《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》19話 梅雨時の異変

梅雨時の異変

1

6月3日月曜日。

昨日まで降り続けていた雨は朝には上がり、雨雲の間からは2日ぶりの日が差していた。

天気同様、俺と絵里との関係も明るくなればなぁ。

「剣也、今日は六限で終わるしどこか行く?」

登校中、隣を歩く蘭華が問いかける。

喧嘩をしてしまったのは蘭華の留學が原因だからかなんか話しにくい。

とは言うけど、別に蘭華自に何一つ問題がある訳でわない。

気にしたら負けだ。

俺はいつものじで言葉を返そうとする、が。

「ご、ごめん。き、今日は、ちょっと、よ、用事があって。さ、先に帰っててくれ。わ、悪いな」

揺し過ぎだろ俺。

本當に気にしたら負けである。

昨日、問題解決のためのきっかけを探るためにある人を訪ねると決めた。

そのため、放課後は空けておかなくてはならない。

「そうなんだ〜。うん、分かった!ってか、剣也なんかおかしくない?」

「べ、別に〜。平気だよぉ!あはは」

焦りの表を隠そうとわざとらしく笑う。

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「なら、良いけど」

その人に相談を持ちかけるのは別にいいのだが、その人怖いからなぁ。

その人のこと、思い出すだけでも鳥立つよ。

さぁどうしようか?

2

「うーっす、剣也」

「お前、誰だっけ?」

「いや、毎日會ってるだろ。普通、友達のことを1日で忘れるか?」

岡部 半彌。クラスメイトで男子で最も仲の良い友達。

「いやお前さ、自覚ある?出番ないんだから、目立っとけよ」

「出番?何のことだ?」

彼は、蘭華と喧嘩した時以來1度も話に出てきていない。

まぁ裏話はどうでもいい。

「いや、こっちの事だ。気にするな」

教卓から見て、1番前で1番右の自分の席に腰を下ろす。

そして対角線を結んだ先にある絵里の席の方に視線を向ける。

頬杖をついて、視線は機の方に向いている。

の出す雰囲気には、周りの人は気付いているようで、誰も挨拶どころか近づこうともしない。

そんな中、1人のの子が彼の元に向かった。

よりによって蘭華だった。

「おはよう、絵里ちゃん」

「うんー、おはよ」

聲がとてもだるそうだった。

何やら様子がおかしい。

「どうかした?」

「ちょっと、朝から熱っぽくて…」

風邪だろうか。

最近は気候の変化が激しいからなくはないか…。

「だ、大丈夫?」

「様子みて、保健室行くよ。私、トイレに行くね」

「分かった」

絵里は立ち上がって、教室から出ていった。

「お前さ、あっちの方ばっか見てどうしたんだよ?」

「いや、何もない。気にするな」

「そんな事言ったら尚更気になるだろ?」

「いいから自分の席に戻れよ」

「もう授業か〜」

そう言い殘して半彌は自分の席へと戻っていった。

それから3分後、授業のチャイムが鳴ったが絵里が教室に戻って來ることは無かった。

3

晝休み。早めに弁當を済ませてある教室へ向かった。

その教室とは2年生の教室。

「ここが2年2組か…」

1つ學年が上なだけなのに、異世界のようにじる。

大人の雰囲気を生徒1人1人からじられる。

そんな中に、別格のオーラを纏まとった生徒。

窓側の1番後ろの席に座っている、その生徒こそが目的の人

とりあえず、近くにいた子生徒に聲をかける。

「あの〜、狹間先輩呼んで頂けますか?」

「え、は、狹間さんですか?…嫌だなぁ」

なんか最後のほとんど聞こえなかったけど、いい言葉では無さそうだった。

噂通りその彼は、クラスメイトからも敬遠される生徒だった。

「お願いします」

それにじず深くお辭儀をしながら頼むと渋々けてくれた。

「狹間さ〜ん!お客さんだよ〜」

しばらくして、本人が廊下に出てきた。

黒髪ロングの髪型で、獨特な雰囲気を漂わせた彼

狹間 玲先輩だ。

「あぁ、君か。何か用でも?」

「あの、今日の放課後に相談したいことがあります。いいですか?」

先輩はちょっと驚いた表だ。

「まぁ、今日は6限で家に帰っても暇だったからな。分かった。待ち合わせは喫茶店でいいか?」

「はい、ありがとうございます。では、予習もあるのでこれで失禮します」

俺は教室へと引き返していった。

放課後になり、俺は一目散に喫茶店へ向かった。

結局、絵里は教室に1度も戻ってくることはなくお晝の時間帯に早退して行った。

余程調が悪かったのだろう。

喫茶店に著いた俺は、先輩の姿はないか確認する。

すると案の定、先輩は待っていた。

こういう時、必ず先に來ている所は尊敬すべき點だろう。

「ごめんなさい、先輩。遅れました」

「いや、別に。私が早く來すぎただけだ。特に気にするな」

でも俺は授業が終わってすぐに來たつもりだったんだけど…。

ってか、このやり取り前にもしたことがあるような…。

「そう言えば、君とここで話をするのはあの時以來か」

「そうですね」

2人から告白されて困っていた時のこと。

先輩は、弟から俺の様子がおかしいと伝えられ何があったか聞き出すためにここに呼んだのだ。

そしてその様子を勘違いで、変な風に思ってしまった蘭華と喧嘩をしてしまった。

その時以來になる。

「あの時は悪かったな」

「いえ、別に気にしてませんよ」

もう、過去のことだ。

本當に気にしてなどいなかった。

「それで、相談とは何だ?」

「そうでした、では早速」

長々と経緯を話すと先輩は納得した。

今置かれている狀況がまずいことを。

「悪いな」

いきなり先輩が謝った。

に覚えがない。

「何で謝るんですか?」

「元はと言えば私が悪いんだ。君が通事故で院していた時の話で…」

俺が院していた時、蘭華は當時の先生から留學してみたらどうだという話をもちかけられた。

本人は行く気だっただが、親が反発。

昔から付き合いのあった先輩に相談をしたそうだ。

留學すべきか、否か。

その時に、先輩が出した答えが蘭華の意思を尊重する意見だった。

そのため、もし先輩がそのような意見を出していなければこんなことにはならなかったのだという意味を込めて謝ってきたという訳だ。

「先輩。自分が先輩の立場でもそうしていたと思いますよ。だから謝らないでください」

「すまない…」

その後、俺は先輩にどうすれば対処できるか尋ねた。

そして、今後どうすればいいか大の検討がついたところで、話を終わらせようとした。

「先輩、ありがとうございました!おでどうにかなりそうです」

「そうか。役に立てたなら良かった。あ、そうだ。これからは君のことを苗字で読んでもいいか?知っている人のことを君と言うのも不自然だからな」

「そうですね、分かりました。蔭山でお願いします!」

「ありがとう、蔭山。頑張れよ」

「はい」

相談事は何とか解決に近づけることが出來た。

しかし長く話したため時刻はもう6時を過ぎている。

俺と先輩は喫茶店を出てそれぞれ家へと帰っていった。

先輩のおで解決しそうになったこの問題。

でも絵里に気持ちは伝わるのだろうか…。

殘された問題はそこだけだった。

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