《double personality》episode1

十六歳、このは便利だ。顔をし隠して繁華街に出れば、正直どんな男でも釣れる。

二年前まではこのが怖かった。発期が近付くのと同時に、自分じゃない自分がの奧から出てくるのだ。

でも今は活かしてやっている。弱者のハンコを押された自分でも有利な立場でいられる。

「ねぇ、オジサン僕と遊ばない?」

突っ立っているだけでいい。近付いてきた奴に聲を掛けると、大の奴は値踏みでもする様にを見て、首に巻き付くチョーカーを見つける。

『DPか...?うつりはしないだろうな?』

グッと眉を寄せたスーツ姿の男に満面の笑みを浮かべる。

「そんなの無いから。オジサンがイヤならあっちのおにーさんうし...」

じゃあ、と言って男から離れようとすると、腕を摑まれて引っ張られた。

『いや、いい。いくらだ?』

「んーオジサン次第じゃない?」

にっこり笑ってそう答えると、向かいのホテルに目を向けた。

「僕、いベッドとか無理だから、高いところ連れてってよ、ね?」

元々、此処らはラブホテルが並ぶ通りで、そう言うつもりの奴しかいない。

目の前の男も例外ではないはずだ。

『ふん、贅沢な奴だな...』

鼻を鳴らして先を歩き出した男の橫に並んで、細い腕を男のゴツゴツとした腕に絡ませた。

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