《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》24話 喜満面
喜満面
1
『トントン』
ドアをノックする。
午後9時を回ったのでノックの音が廊下によく響く。
ここは308號室。
つまり、蘭華と絵里の部屋である。
『ガチャ』
中から風呂上がりと思われる蘭華が出てきた。
「あ、ごめん。わざわざ呼び出して。って!」
俺は中へと案される。
俺達の部屋とは違いちゃんとツインなので2つベットが置いてある。
俺は蘭華のベッドにちょこんと座る。
「で?話って?」
俺は話があると言われたのでわざわざ1つ上の階の部屋までやって來た。
俺が質問すると備え付けの椅子に座っている蘭華がいきなり目を伏せた。
「うん。ちょっとね…」
「どうした?」
「普通に話したいの。絵里ちゃん、寢ちゃったから」
蘭華の視線の先はもう1つのベットに向いている。
その先には絵里が半彌同様、旅の疲れで寢ている。
「そうか。俺の部屋も丁度半彌が寢た所だったから…」
そう言うと、2人の間に沈黙が生まれた。
こういう時何話せばいいんだ?
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多分2人とも同じことを思っている。
いつも一緒に登校する時はこんなことにならないのにな…。
長く考えた末、ようやく思いついた。
「なぁ、蘭華」
「何?」
「明日はどこに行く?」
「すぐそこにある海に海水浴に行こうと思ってる。あそこの海はすごく綺麗だよ」
「エメラルドグリーンだよな」
「うん。すごく楽しみだなぁ」
こういう何気ない話も旅先では何故か特別にじられる。
また沈黙。
話があまり続かない。
「ねぇ、剣也」
今度は蘭華の方から聲をかけてきた。
「私、やっぱりやったら駄目なことしようとしてるよね…」
多分留學の件だろう。
「蘭華自、行きたいと思ってる?」
「もちろん、行きたいよ」
なら行けばいい。
そう言おうと思った。
だけどどこかに躊躇いがあった。
自分自、別の思いがそれを邪魔していたから。
「なぁ、この話は止めておこう。せっかくの旅行だし、楽しい話しよう」
「そ、それもそうだね」
その後、俺達は中學時代や高校生活の事で盛り上がった。
気が付けば日をまたいで午前1時。
蘭華の目がしょぼしょぼしてきていたので、そろそろお暇しようと玄関へ向かう。
その時だった。
「待って!」
「え?」
俺が振り返ると俺のに飛び込んできた。
どこか弱々しい蘭華が。
「どうしたんだ?」
よく見ると、彼の目には薄らと涙が浮かんでいた。
「行かないで…」
「いや、2度と會えない訳じゃないし」
「じゃあ、俺は戻るからな」
そう言うと、蘭華は更に強く抱き締めて來た。
おい、が當たってるって!
は、恥ずかしいから止めろ!
「なんでいてしいんだ?」
「だって、私…」
そう言うと、蘭華は顔を上げた。
涙が溢れて、顔が赤くなっていた。
「ずっと剣也と話をしていたいもん」
俺と一緒にか…。
ふっ…。
不思議と笑いがでてくる。
「なんで笑うの?」
「嬉しいこと、言ってくれたからだよ。でも、また明日話せるだろ?明日じゃなくて今日か…」
そう言うと、蘭華は涙を拭って微笑む?
「そうだね。うん、ごめん。変なことしちゃって」
「いや、別に」
俺の神は壊れそうだったけどな。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ、剣也」
俺は308號室の扉を閉め、自室へと戻った。
2
午前1時半。
眠いはずなのに寢れない。
なんだろうか、この舞い上がる気持ちは。
多分、抱きつかれた時からじている気持ち。
それにがドキドキしていて治まらない。
何か全がムズムズしている。
そういった気持ちが頭を占領していたので眠れなかった。
俺は、周りのしの明るさもシャットアウトするように布団の中にった。
「いや〜、よく寢た!」
俺は起きてすぐにカーテンを開けた。
ん?どういう事だ?
外は何故か暗いのだ。
攜帯を見てみると、時間はなんと午後8時を指していた。
どうやら疲れ過ぎていて寢てしまったらしい。
『ガチャ』
風呂場の戸が空いた。
半彌がっていたのだろうと思っていた俺は、その出てきた人を見て驚いた。
バスタオル1枚だけの姿の風呂上がりの蘭華。
「あ、剣也?起きた?」
「いや、起こせよ!ってかなんて格好してるんだ?それになんで俺の部屋で?」
ツッコミどころが多すぎて困る。
すると蘭華は衝撃の発言をする。
「あれ?剣也が呼んだんでしょ?」
「は?」
「剣也、さっきまで起きてて電話で私を呼んだよね?」
「え?」
いやずっと寢てたけど。
「それで、『俺と一緒に寢ないか?』ってってきたから來たんだけど…」
「どういう事だ?」
そんな弾発言、俺には出來ない。
「寢ぼけてるの?もう…」
寢ぼけてない。俺はちゃんと起きてる。
「ねぇ、剣也。やる?」
「いや、何を?」
「え、エッ…」
「やめろ!言うな!や、やるわけないだろ!」
そんなこと出來るわけない。
というかそんな度ない。
「で、でも…。私はしたいんだけど…」
し、したいだと?
こんなの蘭華じゃない…。
夢なら覚めてくれ!
「はっ!」
俺はベットから落ちて床に頭を打って目を覚ました。
「ゆ、夢か…。だよな。そんなこと言ってくるやつじゃないし…」
多分疲れ過ぎているんだ。
時計を見ると朝6時。
朝食まではまだ1時間以上ある。
俺はもう1度寢ることにした。
こうして、俺は2日目を迎えた。
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