《高校ラブコメから始める社長育計畫。》12.

「兄貴! なんとかしろよ! プロデューサーだろ!」

「んなこと言われても……さっきの決意はどこいったんすか」

今俺たちはヒロさんの容院へ來ている。

や、正確に言うと、ヒロさんの容院を影から覗いている。

一緒に音楽をやりたい、その気持ちをすぐ伝えるためにここまでやってきたのだが、ナオミ姐さんがイモりだしたのだ。

途中までは良かったのだが、電車に乗ってこの街へ近づくにつれナヨナヨ。

それでこうして影に隠れ、ヒロさんを待っているのだ。

「た、たのむよお、兄貴くん」

ナオミ姐さんがうるうると涙目になっていく。

この人、本當に泣き蟲だったのかよ。

「もうすぐ出てくるんじゃないですか。明かりが消えたし」

容院の前までやってきた俺たち。

結局営業時間の終わりまで隠れていた。

本當は休憩時間にでも出てきてもらおうと思っていたのだが、イモ姐さんのおでこのざまだ。

容師さんは殘って練習したりが大変だと聞いていたから、いつになるかと心配だったが、今日は殘業もない様子。

案の定ヒロさんが勝手口から現れた。

「あああ兄貴くんから聲かけてくれっ!」

「はぁ……!?」

「まっ、まだ心の準備がよ! あとで出ていくから!」

ささっと草むらに隠れるナオミ姐さん。

もう、仕方のない人だな……

俺はヒロさんの元へ近づく。

「ヒロさん」

「ゲッ! ゆーまか!?」

俺が呼び止めると、ヒロさんは驚いた顔でそうんだ。

似たもの夫婦かい!

「……なんでスタジオ來ないんすか!」

「そりゃ……オレはもう辭めたから」

「なんでですか! あんなにナオミ姐さんと――」

「そうだよ! オレはナオミが好きだから! だからよお……」

「ちょっ! シー!!」

やっべー。

いきなりそれを言うとは思わなかった。

後ろに姐さんいるんだけどな。

――ガサッ。

絶対出てくる機會を失ってるわ……

そんなこととはつゆ知らず、ヒロさんは続ける。

「前も言っただろ。オレはあいつのことが好きなんだ」

「顔が好きって聞きました」

――ガサッ。

なんか後ろで反応してるけど知ーらね。

「ああ。顔が好き。聲も好き。格も全部好きだぜ。あいつは……しい」

「うつく……ベタ惚れっすね」

「ああ。でも、だからこそだよ。あのしさはな……獨り占めしちゃいけない。もっとたくさんの人に見てもらいたいんだよ。もっとたくさんの人に知ってもらいたいんだよ」

その気持ちは分かる。

俺もりぃの魅力をたくさん自慢したい。

あの天使をお茶の間に屆けたい。

そしてみんなから褒められて崇められて……妹が幸せそうに笑ってるのを見たいって思う。

「それがナオミにとっても、幸せになれる道なんだよ。オレが邪魔しちゃいけない」

「……グラサンが言ってたやつですか」

「ああ。オレじゃあどんだけ頑張っても、あいつの魅力を最大限引き出せないんだ。オレが橫にいる資格は……無いんだ」

その時だった。

――ガサッ!

俺の背後から突如現れる魔

……じゃなかった、ナオミ姐さん。

「うえっ!? はっ!? おまっ!?」

「ふ……ふざけんなっ!!」

オロオロするヒロに向かってナオミ姐さんが怒鳴る。

「テメエに何がわかんだよ!!」

「いや、だから、オレには音のがわかんねーって話で……」

「ちげーよ! 勝手に私の幸せを決めつけんじゃねーっつってんだ!!」

「はぁ……?」

「バカ! アホ! ボケナスのトンマ! テメエなんて大嫌いだ! 二度とその面見せんじゃねー!!」

そう言うとナオミ姐さんはプンスカと立ち去った。

何言ってんだか。

コミュニケーション下手な俺でも分かるぞ。

やっちまったなーと。

「大嫌い……だって……ぐすん」

ヒロさんはヒロさんでガックリと肩を落としている。

最悪だ……

この二人、予想を遙かに超える面倒くささだ。

こじれた。

超ややこしくこじれました。

まずナオミ姐さんを呼んで反省會だな……

俺一人じゃもうだめだ。

例の會議、開くか――

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