《カノジョの好度が上がってないのは明らかにおかしい》第24話 侵、深淵の闇へ

 「次の方どうぞ〜」

 俺と六実は導きの使者に促されるまま、深淵の闇へと歩みを進めた……

 と、廚二チックに書いてみたものの、実際はスタッフさんに促されてお化け屋敷の中にっただけだ。

 「うぅ……暗いよ〜……」

 隣を歩く六実は半泣きでそんなことばっかり言っている。

 まぁしかし、彼がそんな風に怯えるのも仕方のないことだろう。ここのお化け屋敷はかなり怖いと名高く、ここ目當てに遊園地まで足を運ぶ人もなくないそうだ。

 すべてを吸い込んでしまいそうな闇に、時たま現れる人の生首や腕が恐怖心をう。また、じるこの冷たい空気にここは外と隔絶された別の空間だということを本能でじてしまう。

 一言で言うと、かなり怖い。

 まだ何も仕掛けに遭遇していないというのに、俺の心臓はバクバクいっていた。

 剎那

 「ぐわあああぁぁぁぁっ!!!」

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 そんなじのび聲、いや斷末魔と表現したほうが正しいような聲が奧から聞こえた。

 「きゃああぁぁぁっ!!!」

 そのおぞましい聲に六実は耳を塞ぎしゃがみ込んでしまった。

 恐怖に震える六実をカッコよくフォローしてやろうかと俺が口を開いた瞬間、それは二回目のび聲に遮斷された。

 さっきとは違い、今度はの甲高い悲鳴だった。まるで、何かに怯えているかのような……

 「馨くん……」

 そう言って俺の裾を心細そうに握ってきた六実は、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。(それでも可いのが六実のふしぎなところである)

 俺は何か一言……と思案していたが、的確な言葉が見つからず 、ただ一言「行こうか」と言って進み始めた。

 まだお化けに出くわしてはいないが、ここにきて倒れている死なんかのリアリティを増してきたように思える。

 さらにお化け屋敷部は想像以上にり組んでおり、最悪の場合迷う危険もある。

 「大丈夫か?」

 俺は、なんというか、本當に辛そうな六実にそう聲をかけた。

 「うん、大丈夫……だと思う。でも、ちょっとやばい、かも……」

 そう言う六実の顔は青ざめており、なんてものは一切じられない。

 こいつも実は幽霊でした〜。なんてことはないよな。昔、そういうオチでバッドエンドを迎えた映畫を見た以來、ホラー映畫は見なくなった。

 

 まぁ六実になら憑かれてもいいかも……

 と、俺が気持ち悪いニヤけ顔を曬している間にも俺たちは結構奧へと進んでいる。

 しかし……

 「靜かすぎない……?」

 「あぁ……」

 六実が呟いたように、不自然さをじるほど靜かすぎる。って結構な時間経ったというのに一度もお化けが脅かしに來ていない。

 目にるのは妙にリアルな死だけで大聲を上げて脅かしにくる奴はいない。

 しかし、先ほどからの斷末魔はなり続けており、それがなる度に六実がひぃっとか言っている。

 「うわああああぁぁぁぁ!!!」

 「ち、近い……」

 今度の斷末魔はひどく近く、振までも伝わってくるようだった。

 「さっきからなんなの……?」

 「いや、お化け屋敷だからこういうのは普通だろ」

 「そう、だね。そうだよね……」

 

 六実にはそう言ったものの、あの斷末魔はお化け屋敷の仕掛けとかとは思えない。わざわざこんな間接的な脅かし方をこんな長い時間してくるとはいくらなんでも考えにくい。

 ならあの斷末魔は……?

 そう思案する俺の疑問は思いの外すぐに明らかとなった。

 「馨くん、あれ!」

 そう言う六実が指差す先には二人の人間、もとい一人の人間と一の幽霊がいた。

 「や、め、ろ……」

 そう苦しそうに言うそいつは、首を強く摑まれており、今にも窒息しそうだ。

 しかし、摑まれているのは人間ではなく、幽霊なのだが……

 この狀況を詳しく説明すると、一人の人間が幽霊に扮している人間の首を絞めているところだった。

 「ぐっ、ぐわあああぁぁぁぁっ!」

 

 首を絞められていた幽霊(役の人間)は窒息する直前に壁に打ち付けられ、気を失った。

 人(幽霊役)を軽々と投げ飛ばしたその人間は、背筋がとても曲がっており、が息を吐く度に大きく上下している。長い黒髪は一本一本が魂を持ったかのようにうねっており、まさに次の獲を探しているようだった。

 瞬間。

 そいつは俺と六実に気づいたようでゆっくりと顔をこちらに向けた。

 その両眼がよりも深い紅に煌めいたように俺は見えた。

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