《【書籍化】ループ中のげられ令嬢だった私、今世は最強聖なうえに溺モードみたいです(WEB版)》【つぎラノノミネートお禮SS】好きな人をひとりじめしたい聖の話

つぎラノノミネート記念のSSです。

無駄にいちゃいちゃしています。

この國では15歳を迎えると神殿に赴いて『啓示の儀』をけることになっている。神様にお仕えする聖・神・巫への適がないか調べるのだ。

啓示の儀は月に數回行われていて、そこには大神様が立ち會うのが決まり。その補佐として巫がつくことになるけれど、狀況によっては私たち聖や神が出席することもある。

「わぁ。王弟のトラヴィス様だわ。知られるようになったのは最近だけれど、とっても素敵な方ね」

「巫や聖への適を示せば、お側にいられるのかしら」

今日はその啓示の儀の日。急に手伝いをすることになった私は、周囲のざわめきを聞きながらため息をついた。隣には相棒のトラヴィスがいる。

トラヴィスは周囲の聲なんて全然聞こえないみたいに、私と一緒に壁際に並び、涼しい顔をして中央で啓示をける方々を見つめていた。

「お隣にいらっしゃるのは聖のセレスティア様だわ」

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「あれが」

「特に秀でた聖の力をお持ちだそうよ。セレスティア様よりもすごい力を持っているとわかれば、トラヴィス様をつけていただけるのかしら」

し離れた場所からじる、まるで値踏みをするような視線に全が痛い。

トラヴィスはいつだって注目を集めてしまう。ルックスがいいのは仕方がないし、私を大切にしてくれているのはよくわかっている。けれど、それでももやもやしてしまうのが心だと思う。

すすす、と橫にずれた私はそっとトラヴィスの前に移した。前に立ちはだかって、さりげなくトラヴィスを令嬢方から隠す。

すると、背後から怪訝そうな聲が聞こえた。

「……セレスティアは何をしているんだ?」

「…………」

『トラヴィスをまもってる』

トラヴィスの問いは小聲だったので無視をしたはずが、私の肩に乗っていたリルが健気に答える。かわいくてえらい。

「リルはなんて? セレスティア」

「!」

リルの言葉はトラヴィスには聞こえないけれど、位置的にきちんと私に聞こえているのはバレてしまった。

「何にも。ちょっと、

「……?」

「そう、

妬いていることを知られたくなくて後ろは向かない。たぶん、今の私の表を見たら勘のいいトラヴィスはすぐに察してしまう。そんなの恥ずかしすぎる。……はずが、トラヴィスは私の頬に手を當てて強引に後ろを向かせた。

なんてことを!?

反対側から手を回されているので、腕の中に抱えられているような格好になってとにかく距離が近い。

そして、その瞬間に私がしていたことはあまり意味がなかったことに気がついた。長差がありすぎて、私が前に立ったぐらいではトラヴィスのお顔は皆から丸見えでは?

「……で?」

「な、何にも」

『トラヴィスがおんなのこたちからみえないようにまもってるんだよ』

リルはかわいいけどお願いだから黙っていて……!

「リルはなんて? セレスティア」

「何にも言ってないわ、たぶん」

目を逸らしたままの私だけれど、トラヴィスの聲からは狀況を把握しているのを察する。きっと、悪戯っぽい笑みを浮かべているのだと思う。もう、ドキドキするから私の頬から手を離して!

と思ったところで、ピシピシピシッと何かにヒビがるような音が神殿の中に鳴り響いた。

「「!?」」

私とトラヴィスは慌てて中央の石板に注目する。その瞬間に、青が神殿の中を包み込んだ。

「これは――」

大神様の驚いたような聲が聞こえてくる。目を凝らしてみると石板にひびがっていた。それを見た私たちは、息を呑む。

「石板にひびをれるほどの力の持ち主が現れたのね」

「ああ。青いだったから神か。教育擔當は俺になりそうだな」

「そんな!?」

なぜか驚いた私にトラヴィスは首を傾げた。

「俺が擔當で何か問題があるか? 大丈夫、その間はバージルやシンディーがいるからセレスティアの任務に支障はないと思う」

「そう……だけど」

ついさっき、トラヴィスのことを噂していたの子たちのことが思い浮かぶ。けれど、こんなことを言ったら絶対に面倒だと思われてしまう。言葉を濁した私にトラヴィスのつぶやきが聞こえた。

「しかし、石板にひびか。これは、セレスティアの時と同じように神力を使った判定に駆り出されそうだな」

「そ、そんな!?」

神力を使った判定とは、トラヴィスの神力を相手のに流して持っている能力を見極めること。今回の対象は聖ではないから、トラヴィスが好きになることはないと思うけれど……。

「手を……握るのね……」

「ん?」

トラヴィスに聞き返されて初めて、聲に出ていたことに気がつく。しまったと思ったけれどもう遅かった。

「手を握る、ってこんなふうに?」

「!?」

トラヴィスはすかさず私の手を取り、指を絡めてきた。そうして至近距離で告げてくる。

「大丈夫、これはセレスティアにしかしないよ」

「!?!?」

低い聲が耳の奧に響いて、一気に頬が熱を持つ。呼吸が速くなって周りが見えなくなってしまいそう。ここは神聖な神殿。この手を振り払わなきゃ……!

と思ったところで、ぱしん、ぱしん、と音がして頭を叩かれた。振り向くとバージルがいる。私が叩かれたのは一回。つまりトラヴィスのことも軽く一回叩いたみたい。

「アナタたち、何じゃれあってんのよ。周りを見てみなさいよ」

完全に呆れているバージルに促されて、周囲を見回す。

さっきトラヴィスに黃い聲をあげていた子や、私のことを値踏みしていた子たちが頬を染めてこちらを見ていた。

「アンタが何考えてるのかは想像がつくけどねえ。これを見たら、トラヴィス様に手を出そうなんて考えるはいないわよ」

「だろう?」

なぜかトラヴィスまで同意した。

『だろう?』

そしてリルも。……とにかく。

――ご、ごめんなさい……!

後日わかったことだけれど、石板にひびをれたのは男の子だった。

ほっとした私を見て、トラヴィスがこれでもかと言うほどに甘やかしてきたのは、また別のお話。

【お禮】

『ループ令嬢』が次にくるライトノベル大賞2022にノミネートされました!

推薦してくださった読者さま、本當にありがとうございます。

11/16更新の活報告に投票リンク先をのせています。

投票していただけると、本當に作品の力と後押しになります!

ぜひ応援していただけるとうれしいです(*ᴗˬᴗ)

★お知らせ★

11/14〜新連載をはじめています。

皇太子殿下のかりそめ婚約者になった『稀代の悪(※)』ですが、どうやら殿下は前世の人で私が本命みたいです!?

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