《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》34話 矢の如し

矢の如し

1

矢の如し』

月日は矢の如く早く進んでいくという意味の言葉である。

まさにその通りである。

つい最近夏休み始まったかと思うと、もう既に後半。お盆を迎えている。

そして今日、8月15日。

終戦記念日でもあるこの日は、この地域の夏祭りの日でもある。

この地域の夏祭りは、家の近くの神社で行われ毎年人で賑わっている。

その場所は、毎年多くの人が參りに來る名所でもあり、最近ではかなり有名になってきているとか。

夏祭りでは多くの屋臺が出ており、祭りの終わり際には花火も上がる。

まさに夏の風詩のオンパレードである。

そんな夏祭りのために、8月10日から課題を進め今日まで頑張ったのだ。

絵里と半彌が來た日の次の日からは死ぬ気で勉強漬けの日々。

おかげで手首が痛い。腱鞘炎けんしょうえんなったかもしれない…。

まぁ、その努力のかいもあり今日という日を無事迎えられたのだ。

今年は、誰かにわれない限りは妹と行こうと思っていた。

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実際に昨日の夜、妹とそんな約束をした。

だが、今日の朝のこと。

絵里から電話があった。

『もしもし?剣也君?』

「うん、俺だけど?」

『今日、一緒に祭りに行かない?』

一瞬悩んだ。

妹と約束していたので、斷ろうと思ったのだがなんか斷りにくかった。

なので、

「分かった」

と返しておいた。

妹には後で謝りに行かなくちゃな。

『蘭華ちゃんも一緒だけど、良いよね?』

「分かった。じゃあ4時に家に來て。家から近いし」

『分かった。じゃあ後でね!』

という事で、4時に俺の家に來る。

ただ、男1人だとなんか寂しかったのでどうせ1人でいるであろう半彌に電話をれると、

『うん、行くよ!』

との事だったので、4人で一緒に行くことになった。

その後、俺は妹に謝り部屋で時間になるまで寢ることにした。

こんなやり取りがあって、4人で行くことになった。

そして今は午後3時45分。

約束15分前になっていた。

2

「こんにちは〜!」

という聲が玄関の方からした。

妹は既に友達をって祭りに出かけているので、家には誰もいない。

仕方なく、下に降りる。

「こんにちは!剣也」

という蘭華の聲。

後ろには絵里もいる。

そして更に後ろには半彌が隠れている。

「何で、こいつが居るの?」

絵里が『何てことをしてくれた!』という事を目で伝えてくる。

「どーも!」

半彌が軽い挨拶を俺にしてくる。

すると、

「あんたは黙ってろ!」

という激しい言葉を口にすると半彌はシュンと沈んでしまった。

「男子一人じゃ心細いから、俺がったんだよ」

俺が言うと、半彌の表は一気に明るくなる。

「なら、良いけど…」

絵里がし拗ねたじの仕草をする。

こんな絵里も悪くない。

「それより、2人とも浴似合ってるよ!すごく綺麗」

蘭華の浴は、全的に水で所々に花火の模様が描かれている。

一方絵里は、全が紫と青の2で描かれていて、多の花がちりばめられている。

2人とも、浴がよく似合っていた。

更には下駄も履いてきていて、一層夏っぽさが演出されていた。

「ありがと」

「ありがとう、剣也君」

と、2人とも照れながらそう言っていた。

とりあえず、玄関で長話をするのも良くないので部屋に上がってもらう。

祭りまではまだ1時間くらい余裕があるのだ。

「上がりなよ。まだ時間あるからトランプでもしない?」

「いいね!やろやろ〜!」

と、蘭華が1番最初に乗ってくれた。

「お前、弱いからなぁ〜」

蘭華のトランプの技はどうにもならないほど酷い。

だから1度も負けていない。

「と、特訓したんだから絶対に勝つ!」

「楽しみだな」

俺と蘭華の間に火花が散った所で、他の2人もえてトランプをすることにした。

こうして、俺たちはトランプで適當に時間を潰した。

もちろん結果は、蘭華の全敗でした。笑。

3

午後4時45分。

開始15分前になったのを時計で確認した俺は、みんなを連れ出して祭りへと向かった。

そして、徒歩5分で目的の神社に到著した。

100段くらいある階段の下からでも、鳥居の奧の盛り上がりが伝わってくる。

俺たちは、100段の階段をゆっくりと登った。

次第に大きくなっていく人々の聲が、俺の高揚を促進した。

それは、俺以外の3人も同じなのだろう。

近づくにつれて、階段を登るスピードが上がっていた。

そして、登りきった後。高揚が最高點に到達して、早く屋臺を回りたいという気持ちが全面に表れた。

たこ焼きや、焼きそばなどの定番の屋臺から流れてくる匂いが、食べたい衝を抑えられなくする。

更に金魚すくいや的などの屋臺が、子供心をくすぐっていた。

毎年、毎年來ているこの夏祭り。

でも、今年はどこか特別にじられた。

何故かは、よく分からない。

だけど、いつもより楽しみが大きいことは確かだ。

だから、俺は登りきって休憩している今の僅かな時間が勿無い。

そう思えた。

とても我慢が出來そうにない俺は、3人に聲をかける。

「早く、行こうぜ!腹減った!」

「うん、そうだね!行こっか!」

蘭華が俺の呼び掛けに、同意してくれた。

それに続いて、絵里と半彌も同意してくれた。

4人を包み込んだ、大きな高揚に背中を押され俺たちは子供のように屋臺へと走り出したのだった。

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