《高校ラブコメから始める社長育計畫。》27.背中が、むずがゆい。Ⅱ
翌日、祝日の金曜日――
吹奏楽部の演奏會。
「続きまして、月高校による――」
俺と箕面は劇場に來ている。
うちのクラス擔任、後藤ちゃん率いる吹奏楽部の演奏を見にきたのだ。
アナウンスの後、靜まり返った劇場に、カッカッカッとドラムのカウントが響く。
続いてトランペットがスイング始める。
――――圧巻。
そう一言で片づけるのも惜しいほど打たれた俺。
特にサックスのソロ。
完全に俺の心を獨り占めしやがった。
「凄かったねー」
「ああ。打ちのめされた……」
悔しいが、あいつらを率いている後藤ちゃんの人像を書き換えなければいけない。
俺の中では丸メガネのちっこい只ただのおっさんだったから。
ひとしきり演奏を見た後、俺たちはホールで吹奏楽部が出てくるのを待つ。
コネを作らないといけないので、いわゆる出待ちだ。
「出て來たよ、ゆーま」
「お、おう……」
ぞろぞろと月高校の制服を著た奴らが控室のほうから出てくる。
「……よし箕面、出番だ。聲かけて來い」
「ええっ、ボク!?」
やっぱ人見知りの俺には無理だ。
なら人と話すのが得意な配下に行かせる。
それが社長への近道だからな、ふっふっふ。
などと自分に言い訳をしてみる。
「あのサックス吹いてた人に、カッコよかったって伝えてくるんだ!」
「自分で言えばいいのに……わかったよー」
箕面は呆れた顔をしたあと、たったったと足音をホールに響かせながら吹奏楽部に近づいていく。
「すいませーん! 同じ高校なんですけど、演奏會あるって聞いて見に來ちゃいました」
「おお、ありがとう。どうだった?」
話しかけられたサックス奏者は、箕面を見て微笑みながらそう言った。
「凄く楽しかったです!」
「そうか、それは嬉しいな。ジャズが好きなのかい?」
「やっ……特にサックスのソロがカッコよかったって、ゆーまが」
そう言って箕面は俺を指さす。
結局こっちに振んのかよ!
俺も吹奏楽部の集団に近寄る。
「打ちのめされたっす……マジ」
「あはは。ありがとう! 興味あるならぜひ部活も見學に來なよ」
「いや、俺は後藤が擔任のクラスなだけで來てみただけなんで……」
「そうなんだ。僕は部長の――」
そこへ顧問の後藤がスタスタやってきた。
噂をすればなんとやら。
苦手なんだよな、俺。
「どうしたんだ? ミーティングするぞ」
「あ、この子たちが応援に來てくれてたみたいで」
部長は俺たちに手を向ける。
「……百瀬じゃないか」
「ちゅす……」
まあ、問題児と擔任の會話なんてこんなもんだ。
會話ですらないか。
そこへ箕面が口を挾む。
「センセ―! 吹奏楽部、凄かったです!」
「ああ箕面か、ありがとう。凄いだろ、こいつらの努力の賜だからな」
隣のクラスだが、箕面のことは知ってるんだな。
まあ、なにかと人気者だし當たり前か。
「ゆーまも目をまんまるにしてしてたんですよー! 打ちのめちゃれたってぶー」
箕面の両頬を片手でつまんで言葉を遮る俺。
「おまっ、いらんことゆーなよ……」
恥ずかしいじゃねーか。
「……本當か?」
そこへ後藤が俺に問いかけた。
「まあ……圧巻でした」
「そうか。はは、それは良かった」
後藤は顔を背そむけながら微笑んだ。
ふむ、擔任の笑ってる姿を見たのは初めてかもしれない。
いや、俺がちゃんと顔を見て話しをしたことがなかったからだろう。
そんなことで印象が変わる。
印象は大事だ。
改めて思う。
「あれ、お前髪切ったのか?」
いきなり後藤はそんなことを言い出した。
「はい……」
「似合ってるじゃないか」
褒められたのか俺。
なんだよ、ちょっと嬉しいのが腹立つなあ。
後藤の奴、結構良い奴じゃねーか。
褒められ慣れていないので、なんだか背中がむずがゆい。
なるほど。
褒められた側はこんな想なんだな。
『良い奴だ』とか思っちまう気持ちがわかった。
思えば、箕面も自然と龍玉を使ってる節がある。
いつも『そうだよね』と共してくれてた。
進路面談のときもアニメ見てるときも。
だから俺、箕面に対してだけは好を持てるのか。
もちろんそれだけじゃねーけど。
そうゆうのがさらっと出來る奴ら。
それがコミュ上手って奴らか。
うらやま。
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