《~大神殿で突然の婚約?!~オベリスクの元で真実のを誓います。》孤児院の家族 ネフトとサアラ
*2*
「ネフト様、サアラ様! みんな、長が戻られたぞ!」
巖場を直進すると、今度は砂礫。絶壁の真下に辿り著く頃、サアラの肩を借りていたイザークが気を取り戻した。海面すれすれの絶壁。踝くるぶしくらいまでを海面に浸らせながら、一行は海の中を進んだ。
やがて歪曲した白い骨を刳り抜いたようなが見え始めた。
「海樹だ。海に生える貴重な木で、聖なる黃木とも言われている。中を刳り抜いて住まいを作った。ルウに聞く限り、コブラの汝、呪師とお見けした」
(コブラの汝……)ティティは肩までの髪の中央を膨らませているから、ちょうど攻撃するコブラのような後姿になる。イザークがまた笑った。
「――あんな市街地でマアトの呪いを発してはならぬよ」
急激に低い聲でサアラは呟き、また人の良さそうな笑みを浮かべ、「そうそう」と足を止めた。
「我が孤児院の家族となったからには、働いて貰うよ。タダ飯は喰わせない」
――波の予がした。
*3*
「こら、やめなさーい!」ティティは捲られたスカートを押さえ、を出た平臺で干し竿を持って子供を追いかけ回していた。
ティティとイザークが〝國境なき孤児院〟に厄介になってから、數日。「仕事をしろ」とサアラに言われ、ティティは洗濯班に、イザークは料理班に加わった。
ある程度の育った子供たちがせっせと洗い終えた洗濯を運んでは、張り巡らせたロープに干してゆく。落としたり、喧嘩したり、大層賑やかだ。
「ふふ、賑やかね、ティティインカ。あたしの服、似合っているわ」
「ネフトさま! ……すいません、ご厄介になっちゃって。あの……この子供たちが全員親を裁かれているんですか?」
ネフトは頷くと、巖場に腰を掛け、遠くを見詰めた。
「ある國が國ごと裁かれてね……。ここにいる子供たちは全員親や兄弟をマアトに奪われた子供。マアトの裁きの後には、必ず子供が殘される」
ティティとネフトの合間を穏やかなと風が走り抜けた。
「今日のは穏やかね。よく乾くわ。ティティ、神の手で生きるも死ぬも決まる。こんな世界、どう思うかしら」
曇りひとつない、澄んだ瞳。穏やかな溫かい火のような落ち著いた眼が、優しくティティを見下ろしていた。ネフトはティティより背が高く、王宮で見かけてもおかしくないほどの気品がある。まるで神だ。
「ごめんなさいね。気まぐれの戯言よ。子供たちを頼むわ。でも、呪は駄目よ」
頷きながら、ティティは大きなリネンをばーんと広げた。
(わたしも、あんな素敵なになりたい。この世界は嫌いだ。でも、イザークがいる限り、一人じゃない……大切だって言ってくれるイザークが大好き)
〝大好き〟聖刻文字では、心臓イブを現す文字。想い描いてどきんとした。
「落ちたわよ、ティティ」ネフトの聲に慌ててかき集めて、水樽に突っ込んだ。「ティティ?」背後の聲を構わず、顔を一緒に水樽に突っ込む。
(い、イザークは関係ない! こ、この世界があろうかなかろうが、一人だもの)
ラムセスを討つ。魂の名前――諱――を知る。それが目的なはずだ。イザークなんか、いざとなれば……。
(違う違う! どうでもいいのよ、イザークは! そうじゃないの!)
ざばりと顔を上げると、口が苦い。頬が熱いが、水飛沫が滴ってよく分からない。わたしの頬は熱しているのか、冷えているのか。もうわからない。
「ネフトさま」泣き聲になった。自分の心が滅茶苦茶になって、どうしようもない。
「世界が酷ければヒドイほど、伴の良さを思い知る。當然の話よ。水草が口に飛び込んでも気付かないほど、逢いたいのね」
ネフトはティティの不安を寸分違わず返して來た。
(すごい。本當に神さまみたいに、わたしの言いたい事項を答えてくれる)
「お話、聞くわよ? 言いたいことは、吐き出さないと心が死んでしまうわ。ね?」
ティティはゆっくりと頷いた。バランスを取るなら今しかない。そんな予だった。
うちのダンナはぽっちゃり男子
ダンナからのお許しが出たので、書いてみることにしました。 「ぽっちゃり男子」であるうちのダンナの生態と、我が家の日常をのんびりと書いてゆく所存です。 難しい言葉なし。 関西弁。 おやつやすきま時間のお供に、のんびりお楽しみいただければ。 たまに挿絵が入ります。 ※カクヨム・アルファポリスにても同時公開しています。 挿絵のあるページのサブタイトルには、※を入れていきます。
8 72後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
8 54小説家の作詞
作者が歌の詩を書いてみました。 どんなのが自分に合うか まだよく分かってないので、 ジャンルもバラバラです。 毎月一日に更新してます。 ※もしこれを元に曲を創りたいと いう方がいらっしゃったら、 一言下されば使ってもらって大丈夫です。 ただ、何かの形で公表するなら 『作詞 青篝』と書いて下さい。 誰か曲つけてくれないかな… 小説も見てね!
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8 197戀した魔法少女~生まれ変わった魔法少女が、15年ぶりに仲間と再會する~
「あの時死んだ魔法使い、佐倉町子は私だよ!」 二〇世紀も殘り僅かとなった時代。 大魔女から力を授かり、魔法使いになった五人の少年少女が居た。 最初こそテレビのヒーローのように、敵を倒して意気揚々としていたが、楽しいことばかりは続かない。 ある日、魔法少女の一人・町子は、不可解な行動をする仲間を追って戦闘になり、この世を去る。その魂が蘇った15年後の世界で、彼女は仲間だった魔法使い達に再會して-ー。 仲間との年齢差・約16歳の、記憶と戀が求める未來は? ※過去に新人賞用で書いていたものです。以前カクヨムにアップしていました。 完結済み作品なので、毎日更新していけたらと思っています。 よろしくお願いします。
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