《引きこもり姫の?そんなことより読書させてください!~》引きこもり蟲と修學旅行4

三日目の夜。どうしてまた沖縄に來て肝試しをしなきゃならんのだ。しかも戦爭が繰り広げられた所だぞ。罰當たりだろ教師共。

出発する前に先生からとっても怖い話を聞いてムードを立たせる。流石に二人じゃ危険だからここは班で行することに。なら最初からすんなよ。

そして奧田さんが私に協力を頼んで來たのはここだった。確かに肝試しは著も高くなるが敢えて言おう。もっと告白できる場所があったぞ。

しかも私達のいる前でやるのかい? やめてよ民衆のことも考えてくれよ。

「私と風柳が先頭で行くよ。凜音最後尾に著いて。その目力だったら霊も逃げんじゃない」

「そんなに強い?」

「というより何考えてんのか分からなくて不気味」

ほうほう程。ただ霊は逃げないと思うぞ?

「なら俺も尾と歩くが。二人はそれで良いか?」

「は、はい! 私は構いません、けど」

月海の方をチラリと見る。誤解はいずれ解かないと。

「健人も良いか?」

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「……やだ」

「え?」

奧田さんが固まる。あれ、両思いじゃ。

「なんでだ?」

「あ、あのそういう意味じゃなくて」

「「「???」」」

「お、お化けが怖いんだよ!!」

「「「……はあ?」」」

奧田さん以外が素っ頓狂な聲を出す。

「だ、だってここ戦地だったんだろ? て、手首とか摑まれてそのまま全員あの世へ連れてかれたら」

「倒れるな倒れるな! そうかお前幽霊苦手だったのか」

「なら尚更真ん中が良いじゃない。前も後ろも私達がいるんだし」

「お前らが連れ去られたらどうs……」

「よし行くか」

健人くん、強引に引きずられる――月海と風柳に。

私と佐藤くんはそわそわしてる奧田さんと今にも魂が抜け出そうな健人くんの後ろを歩く。

「……尾」

「なに」

佐藤くんがこっちに顔を寄せてくる。自惚れ屋ならきゃー! ってなるんだろうけど生憎私にはまでしてくれる方がいる……ゔゔん!!

佐藤くんはそんな意味でこっちに寄ってきたのではないとです。

「昨日奧田が必死に何か言ってたが何の用件だったんだ?」

「告白すんだと。それで肝試しの時にけじめを付けてスッキリすると」

「……俺達の前でか?」

「じゃないの?」

何考えてんだ。と私達の思いはきっと一致したであろう。肝試しは三十分コースで森を歩いていく。森と言ってもしっかり整備されてるから一本道で矢印のパネルも用意されてある。日中は観にも使われるそう。だから夜にしたんだろう。

で、道中はというとありきたりなものばっか。生首から始まりこんにゃく、赤ちゃんの泣き聲、挙句の果てに先生が兵士の格好をして襲いかかってくる。

そんなんでこの班を脅かせるのか? と誰もが思っていたのに健人くんはビビりまくり。

「ああ……もう俺はここでおさらばするっす」

「死ぬな。つか全部仕掛けだっつの」

ついに気絶しようとする健人くんを月海がビンタして戻す。えげつないやり方だな。

それにしてももうほとんど終盤だけどいつ告白するのよ奧田さん?

「ねえ奧田さん……」

「あ、あの峯岸くん!!」

お、今か。月海と風柳には事を話してあるからすぐに止まってくれる。

「は、はいぃ……なんですか奧田」

そっか。馴染みだから『っち』は無いんだ。敬語はただの恐怖からだろう。

「え、えっとね……あの」

頑張れ! 私達はほとんど空気になるから。桃李兄さんみたいになっとくから。

「わ、私……み、峯岸くんのことが好きです!」

おおー! 言った! よく頑張ったぞ奧田さん! 的な顔を月海と風柳が浮かべてる。

私は浮かべられないから心の中で思ってるよ。佐藤くんの安堵の溜息が聞こえる。

「ず、ずっと前からす、好きだったの。だからここでけじめを付けようと思ってね」

健人くんの橫を通り過ぎて奧田さんは月海の手を取る。

「ん?」

「さあ子柴さんも告白してください!」

「……は?」

だから肝試しじゃないと駄目だったのね。オッケー納得……じゃねえ!

尾さんから聞きました。子柴さんも峯岸くんが好きだと。それを私の為に隠してくれたことも。だからここで決著をつけたいんです。どちらが峯岸くんと付き合うか」

「……すー……はー」

あれはやばい。確実に殺される目だ。だが私のあの時の作戦だと思えばすごいもんじゃないか? おい殺すな。その目をそらせ!

「……分かった告白するよ。(噓の)告白をね!」

「佐藤くん助けて」

「自業自得だと思う」

私の味方はいないのか!

てか張本人の健人くん置き去りにされて呆然としてるんだけどね。

「そういうわけだから健人くん。私もあなたのことが好きよ。返事をして」

「え!?」

「お願いします峯岸くん!」

やけにさっぱりである月海。戸う健人くん。けじめを付けようとしてる奧田さん。を、外野から見れば修羅場だと言う事をご存知であろうか。

さあやってまいりました峯岸健人爭奪戦。勝つのは果たしてどちらか! まあ知ってんだけどね。

「何やってんの凜音」

「黙らっしゃい風柳」

実況には軽く憧れてたのよ。

早く決めろ峯岸健人。峯岸健人〜!

「お、俺はその……えーと」

じれったい!! 全員結末分かってんだからさっさとしろや!

「お、奧田……と、付き合いたいっす」

「ん、じゃあそれでいいね」

「え!? それで良いんですか子柴さん?」

「うん。そもそも興味……諦めてたからね」

今興味ないって言ったよな。言ったよな。

「そもそも二人が両思いってことクラス全員知ってたし。むしろ教師からも々むかつくからさっさとくっつけとも言われてたし。

この修學旅行も學校でどうしたらくっつくか會議もしてたくらいだよ」

「「……え?」」

月海のネタバレ。いや〜これ覚えとこ。さんに言ったらいい題材にしそうだし。

「じ、じゃあ子柴さんは最初から諦めて……」

「いや違うよ。そもそも私別にしてないし」

「え? だって尾さんが」

「ゲフンゲフン!! あれ〜なんかの調子が悪くなってきたな〜? 先に戻って休んで」

「そっか〜じゃあ意識を失えば楽になるかもね〜」

ドスッ!! と腹に何かが――あ、月海の拳だわ――當たってそのままブラックアウト。

後日。修學旅行から帰った後は新カップル誕生でからかわれるかもね。と予想していたが

「やっとくっついた〜」

「おせーんだよお前ら」

「どんだけ豆腐メンタルなんだよ健人」

「うるせえ!!」

からかれるというより遅いと呆れられていました。

それで月海はというと腹いせにアダルト系の畫やグッズや寫真やで私をいじめ倒した。そのせいで何回いだことか。

ただこれで高校二年の行事はほとんど終わったも同然だし、やっと読書がまったり出來る〜と、この時の私は思っていた。

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