《引きこもり姫の事~?そんなことより読書させてください!~》引きこもり蟲の妹の悩み事
「第一回凜華の引きこもりを直そう作戦!」
「前もこんなこと無かった?」
「正宗ちゃぁん。しー」
どうも皆さんこんにちは。寒さが厳しすぎて死にそうな凜音です。
今の月海のセンスの欠片も無い名前でお分かりでしょうが我らが妖――天使とも言う――華ちゃんがお部屋に引きこもったまま昨日から出てこなくなってしまったのです。しかも私のように出なければいけない時は出るみたいなものでは無くマジの引きこもり。
朝ご飯も食べなかった。私はまこちゃんに急連絡されて急いで帰ってきました。
「尾の家って引きこもり質なの?」
「何その質」
「えーだって三人中二人が引きこもってるんだもん。いずれかは真も」
「うん無いからね」
即答。まこちゃんがここまでストレートに否定するのは滅多なことじゃ無いよ。え、そこまで嫌なの引きこもるの。
「昨日は何してたの凜華ちゃん?」
「健くんと遊園地に行くって言ってたよ」
「寫真も送ってきたし」
華ちゃんは絶系大好きだから苦労しただろうな健くん。
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「その健くん? のお兄さんには連絡したの?」
「したよ。だけどあっちもあっちでそっとしてくれって言ってまともに話してくれないって」
「じゃあそうするとまあ」
が絡んでますよね〜。
「健くんって元いじめられっ子よね。文化祭の時遊びに行ったけど禮儀正しいし凜華のこと大事にしてるしさ」
「正直ふしだらなことをするような子では無かったよね。貓かぶっても無さそうだし」
「じゃあやっぱり昨日何かしらで気持ちを伝えて凜華が付いていけてないってことか?」
「考慮した中でそれが一番妥當だろうね」
さてどうしたものかね。華ちゃんは今まで健くんをお友達としてしか見ていなかった訳だしあれで自分の気持ちを整理することが苦手だし。
「……よし。凜音、行ってこい」
「いや何処にだよ」
「決まってんでしょ。凜華の所よ。唯一のリア充なんだから一番話せるでしょ。リア充が」
リア充って言う度に緒不安定になる癖やめませんか月海さんよ。えーでもやだよ私と華ちゃんののレベル違うし引きずるな引きずるなぁぁ!!
「頼んだわよ凜音」
「はぁ。あいあいさー」
諦めて華ちゃんの部屋――というか私達の部屋全部――がある二階に向かう。
「華ちゃん。私とお話しよう」
「……て」
「?」
「今一人にして」
「駄目。明日から學校なんだからせめて部屋の外に出てきなさい。私みたいに問題児扱いにされるよ」
「気にしないもん」
気にしてくれ。三家の問題児は一人で良いんだからさ。
「……華ちゃん」
「何」
「早く開けないと力づくを使わなきゃいけないよ」
「音ちゃん鍵壊せないでしょ?」
「麗子姉さんにバレーボールやらせ……」
バ――――ン!!!! よし。開いた。
「あ」
「お邪魔しまーす」
自分の家だけど一応ね。あら可い。クリスマスでも誕生日でも貰ったものは全部飾ってある。
まあそのせいでしごちゃぁっとしてるけどそれがまた華ちゃんの雰囲気を醸し出していて……あ、線した。
「華ちゃんおはよう。もう午後ですがね」
「……おはよう」
昨日しっかり寢なかったのか華ちゃんの大きな目は充していて隈がくっきり出ててもカサカサしてて……何だか中世のヨーロッパに忘れ去られた人形みたい。
「華ちゃんが引きこもったのって健くんが原因でしょ?」
ビクゥっと分かりやすい程に華ちゃんのが跳ね上がった。
「昨日告白されたとか? 前々から思ってたけど彼、華ちゃんと話す時だけ顔赤くしてもじもじしてたし大分前から好きだったんだろうね。まあお友達と思ってた人に好きなんて言われて急に答えられないのも分かるけど」
「……音ちゃん」
「ん?」
「健くんに」
ベッドの隅にあった熊のぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめる。
「き、キスされちゃったの」
「はぁ。キス」
まあ衝的に――いや駄目なことだけど――したくなっちゃったんだろうね。そんなにずっと前から好きで我慢してたなら仕方が無いっちゃ無いけど。
「ファーストキスならショックだったね」
「ファーストじゃないよ。お兄ちゃん達ともしてるもん。それより」
おいちょっと待てや。私だってまだしてないのに何先に抜け駆けしとんじゃお前ら。
「き、キスしたら妊娠しちゃうんでしょ!?」
「……はい?」
急に何を言い出すんだこの子は。
「だ、だって男の人との人がチュウしたらそのまま赤ちゃんが出來ちゃうんでしょ!」
「……それを踏まえて何故兄さん達とキスをした?」
「兄弟なら大丈夫でしょ?」
うーんこれは私達の責任か? 華ちゃんが不純にならないように必死に誤魔化してきた罰か? ていうか兄弟でも原理は一緒だぞ?
「華ちゃん。キスしても普通は妊娠しないよ」
「え?」
「だって私だってさんとキスしてるけど妊娠してないでしょ?」
「で、でも健くんと人になるって想像つかない」
「未來予知出來るわけじゃ無いんだから想像付くわけないって。自分が思ってることを素直に言わないと」
健くんだって斷られないって斷言してるわけじゃないんだし。華ちゃんは明日學校で健くんと話すと言った。
放課後の屋上。さっぶ!! 華ちゃんはここで告白の答えを出すそうなので私と月海と風柳、それと佐藤くんは屋上の扉に隠れて様子を見ていた。
「そ、そのね健くん。お、一昨日は返事をしなくてごめんなさい」
まずは華ちゃんの第一聲から。健くんも赤い顔でコクリと頷く。初々しすぎんだろこいつら。
「そ、それでね。昨日考えたんだけど。私ずっと健くんのことお友達として見てきたから急に言われてもよく分からないの」
「……うん」
健くんはあまり悲しまなかった。予想してたのかな。
「だからまだ付き合うことは……出來ない、かもしれなくて。でも」
これからはやっぱりの勉強させた方が良いよねうん。このままじゃ逆に危ない人に捕まるし。
「絶対答え出すから! もっと大人になったら健くんを男の子として見れるようになるから。だから待ってて。健くん」
健くんはし悲しそうな顔をした後またいつもの笑顔に戻って泣いている華ちゃんにハンカチを差し出した。
「……健があんなに落ち著いてるの久しぶりに見た」
「まあ華ちゃんに會うとアワアワしてるしね」
「健のが実ると良いな」
「そうだね」
華ちゃん。頑張れ。
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