九月は夏休みが終わるためし気だるげなじが始業式では起こる。だけど次の日から大抵がワクワクする行事が待っている。大抵。

「今日は文化祭に向けての準備を始めます」

はい來た文化祭。一日中喧騒に塗れ、時には喧嘩をして涙を流しそれでも友を深めるあの面倒くさい行事にランクインするやつ。因みに一位は育祭ね。

私達は多數決の結果喫茶をやることになった。

裝男裝喫茶という。子はともかく男子がスカート履くの？ それこそ拷問じゃん。何で多數が賛したんだろ。

私？ 私は月海達と同じ方にした。だってどっちも興味無いもの。

「裝は子姉が作ってくれるそうだから子は直接採寸してもらって。男子は子弟に」

名前を呼べば良いのに。『みこあね』とか『みこおとうと』って。

とりあえず子は保健室へ。男子は教室で。つっても私は何度も測られてるからほぼ読書タイムだけどね。

皆何でそんなに発達が早いのよ。

「それじゃあ次はシフト分けするぞ。四人一組になってくれ」

まあ私と月海に風柳は良いんだけどね。後の一人が……私が嫌なんだろうね。こっちをチラチラ見てる。

「お前ら三人か？」

「ん？ ああうんそうだよ佐藤くん」

見たところまだ決まってないんですか？

「なられてもらってもいいか？」

「え？」

「何でだよ環！ 俺達は！？」

「それでそっちも四人揃ったろ。良いじゃないか俺の意志なんだから」

なるほど。そっちは五人で一人余ってたんですね。私も月海達も異論は無いようだし。

「お、お前も変人扱いになる……ぞ」

月海の睨みが來る。あれ。でも向いてる方向は佐藤くん？

「子柴からも何回も言われてるだろ。俺のダチに次そんなこと言ったらぶっ飛ばす」

「わ、悪かったって。分かったからさ。じゃ、じゃあな」

凄いね。佐藤くんの威圧も月海に負けない……うん？

「ダチ？」

「ああ。俺が勝手に思ってるだけだから気にするな。お前にしたことは許されると思ってないし」

あのそんなネガティブに考えなくても。

「別に気にしてもないし友達でも構わないよ？」

「え？」

「おお！ 凜音が初めてのお友達を！」

「そんな我が子をする目でみないで」

作らなかっただけだって。面倒くさかったから。

佐藤くんもそんな可哀想な目を向けんな！

「良ければこの子の友達になってあげてね佐藤。初めて作られた人だから」

「……お前らは友達じゃないのか？」

「「家族」」

だそうです。

「ならよろしく佐藤くん」

「あ、ああ」

「ごめんね佐藤。こういう子なんです」

「分かってる」

何が？ ねえ何が？

「そういえば文化祭は神宮寺さん呼ばないの？」

「呼ばん」

「と言うと思いまして呼んどきました」

何やってんだてめえ！ ただでさえ家族來るのにイケメン揃いで食が寄ってきて嫌いが増すでしょうが。

「神宮寺さんって誰だ？」

「凜音の婚約者」

「……」

固まんな――！！

「政略結婚とか……そんなじ？」

「違う。複雑になるからこれでおしまいにしてくれ」

全くもって迷だ。そもそも読書したいがための結婚なんて言ったらそれこそ彼の結婚という概念が壊れそうな気がする。

ちなみに私達は主に飾り付けと調理兼接客を擔當することに。え？ それ以外に何があるかって？ 呼び込みとかメニュー作りとか。まあ大変なんですよ。

ねえ今気づいたけどさ。佐藤くんも裝すんだよね。いかついとは言わないまでも男らしい顔をしてるから。しかも坊主だから――それはかつらで済むか――風柳、月海と顔が似てて良かったね。子柴父に似なくて良かったね。

文化祭までの間、私は――半ば強制的に――裝作りを手伝わされた。タグを付けてこれは誰用とかのね。面白そうと寄ってきた桃李兄さんや麗子姉さんには謝謝。

華ちゃんもまこちゃんもやりたそうだったけどクラスの出しもあるから仕方ないよ……うん、私は見てない。

麗子姉さんが楽しそうに貓耳メイドに“佐藤環”の名札をっつけた所なんて見てない。

「ねえねえ凜華ちゃんのも作ってぇ？」

「もう作ってあるよちゃん。ざっと十著程！」

「あの早くクラスの分を作ってくれませんか月海お姉様？」

「刺繍くらい出來るようになってくれないかい凜音妹よ」

多忙な姉さん兄さんが文化祭に來れるのは奇跡だね。來てしくないけど。來てしくないけど。

ここにいる人達に見られたくないだろうな～。人気が全然無かったらし離れててもらおう。可哀想だし。