《カノジョの好度が上がってないのは明らかにおかしい》第32話 考察と急襲

改めて考えると、相當ひどいことを言ってたよな、と俺は心自分に呆れていた。

気を帯びてきた風が吹くある日の晝休み。俺は教室の自分の席にボーっと座っていた。いつもの癖で一度は屋上に向かったものの、なぜか俺はここに帰ってきてしまった。あんなことがあった屋上から逃げることであのことを忘れようとしている弱い自分に嫌気が刺し、それを誤魔化すように俺は焼きそばパンにかじりついた。

ぱさぱさのパンと濃すぎるソースの味が俺はとても不味くじたが、これ以外に食料がないのでここは我慢。

「馨くん。パンだけじゃ栄養摂れないよ。はい、これ食べて」

そう言って、サイドテールを揺らすその彼は自分の弁當からトマトをつまみだし、俺の口に放り込んだ。

「ちょっ、六実何すんだよ! 俺トマト嫌いなんだけど……」

「えっ! 馨くんも嫌いなの? そうだよねぇ、あの緑のジェルみたいなのが……」

「そうそう、あのジェルっぽいのが――って、お前嫌いなもの押し付けたかっただけかよ!?」

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あ、ばれた? なんていいながら笑う六実が俺は可笑しく、なぜか笑ってしまった。ちなみに、今の行為はいわゆる「はい、あーん」ってやつなのだろう。それを平然とやってのける六実さん。そこに痺れもしないし憧れもしないですけど、周りのクラスメイトが殺意を孕んだ視線を俺に向けるのでやめてほしいです。

「ふぅ、やっと笑った」

六実は、安心したかのように微笑むと、俺にそう言った。

「馨くん、最近ずっと険しい顔ばっかりだったよ? 凜ちゃんとなにがあったのかは知らないけど、男の子がうじうじしてるのはかっこよくないよ。思い切って行しなくちゃ!」

元気よくそういう六実からは俺を元気づけようという意思が伝わってきて、俺はしもどかしいような気分になった。

「わかった? 馨くん!」

「あー、なんというか……ありがとな」

俺がそういうと、六実は顔を真っ赤にしてしの間プルプルした後、笑顔で「うんっ」とうなずいた。まったく、こんなことされたら俺も何とかしないとと思ってしまうじゃないか。

そう決意新たにする俺に邪悪な怨念が近づいてきているなど、この時の俺は知る由もなかった。

* * *

つまらない授業は終わり、時は放課後となった。殆どの者が友達と放課後の計畫を立てている中、俺は一人教室から出た。

凜との関係を修復するにはどうすればいいのか。解かなければいけない疑問はこれなのだが、これを解くには必然的に凜の記憶についてしっかり理解しておく必要がある。凜は今まで、俺とかつて會ったことがあるような言を何度もしている。それがよくわかるのが、再會して間もないころ、彼が言った「私たちは昔會ったことがあるか」という質問だ。

凜が別の人と俺を勘違いしているという可能がないわけでもないが、狀況からしてかつての記憶を持っていると見たほうが現実的だろう。だが俺が以前、中學の卒業式の日のことを覚えているかと尋ねた時には覚えていないと答えた。態度からするにあれも真実だろう。

それに加え、この前屋上で凜が去る直前言った一言。「勝手に消えて、突然現れ……」という言葉はこの問題においてとても大きなヒントになるだろう。

そして、これらの事柄を結び付けて導き出される答えは――!

「いや、意味わかんねぇよ」

俺は頭をかきながら呟いた。考えながら歩いていたからか、もうすでに學校から結構離れたところまで來ていた。

とにかく、今日のところは家に帰って報を整理するとしよう。

俺はそう考え、し足を速めようとしたとき、彼らはそこにいた。

俺の目の前にいたのは、よく學園ドラマで見る様な典型的な不良どもだった。制服は校則なんて完全無視。髪は鮮やかさまでじさせるほど多彩に染められており、腰にはいろいろながジャラジャラとついている。

「朝倉馨……なぜ、なぜお前なんかが――!」

よく見ると、彼らの目には狂ったかのような殺気が湛えられており、その殺気は紛れもない俺自に向けられている。

「やっちまえ!」

リーダー格、というか先頭に立つ一人がそう言うと、周りの不良が一斉に襲いかかってきた。俺はのけぞって攻撃を回避しようとするがそれは葉わず、一人の不良のこぶしが俺の右頬を強打した。

それに吹き飛ばされ、倒れ込んだ俺を不良の一人が蹴り、一人が頭に袋をかぶせた。當然、俺の視界は真っ黒に。半ばパニックの俺が何を探すでもなく手をばすと、その手は足の様なに踏まれた。その後、俺の頭は不良の一人に蹴り飛ばされ、意識は遠い何処かへ消えていった。

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