《~大神殿で突然の婚約?!~オベリスクの元で真実のを誓います。》悪戯王の寶玉呪
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「國境まで行って來た。目當ての品はなかったが、土産」
イザークは出された茶を一気飲みして、ガサガサと袋から何やら取り出した。とてもしい蒼水晶が連なっている三連の首飾りに、ティティは惚れ込みそうになった。
「え? わたしに?」
イザークはしっかりと頷いて、ティティの背後に回って首飾りを取り付けた。
「似合いそうだと思ってさ。ラムセス王にはちょっとカマっぽいだろ。お、似合う」
ティティは蒼水晶の鎖を手にし、じっと視線を落とした。好みのステキな裝飾だが。
「け取れない……。わたし、無一文なの」
「婚約の証ってことにしとけばいい。から金は取らないが俺の主義」
「わたし、結婚するとは言ってない。でも、貰ってあげてもいいよ。ねえ、この、彫り込んであるのって太神? 不思議な彫りね。異國のしるし?」
ティティは首飾りの臺座を指した。大きな円は神のしるしだが、周りに放狀の細い線がある。
「太だ。かつて空に浮かんでいたんだと。この世界は何番目かの世界で、神が蔓延る世界だが、太と月はどこかに消えてしまったと聞いた」
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「有り得ない。月なんて、半分埋もれてグルグルグルグル回って泣きんでいるだけの騒音よ。太なんか昇ったら熱くて死んでしまうわ」
イザークは椅子を揺らした。
「ちょっと。椅子をギコギコしないで。お茶、お代わりいる~?」
上機嫌になった自分に気付き、ティティははっと首飾りを見下ろした。
(まさか、これ、呪かかってるのでは……)疑い深く突っついてみる。大丈夫。甲蟲は見當たらない。が、油斷はだ。
「やっぱり返す」言いかけて、ティティは蒼水晶をぎゅっと握った。(惜しい。気にっちゃった)チラチラと窺うティティをイザークが笑った。
「貴にと買ったんだ」聲に、頷いて自己嫌悪。じろぎした弾みで、コン、とスカラベの寶玉が落ちた。(大変だ。見つかっちゃう)とティティは爪先をすすっとばし、す~っと足で引き寄せて、服の中に隠そうとしたが、一足早く、イザークの長い腳がスカラベを蹴り飛ばした。
「あ! 何するの! 大変なのよ! 甲蟲スカラ石ベ作るのって。あ」
イザークは「やっぱりか」とひょいと甲蟲石を抓み、ぎょっと機の壺に視線をやった。蓋を開けた後、引きつり笑いでティティに向いた。ティティはそっぽ向いた。
「も、もしかして……この壺の、俺の大切な寶玉に蟲詰めやがった? おい! これはやっと旅の商人どもから奪った最高級の呪い石なんだぞ! とんだ王だな!」
ティティはしっかりとイザークを見た後、にっこりと笑った。我ながら、これぞ王の素晴らしき微笑みだったと思う。
「家族を奪ったラムセス王は許さないと決めたの。兄モドキを呪ってやるのよ」
「王に呪いなんぞかけてみろ。オベリスクの下で燃されちまうぜ、ティ」
「ティティ! 貓みたいに呼ばないでよ」
イザークは壺を置き、息を小さくついた。
「ラムセスが言っていた。ティティインカ王は神に渉する力を持っていると。まさか、寶玉呪を知っているとは。騒な古の呪だ。どこで、知った」
「知らない。わたしね、生まれた時に、ぎゅっと石を握っていたらしいの。そういう子供は、石の神の子だって言われた。三歳に初めてを使ったの。綺麗な石が出來た。嬉しかったな。それから、母と一緒に勉強して、甲蟲の護、作れるようになったの」
イザークは興味津々の様子で、椅子に斜めがけして、話を聞いてくれた。
「そうか。眼に浮かぶぜ。子供の貴は頬を染めて喜んだのだろうが、俺の寶玉……」
「そりゃあそうよ! ほら、綺麗でしょ? 呪が功するとね、るの!」
「ああ、綺麗だ。でも、俺の、寶玉……」
ほんわかした會話の中、ティティは決意をめた。
(呪と神は、味方だった。だから、今回も上手く行く。ラムセスの本當の魂の名――諱を暴き、スカラベに魂ごと封じ込めて見せる。本當はオマケをつけようとしたけどね。イザークは……保留かな。うん、ほだされちゃった、素敵なんだもの、これ)
歩くと蒼水晶が揺れる。三連の首飾りは、ティティの大のお気にりになった。
ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ
ヤンキーが語ってます。
8 111ほんじつのむだぶん
mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
8 178後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
8 54売れ殘り同士、結婚します!
高校の卒業式の日、売り言葉に買い言葉でとある約束をした。 それは、三十歳になってもお互いフリーだったら、売れ殘り同士結婚すること。 あんなのただの口約束で、まさか本気だなんて思っていなかったのに。 十二年後。三十歳を迎えた私が再會した彼は。 「あの時の約束、実現してみねぇ?」 ──そう言って、私にキスをした。
8 171TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~
ある日、理不盡に現れた神様によってTSさせられてしまった田中 由。 しかし彼の身の回りではそれを境に何故かトラブルが………いや待て、これはどう見ても神様のs………(田中談) さて、田中くんは普通の學園生活を送れるのか!?
8 165いじめられっ子の陰キャJKは自分を変えるため、ダンジョンに挑む〜底辺弱者は枕とレベルアップで強者へと駆け上がる〜
七瀬世羅、彼女の人生は後悔の連続。一度選択肢した人生は巻き戻す事の出來ない現実。 何度だってやり直したいと願い夢見た。その度に砕けそうになる思い。 この世界にはダンジョンと呼ばれるモノが存在し、全ての人間にレベルシステムとスキルシステムが適応される。 まだ謎が多いシステム達、世羅はとある日に〇〇を獲得する。 日頃の生活で培った耐性スキル以外に一つだけ、スキルが増えていた。 それをきっかけに、家の前にあるダンジョンに挑戦する。 ただの高校生だったのに、小さなきっかけでダンジョンに挑む。 そこで見た光景は、想像を超え、そして再び後悔する光景。 なんで來てしまったのか、どうしてこうなったのか、焦る思考の中考える。當然答えは無い。 足はすくみ、腰は抜け、動けないでいた。 恐怖の塊が近づいて來る。自分の彼女達と同じ経験をする──そう感じた時、颯爽と空を飛び恐怖の塊と戦おうとする勇敢な───枕が居た。 彼女の人生は【枕】から始まる。 いじめられっ子からの脫卻、毒親からの脫卻、貧乏からの脫卻。 この世界はレベルシステムにより簡単に強さの優劣が決まる。 分かりやすい世界だ。 あとは、運と実力と、最高の相棒(枕)が居れば十分だ。
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