《引きこもり姫の事~?そんなことより読書させてください!~》引きこもり蟲と凜華
「お〜とちゃん! お〜とちゃん!」
「どうしたの華ちゃん。いつになく上機嫌ね」
今日は十二月二十二日。もう冬ですね。コートが無いと寒くて學校にも行けない。
華ちゃんがはしゃぐのはいつものことだけど今日に限ってはやけに機嫌がいい――ぶんぶん振られてる尾が見える。
「だって〜今日は音ちゃんと二人っきりだよ? オセロとかトランプとかいっぱい用意してあるからね!」
発想が子どもだな〜可いけど。
十六なのになんでこんなに児神なのかって? それは私達姉兄のせい。
まず姉さん達がいれば料理どころか臺所にも立っちゃいけない。
兄さん達がいれば外出より中で人形遊びやボードゲーム。後詳しく言えば月海と麗子姉さんはおめかししたり風柳はご飯食べさせてあげるし、かくいう私もアダルト系な本など見せない。手に取ったりでもしたら即刻取り上げる。
そのせいで今では生粋の箱り娘になってしまった。だから不良を見ても変態のおっさんとか癡漢――これは大丈夫だな。起こる前に誰かが半殺しにしてるから――を見ても「何かの蕓?」と言ってがっつり目を合わせてしまうのだ。
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「そういえば今日は皆出掛けてるね。やっとのんびり読書が出來る」
「え? 遊んでくれないの?」
「遊ぶよ。でも読書しながらでも出來るでしょ」
「あ、そっか〜」と納得して準備を進める。妹よ、疑え。
「じゃあじゃあまずオセロね。その次は七並べ。チェスもやりたい! あとあと」
「華ちゃんやるから落ち著いて」
という訳で私は朝っぱらから本片手にボードゲーム。私と華ちゃんはどちらもこういうのに強い。だから勝っては負けて勝って負けて。
ピンポーン
「誰か來た?」
「宅急便かな? ちょっと見てくるからチェスの位置直しといて」
「うん!」
こんな寒い日に誰だろ。ってかほんとに寒いな。う〜早くおこたにりたい。
「どちら様」
「よう尾」
なんと佐藤兄弟では無かろうか! 鼻まで赤くなって。
「どうしたの?」
「いや、子柴から今日は尾と妹が二人きりだから相手してくれと。二人は不用心なんだと」
あいつまじで絞め殺す。
「それは悪かったね。お茶淹れるからあがってよ」
「ああ」
「お、お邪魔します」
スリッパを用意してリビングに案する。
「音ちゃん誰だった……って健くんと環先輩?」
チェスの駒を並べていた華ちゃんがこちらに顔を向ける。
「こんにちは。遊びに來たんだが姉さんと二人きりが良かったか?」
「いえいえ! あ、じゃあ人數増えたから人生ゲームやりたい! 音ちゃんいい?」
「二人に聞きな」
「いい? いい?」
「ああいいよ」
健くんもこくこく頷いてる。さっきから口數ないけど合悪いのだろうか?
「華ちゃんチェスは片付けていいの?」
「あ、待って! トーナメントしよ!」
「俺ルールしらねえぞ?」
「僕も……」
「えー。じゃあ音ちゃんやろ」
お客ほっぽりだすんかい。仕方ないなあ。
で、多分これで三試合目。
「チェックメイト」
「あ〜ん音ちゃん強い〜」
勝てる戦本を見てましたからね。でも実踐したことないから慣れなかったけど。
「じゃあ人生ゲーム〜」
華ちゃんがテキパキとお金や車を用意する。こういう所は手際が良い。
じゃんけんの結果順番は佐藤くん、華ちゃん、健くん、私になった。おのれ時計回りめ。
華ちゃんと健くんが必死にルーレットを回してコマを進めている。
「お前の家っておもちゃ多いな。そういう系の會社か?」
「いいや。全部華ちゃんがねだって買ったやつ。この子飽きないのよ。他にも將棋とか囲碁とか期からほとんど外に出ずに家で遊んでたから」
引きこもりが増えた? いいえ彼の場合はの方が當たってます。だって進んで家にいるわけじゃないもの。
妹溺者シスコンの正宗兄さんや子姉さんとかは置いとくとしてもいい加減華ちゃんを外の世界に出した方が良いんじゃないかと會議中――桃李兄さんとか吉宗兄さんとか月海とか私とか。
「音ちゃんの番だよ」
「ああうん分かった」
まあ華ちゃんは今のままでも良いか。跡継ぎも勢力爭いよりも華ちゃんは笑ってゲームをしている方が似合うんだから。
後日。
「王手」
「凜音強すぎ! これで何連勝よ!」
「多分七連勝かな?」
月海や風柳と將棋対決。將棋楽しい。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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