《カノジョの好度が上がってないのは明らかにおかしい》第8話 下駄箱にて

 白く、しツヤがあり、4:3のしい比率の長方形に折られたこれは……!

 時は例のお買いデートの次の日、その朝である。いつも通りに自転車を駆って學校まで來たわけだが、そいつは下駄箱にいた。

 俺が下駄箱を開けると、白い封筒が上履きの上にそっと置かれていたのである。

 やっときたか……

 學生生活も11年目。本當に長かった……。毎日毎日、期待をに靴箱を開け続け、何度も何度も絶に打ちひしがれてきた。だが、ついにやってきたのだ。

 「よっしゃああぁぁぁぁ!!!!」

 俺は周りの白い目線なんて気にもせず、勝利の雄びを上げた。

 「どうしたの? 朝から嬉しそうだね」

 そんならかい聲で俺に尋ねてきたのは六実小春だった。

 「あぁ! それがな、―――」

 「……どうしたの? 急に黙りこくっちゃって」

 危なかった……

に「見て見て!ラブレターもらったんだよ!」なんて言えるわけない……

 「馨くん、大丈夫? 何か紙が見えた気がしたけど……」

 「か、紙 ︎ あ、あぁ。これは……は、果たし狀だよ」

 「果たし狀?」

 咄嗟に噓ついてしまった……。まぁ、ラブレターなんていうよりはましか……

 なんて俺は思っていたのだが、六実はそこまでちょろいヒロインではないようで……。俺は彼の怪訝な視線に曬されている。

 「馨くん?」

 「は、はい……」

 「噓、ついてないよね……?」

 「も、もちろんでございます……」

 六実がふーん?といった表で俺を見つめる。張としの恐怖で俺の両手は汗で濡れている。

 「わかった。馨くんは噓ついてないんだね」

 六実はしい笑顔で俺を許してくれたようだ。俺は心でふぅーと安堵のため息をついた。

 「馨くん! UFOだ!」

 「なにっ!」

 UFOというのはあれか。未確認飛行、Unidentified Flying Objectか ︎  一時期、この世の謎を追いかけていたこの朝倉馨が見逃してたまるものかっ!!

 「って……おいっ!!!!!」

 俺が振り返ると、案の定六実はその白い封筒をまじまじと手に持って眺めていた。

 あぁ、終わった。俺のカップル生活……。4日目で終了とか悲しすぎるだろ……。はぁ……。もうちょっといろんなことしたかったな。呪いのせいでまともに男際が続いたこともない俺にとってこれ以上ない機會だったのに……

 「馨くん、ごめんね」

 「……はい?」

 俺が俯いていた顔を上げると、そこには申し訳なさそうな六実がいた。そして、彼はゆっくりと紙をこちらに向ける。

 「果たし狀……?」

 そこには、し遠慮がちな字で、「果たし狀」と書かれていた。

        *     *     *

 と、いうわけで、果たし狀に書いてあった通り3階の多目的室まで來たわけだが……

 俺はその部屋の前で立ち止まっていた。俺の額を汗が靜かに伝っていく。

 よく考えたら、俺は果たし狀を渡されたのだ。漫畫なんかでしか見たことないが、たしか果たし狀って「ケンカをしませんか?」っていう手紙だろ? この前の金曜日、のび太くんがジャイアンに渡してた。

 で、でもまぁ! 俺みたいな平凡な奴が恨まれる理由なんて……あったな……

 この前、六実が俺と付き合ってる、と言った次の日。俺は幾多の殺意に曬された。その中の過激な奴が俺を……

 その後はもう考えないでおこう……

 俺はふんっ、と鼻を鳴らして気合をいれるとこう言いながらドアを開け放った。

 「たのもう!!」

    

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