《~大神殿で突然の婚約?!~オベリスクの元で真実のを誓います。》エピローグ を駆け上がったその先に
*エピローグ*
「何故かカルナヴァルに飛んだのよね。多分、イザークの諱があったからじゃないかなと。今も思い出しちゃうね。ラムセスのあの瞬間」
今でも、神殿の玉座の前に突然現れた親友と妹を見つけた、兄ラムセスの驚嘆の顔は忘れられない。
しかも、ラムセスは椅子からもんどり打って……。
(あれは、あれで。いいもの見たわ。イザークの呪いも解けた。父母が無事な以上、ラムセスへ呪をかける必要もない)
変わらないアケトアテンの風景。ほっとするぬくもりにすり寄った。
遠い世界はどこに繋がっていたのだろう。空のような、自分の奧深くのような。
今ではその記憶も薄れつつ在る。
戻って、一番にティティとイザークを包んだは太のだ。人々が當たり前のようにノ下で生きている世界。ラムセスは〝晝〟と呼び、白い月が昇ると〝夜〟と呼んでいた。
どこか遠くに置かれた天秤の景は瞼に焼き付いているが、どこだったのか。
「ティティ、気になってるんだが、何かを産むって言ったよな。貴は子供を産んだら、俺を放置しそうだ」
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イザークの表が微妙。
「子供に妬くの?」悪戯っぽく聞くと、「當然」と帰って來た。
(イザークの諱は〝溺〟。では、わたしティティインカの命の聖刻ヒエロ文字マガグリフはなに?)
ティティはイザークの手を握りしめて、寢臺に橫になった。手にヘンなの守り。
「オベリスクの呪まで扱ったのに、ちっぽけな甲蟲石が出來ないなんて」
「理由が知りたいか?」イザークが出逢った時のニヤニヤ笑顔で問うた。
「教えない。一生、モヤモヤしていろ。その度に、俺は俺の為すべき事項が出來る」
イザークはふっと笑うと、ティティインカの額にを押しつけた。
「為すべき事項って」
質問が意外だったらしい。イザークはあっちみて、こっちみて、言い切った。
「ティティを、し続けるって決意だなっ! い、行くぞ!」
「し続けてくれるの? ずっと、ずぅっと一緒?」
「――ああ。もう理を探す必要もねえよ――」
合わさったが証拠とばかりに熱く蠢いた。
――自分の存在を刻みたい、背中に手を回し、二度目の衝撃をしっかりけ止めた。
(どうしよう、好き。大好き、なんか、好き。王子だとか王だとか関係なく。ずうっと一緒、ずーっと一緒にいたい。もう、おかしくなっちゃいそう。好きだらけだ)
「ちゃんと、心臓、あるね。トクトク言ってる」
イザークの鼓はティティよりしばかり早い気がする。おしい鼓に手を當てて瞼を閉じる。いっぱいになったイザークへの想いをどう堪えよう――。
を駆け上がる。魂がどこかへ消えてゆきそうなくらいに。
――手放した意識の彼方に罪人海が視えた。鳥のマアト神の姿。神は背中を向けている。
(マアト神!)
戻れなかった悪諱たちを連れ、遠くの世界へ飛び立とうとしていた。クフの姿もある。
(あ、マアト神が人型に戻った。ゆっくりとわたしに振り向く……)
『――を超えよ。歴史が始まろうとしている兆し。太神國エジプトだ。汝の両親はそこで汝を待っている――……』
――え? 墮ちた白の中。脳裏はやけにはっきりとしていて……。
(これが最後の呪師ティティインカの、神への渉だ。文言のなかったマアト神)
「イザーク……、太神國、エジ……プ、ト! そこにね……今、神……さまの聲が」
聲にならなかった。ティティの震えるに、イザークは何度もいつかのように口づけを繰り返す。手からいつしかスカラベは転がり落ちていた。
「行ってみるか? テネヴェを超えた、その先の大地へ。二人で」
「太神國、エジプト。うん、行ってみたい。貴方とを紡ぐによい場所よ、きっと」
再び、訪れた甘いの業火に焼かれそうになった。イホメトの諱は〝溺〟。
いつだってわたしはイザークのに溺れさせられる。ええ、喜んで溺れましょう。
月が夜空に昇っている。當たり前が、當たり前でなかった。この悲劇を忘れない。
「何億年後、太があって、月があって、貴方がいて――またマアトに呼ばれたりして。その時、天秤は釣り合っているのかな……ちゃんと、釣り合うか、な」
もう一度、スカラベを見る。
(変な……まあ、いいか。この、モヤモヤ、大切にしよう。わたしの心だもの)
二匹のスカラベは、共にサアラの銀とネフトの赤を混ぜたようなに変していた。スカラベは変容して、やがてはマアトと同じ、黃金に変わる。
やがては辿り著く太神國エジプトにて。
ティティインカが、エジプト王妃、ネフェルティティ(世界を変えた)と呼ばれる未來。
新しい家族も加わった、本當の幸せな日々を築く兆しはまもなく訪れる――。
《了》
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