《double personality》episode12

三回ノックをして、ドアを開ける。本當は學年とクラスを言わなければいけないけど、まだ知らないからしょうがない。

「...失禮します。二年の那月冬李です」

名前だけ言えば興味本位で誰か出て來てくれる。そんな考えは甘かった。

わざとらしく聞こえていないフリをしている。デスクに向かって、コチラには大きな背を向けたままだ。

「た、...鷹城たかしろ先生、いらっしゃいますか?」

【ん?あぁ、二年か。鷹城先生?さっきまで居たな。ちょっと待ってなさい】

「さっきまで気付かないフリをしてた癖に」心の中で舌打ちをしながら小太りの男に従う。

正直、目の前でウロチョロしている先生に聞いても全く問題ないのだが、「鷹城」と斷定したからには今更目の前の男に「先生でも構いません」なんて言えなかった。

【あぁ!鷹城先生、ちょうど良かった。彼が先生を探していましたもので。ほら、要件を早く言いなさい】

「あ...」

『あぁ、久し振りだね。半年ぶりかな。私に何か?那月くん』

笑った顔も忌々しい程に整っている。しも崩れない笑顔が、冷たささえも思わせる。

「二年の那月冬李です。クラスをまだ知らなくて、教えて頂けないでしょうか?」

『...へぇ。分かった、良いよ。著いて來なさい』

「...ありがとう、ございます」

小太りの教師に禮をして、先を歩く鷹城の後について行く。冗談でも「私がキミの擔任です」なんて言わないでほしい。

『キミのクラスはココね。』

【ニ年四組】教室の中からは、楽しそうにふざけあう聲が聞こえる。

「...やっぱり、今日は」

『どうした?...震えてるじゃないか』

気遣う聲が実にわざとらしい。冬李の尾骨辺りに添えられた鷹城の手がおしそうにソコをでる。

「ンっ...」

『また可らしい聲を聴かせてくれるね。冬李。可いよ...』

耳元で呟く粘著質な聲が気持ち悪い。

チャイムはとっくに鳴っている。早く中にらないと...。

「たか、しろ...せんせぇ。授業、始まっちゃう」

『今日はもうやめればいい。授業は明日からにしよう...おいで』

手首を摑まれて、そのまま教室を離れる。廊下を真っ直ぐ進んで右に曲がる。し進むと【化學準備室】と書かれた教室がある。

『...って』

「でも、」

『大丈夫。今日はどのクラスもここを使わない。キミが學校に來なくなってからはココを使ってないんだ』

そういう問題じゃない。

鷹城が白く長い教卓をうっとりした顔ででる様にるのを見ながら、そう思った。

『あの時の続きをしよう?』

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