《高校ラブコメから始める社長育計畫。》24.大切な人Ⅰ

「そうだよな……」

俺は浮かれていた。

偶然ケガをして知り合いになれたけど、いつも見てるだけで周りにも相談することもなく、まして聲をかけるなんて有り得なかったから。

どうゆう子かさえ知らなかったんだ。

上原エリカの見た目がドンぴしゃタイプ。

一目惚れっつーのか、結構マジだったんだが。

あれは本當に一瞬の出來事だった――

奇跡的な出會いなんて凄いものではない。

學式の日、橫顔に惚れた。

ほんとそれだけ。

誰かと笑顔で話している橫顔。

見た瞬間、世界がキラキラと見えた。

きが止まった。

呆然とした。

數秒のことだったのだろうが、長い間見つめてしまった覚。

その夜、夢に出てきた。

ああ、俺一目惚れしたんだって理解した。

一目惚れは心理的によくあることらしい。

自分の好きなタイプに當てはまっていると面まで化されて見えてくるんだと。

ちなみに男はの外見だけで惚れることができるが、は男の第一印象から放たれる匂いや雰囲気などから、自分と合う伝子かを想像し直で好きになる、そうゆうものらしい。

つまり男のほうが一目惚れしやすいってことだ。

そして一目惚れから始まった結婚は離婚率が低いとデータで出ているそうだ。

俺も上原と……

「邪魔しねーから。俺も付いて行かせてくれよ」

そうだ、がんばれ俺。

これはアニメの世界じゃない。

次はもう無いかもしれない。

ずっと好きだった奴といるんだ。

運を逃すな。

チャンスを摑め。

「いいけど、きっとつまらないわよ」

まじか!

ヤッターヤッターヤッタヨー!

つまらない?

俺のこと気遣って帰れとか言ってたのかな?

周りの目を気にしてとかじゃねーんだな?

つまんなくねーよ!

ひゃっはー。

『一緒にいたい』って言っちまえ。

千載一隅のチャンスだぞ。

「お……俺も楽屋とか寄りてーけど道わかんねーから」

イモった。

「なるほどね、それなら付いてきてもいいわよ。足痛かったら言いなさいよね」

そうして俺たちは、トレンドを彩る店が立ち並ぶセンター街へ向かった。

「このピアス、かわいい……」

學校ではどちらかというとクールなイメージがあっただけに、無邪気に目を輝かせている姿は俺にとって魔法石だ。

レアガチャもう一回まわせそう。

「んー味しそうな匂いがするわね! お腹空いたわ。ちょっとランチするわよ」

上原は鼻をくんくんさせながら、興気味の笑顔で俺の腕を摑みぐいぐい引っ張ってくる。

近いっつーの。

カップルみたいじゃねーか。

なんでそんな自然にスキンシップできんだよ。

ああ、もうわけわかんねえよこいつ。

「――で、どんな奴なの?」

「だれが?」

「彼氏さん」

「だれの?」

「上原の」

ランチを食べながら、ついに俺はズバリな質問をした。

「は? もしかしてプレゼントのこと? あはは! 何勘違いしてんの? バカじゃない」

上原はぽかんとした後、笑いだした。

「だって、大切な人にあげるって」

「そうよ。咲おばさん。私の大切な人」

「おば……さん?」

上原の叔母さんといえば保健室の先生だ。

學式の日、上原と笑顔で話していた相手があの人。

「あたし、小さい頃にお母さん死んじゃってさ」

ちょ、俺なんかが聞いてもいい話なのか……?

「ほら、そんな顔しないで。別に何か言ってもらおーなんて思ってないんだからね」

俺はいつのまにか眉間にしわが寄っていたようだ。

「ずっと塞ふさぎ込んでたあたしを面倒みてくれてたのが、咲おばさん」

「そうだったのか」

塞ぎ込んでた……その言葉に引っ掛かるが、きっと何も言えないからスルーする。

咲おばさんはお父さんの妹なんだけど、第二のお母さんみたいな存在」

優しい顔をして上原はそう呟いた。

本當に大切な存在なのだろう。

「六月に結婚するのよ」

「おばさんが?」

保健室の先生である上原の叔母さん。

三十過ぎぐらいのハキハキした人だ。

だったのか。

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