は々と気にするからな?」

にっーーと笑うロア、その無垢な笑顔を見てドキッと心が揺れる、かっ可いと思ってしまった。

ロアの艶のある紫の髪が風で揺れる、髪を押さえつつ俺の目の前にやって來る。

「難しい顔をしておるのぅ……昨晩の事を思い出しているのかえ?」

「ちっ違う、そんな訳ないだろう!」

くすくすと悪戯に笑うロア、俺は手を振るって否定した、人が真剣に悩んでいると言うのに思い出したくも無い記憶を呼び起こしやがって!

「顔を真っ赤にするシルクは可いのぅ……凄くからかい甲斐があるのじゃ!」

「止めろよ……やられた方は疲れるんだ」

「じゃが斷る! そんな事よりほれっ」

いや斷んなよ! っておい! スルーするんじゃない! と言ってやりたい所だったが突然ロアが指差した、ふとその方向を向いて見る、そこには木造の大きな家があった。

両開きの扉の上には看板があり、そこ看板に書かれていたのは『素材屋シルク』と言う丸くかかれた文字……これは間違いなくあれだよな?

「もしかして…俺の店か?」

「その通りじゃ! 中々良いもんじゃろ? 魔法でどーんっと造ったのじゃ」

赤い屋で白い壁、シンプルなじの店だ、周りには花が植えられていて綺麗な外環……悪くないな。

「一応聞くが、これから商売するのか?」

「勿論じゃ…その為にシルクを此処に連れて來たのじゃ! もう品は店に飾ってあるしの…あっ、裝の心配なら不要じゃ! そこら辺も魔法できちんとしたからのぅ」

魔法ねぇ……なんか使い方が間違っていると思うのは俺だけか? まぁそれはさておき……本當にロアは何から何までしてくれるな、こんなに盡くしてくれるなんてな……ここまでしてくれて、俺はロアをふってもいいのか?

「さぁさぁ! 中へるのじゃぁ」

「おいっ引っ張るな!」

そんな事を考えていると…ロアが俺の手を摑み店の中へ引っ張っていく、すると、からんっからんっーーとベルが鳴り響る。

1歩店の中へって驚いた…広い店、商品棚にキチンと置かれた商品………あれはヘッグの角と果実だ、細かい裝飾にいたるまで完璧にこなされた店、清潔に保たれた空間の中には埃など1つも無かった。

「さぁシルクよ! まだやる事が沢山あるぞ!」

その部屋にみとれていると、ばしっと背中を叩かれる、痛い! 何をするんだ! と言おうと口を開いたその時……。

「遅れて申し訳ありませんですわぁぁ!」

凄い勢いで水の塊が店ってきた……えっ? なにあれ? 一目見た瞬間そう思う、すると水の塊が店り、がしゃぁぁぁんっーーと店を荒らし回る。

れる店、荒れる商品…その景を見て呆然とするロア、その水の塊の正は直ぐに分かった、ぐにゅぐにゅーーと水の塊は形を変えてドレス姿に変わってゆく、水の塊の正はスライムのラムだった。

「親なる魔王ロア様っ、あたしは後れ馳せながら推參いたしましたわ! ですが遅れた事へ対してのお仕置きを」

「このドMスライムがぁぁぁっ!」

丁寧に挨拶した途中、ロアがラムを指差した、その瞬間雷撃が迸りラムに直撃する。

「あぁぁぁんっ!! 最っ高にっ痺れっますわぁぁぁんっ」

これ相當痛いよな? 間違いなく痛い筈なのだが、ラムはぷるんぷるんと震えながら悶える、凄く良い笑顔だ。

本人が嬉しいならそれで良いんだが……今ので店が半壊してしまった、それに火が上がった! はっ早く消火しないと! そう思って行に移す俺。

「ぜぇ……ぜぇ……」

「うふふふぅ、ロア様の雷撃は何時けても良いですわぁ、中が迸りますの!」

家事になりそうなのにお前等は呑気だな! 頬に手を當てて不気味に笑うラムは中に電気がバチバチ迸っている、一方ロアはと言うと鬼気迫る表でラムを睨み付けていた、ロアは怒っている様だがラムは分かっていない……あっ、珍しく放置されてるな俺。

「はぁ…」

深いため息をつき疲れきった顔をして俺の方を向くロア。

「シルク、店の手伝いをするラムじゃ、仲良くしてくれると嬉しいのじゃ」

ロアが苦労してるのが分かった、そうかラムと一緒に店を経営するのか……。

「いや、それよりも火事になりそうなの分かってるか?」

「ん? あぁ…それならっえい!」

ロアは気合いを込めてそう言う、すると火が消えてしまった……本當魔法って便利だなぁ。

「さてこれから開店準備を始めますの!」

くるっと回転するラム…ツインテールを揺らしつつ、ふわっとスカートが浮き上がる、ん? それっての一部だよな? 靡なびくっておかしくないか? まぁ考えても仕方ないか、だって相手はスライムだ、人間の俺には分からない事があるんだろう。

それにしてもロアがやったあれは、まさにお嬢様っぽい仕草だ、しかし先程の姿をみるとなぁ……々と幻滅してしまう。

あぁ騒しい一時の始まりが目に見えてしまった、今から本気で逃げたくなって來た、するとそれを察したのかロアがガッチリ腕を押さえてくる。

「すまぬシルク……わらわは帰る!」

「えっ!」

そう言って、ロアは俺をラムの方へ突き飛ばし自分だけ逃げる。

「やっやてくれたなこの魔王! って、逃げ足はやっ!」

風の様に颯爽と街中を掛けていくロア……くそっ、もう見えなくなってしまった。

「あらっ、ロア様帰ってしまいましたわ……悲しいですの、ですがシルクさんっ! それそれこれこれですの! 張り切って行きますわよ!」

ラムは元気一杯だ、俺は直ぐ逃げたい! 凄く逃げたい! でも無理だろうな、経験上逃げられた試しが無いからなぁ……れるしかないのか? だとしたら泣けてくるな。

まぁ100%逃げられないから覚悟を決めよう、耐えてくれよ俺の神!さぁっ、地獄の様な時間の始まりだ!

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