《高校ラブコメから始める社長育計畫。》21.魔族の宴Ⅲ

時は過ぎ、翌日、月曜日のこと。

「おぉ! 百瀬じゃん!」

出た、才川。

登校して最初に話す奴がこいつだと、しんどい。

派手な茶髪に高長で甘いボイス、いちいちイケメンなのが、しょんどい。

「ういっす」

「俺がやったブレスどうよ!?」

そういや、ブレスレットを貰ったな。

箕面にやるの忘れてた。

「そうですよね」

「だろお!? 見せてくれよ! 右手!? 左手!?」

俺の右腕の袖をめくってくる。

さらに左腕の袖もめくる。

「なんで付けてないのおおおん!? ズッ友の証なのにさ!」

俺の引き出しで眠っているぜ。

てか、ズッ友て。

なんでこんなに軽いんだろうか。

バカにしか見えない。

「そういや百瀬、路上ライブしてんだって?」

「……」

昨日の今日で、なんでこいつが知ってんだよ。

報早すぎ。

「俺じゃなくて妹な」

「そうなのか? 妹かわいいの?」

「まだ中學生だ」

「そかそか全然アリだぜ」

こんな男には絶対やらんからな!!

「つか才川、昨日の先輩らと知り合いだったのか?」

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「おう、ダンス仲間よ」

「お前もダンスとかすんのか?」

「するぜ! 俺の夢はダンサーだからねぇ!」

ぐいっと親指を自分に突き立てて言い放った才川。

意外……でもないか。

チャラいじだが、確かに見た目だけはテレビとかで踴ってそう。

「見る? 見る!?」

今にも踴り出しそうな才川を遮さえぎって言う。

「ああ、また今度な」

「なんだよぉ、つれねーなあ」

殘念そうに両手を広げて肩をすくめる才川。

「進路希調査にはダンサーって書いたのか?」

「そうだぜ! それで食っていきたいんだよオレは!」

「擔任は何て?」

「それがよ、オレは本気なんだぜ!? なのに先公のやつ、花で笑いやがって!」

いつ花を渡したんだよ。

「そうだよな、俺もだ」

「まじか、友よ! 百瀬もテレビに出たいんだよな! 一緒にやらねーか?」

才川は俺の肩を摑んでがくんがくんしてきた。

「いやいや、俺は社長になりたいんであって、テレビに出たいわけではないぞ」

「いいから、踴ってれば社長になれるって! んで晝顔の人と結婚できるって!」

「で、新婚で不倫ドラマに出るんだな」

「そうだっけか……んなことより、スクール見に來ねえかい? まじで」

スクール?

ダンススクールってやつか?

「お前、ダンス習ってるわけ?」

「おうよ、だからマジだって言ったじゃん」

「なんでダンスなんだ?」

テレビに出るんだったら俳優とか他にあるだろうに。

「それがよ、去年の今頃にさ、湘南にサーフィン行ったわけ。そん時だよ、俺の夢と出會ったのは」

「才川くんや。その話、長くなりそうか……? 俺ちょっと用事が」

めんどくさくなってきたので、俺は教室に向かおうとする。

「ちょ、まぁてぇよ!」

「や、マネとかいらないんで」

「すぐ終わるから聞いて? ねえ聞いて!?」

二の腕引っ張ってキス。

じゃなくて、二の腕引っ張って引き止められる俺。

々しいな、可哀想だから聞いてやるか。

「で、湘南で何があったんだ?」

「おう。サーフィンをエンジョイしたあと陸にあがってきたらさ、特設ステージみたいなのが出來ててイベントやってたんだ」

「なんの?」

「ダンスだよダンス! 百瀬よぉ、當山○れいちゃんとかBAD QU○ENって知ってる? 俺もそん時初めて見たんだけどよ、高校生にして世界で活躍してんだぜ? もうカミってるわけよ!」

神がかってるってことだよな?

「高校生で世界か。それは確かに凄いな」

「そうなんだよ! 見た瞬間に『これだ!』って來てさ! それでオレは落ちたわけ!」

落ちた。

「いつのまにお前、ステージに上ってたんだよ」

「あ、心が落ちたって意味な。なんかスマン」

謝りよった。

面白いなこいつ。

「いいから続けろ」

「そんで、帰りにスクールに會したわけ」

「はやっ」

「まじダンスって生で見たらすげえぜ! 今日スクールこいよ! な? な?」

才川は俺の両手を摑みブンブンする。

「わかった行くよ」

「そう言わずに一度見て……って、え!?」

仰のけ反ぞるように驚く才川。

「見學させてくれよ」

「まじか百瀬!? よっしゃあ! ダンス仲間ゲットォ!!」

「見學だっつってんだよ……」

俺が行くって言ったことに驚いているようだ。

まあ當たり前だろう。

俺はそんなダンスなんてキャラじゃないし、俺自がびっくらこいたわ。

なんで行くのかわからない。

ただ俺は化されたのだ。

ダンスに興味を持ったわけではない。

驚くべきはこいつのバイタリティ。

いくら生で見たからといって、その足でスクールにるものなのか?

それで一年も続くものなのか?

俺なんて興味持ってもせいぜい三日、早くて三分だ。

放課後――

才川に連れられ、駅前のダンススクールへ向かった。

そこはビルの一階、學校の教室の二倍ぐらいはあるだろうか。

奇抜なヘアスタイルのインストラクターが元気よく迎えてくれた。

「こいつ、會希なんすよー」

「いやいや、ただの見學っす……」

「そうだっけ? ちょっと何言ってるかわかんない」

とぼけたふりをする才川を睨みながら、俺はフロアに案される。

フロアにはチャラいじの人たちが集まっていた。

才川も著替え終わり、その中に加わる。

俺は端っこで椅子を用意され、ひたすら見學のみ。

インストラクターに、君も參加してみればとわれたが勿論斷ったぜ。

「……」

才川が踴っている。

かなり激しい。

どんだけ筋使うんだよ。

LOCKやHIPHOPというジャンルを習っているとか言ってたっけ。

俺にダンスのことはわからねーが、素人目から見ても才川は巧うまいとは言えない・・・・。

明らかに他の奴とはきが悪い。

だが、やつは……

本気だ。

それだけはひしひしと伝わる。

「……」

なんだかんだで一時間ぐらい見學していただろうか。

休憩になり才川が俺のもとへと來る。

「どうだ? お前もやりたくなっただろ?」

「ならない」

「そうだろそうだろ! カッコいいだろ……って、うそお!? なんでやらないのさ!」

俺もダンスを、といわれると絶対しないが、見る分には興するものがあった。

俺の知らないんな世界があるものだな。

俺も何か的な夢があれば――

こればかりは自分で見つけるしかないか。

story 『魔族の宴』 end...

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