double personality 第1章

夜が怖い。

自分の中にいるもう一人が這い出てくる。

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【double personalityダブル パーソナリティ癥候群】

思春期にり、通を迎えた男子だけがかかる奇病。

double personalityとは二重人格を指す言葉で、発癥すると発期が周期ごとに訪れ、発期の間は自我を無くし、別人の様になる。

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那月冬李なつきとうりは先月通を迎え、先月自分がdouble personality癥候群だと醫師から宣告された。

未だにハッキリとした治療法が分かっておらず、その場だけの抑制剤を処方され、首、手首、足首、それぞれに発期の際に香る獨特のフェロモンを抑えるためのチョーカーを著ける。

DP病と呼ばれるソレは、発期間にると獣の様になる事から差別や偏見が激しく、発病した人間の社會的立場が弱くなっている。事件に巻き込まれる事も多く、しばしばニュースにも上がっている。

冬李はソレをよく理解していた。

冬李の父親も発癥していて、彼が小學校に上がった頃、フェロモンを抑えるチョーカーを著けるのを忘れた冬李の父は、そのフェロモンに當てられた何者かに殺害されてしまったのだ。

殺され方が余りにも酷く、心に「こんな慘めな思いはしたくない」と思った。

父が死に、母も家を出ていった。

今まで靜かに目立たず過ごしていたのに、あの恐ろしい病が自分にまで及んでしまった。

自分も父と同じ死を遂げるに違いない。病気の象徴であるチョーカーを著けた自分を鏡に寫して目を閉じた。

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