《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》35話 躓く石も縁の端

躓く石も縁の端

1

家の近くである、夏祭りに俺、絵里、蘭華、半彌の4人で來ていた。

100段もある階段を登り、今は屋臺を回っている。

定番の出店が、道の両端に多く並ぶ。

その間を、人の隙間を上手く抜けながら歩いた。

去年來た時よりも人は多いだろうか。

今年の方が歩きにく印象がある。

きっと、この夏祭りが広まりつつある証拠なのだろう。

場所によっては、屋臺が減っていく祭りだってあるだろうが、この祭りにはそんな気配がない。

鳥居の場所から約100メートルも続く屋臺を1つずつ見て回る。

この時間にもなると、お腹が空く人も多いのだろうか。

食べの屋臺に並ぶ姿が多く見られる。

実際、俺達が神社に著くまでに蘭華と絵里は焼きそばとフライドポテトを購していた。

屋臺の切れ目、つまり神社に著いた俺たちはどこか座れる場所がないか周りを見渡す。

「あったよ!」

見つけたのは、蘭華である。

行儀が悪く、座る前から焼きそばを口いっぱいにれていた。

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蘭華が見つけた場所は鳥居側から見て、神社の右側。

絵馬が掛けられている所のすぐ側にある木のベンチ。

「どっこいしょっと」

爺さんみたいな聲を出すのは、半彌だ。

蘭華と絵里が大量に買った食べをずっと持たされて歩いてきたのだ。

そんな聲をらすのも頷ける。

「なぁ、俺の分はあるのか?」

「無いよー!」

「いや、買っておいてくれよ…。買ってくるわ」

蘭華にサラリと無いと言われたので、俺はもう1度立ち上がり1人で屋臺の方へと戻っていった。

1人でのんびり歩いていた俺は何を食べようか考えていた。

焼きそばを食べるか、それともお好み焼きを食べるか…。それともたこ焼きか?

今のお腹のすき合で丁度良さそうなのは、お好み焼きだ。

豚玉の上に、たっぷりとネギが乗った500円のお好み焼きを買った。

熱々のお好み焼きからは、食をそそるいい匂いが流れてくる。

実際、お好み焼きは自分で作った方が安いのだが祭りだと無に買いたくなる。

作っている様子を見たり、出來た商品を見るとすごく味しそうに見えるのだ。

値段が高くても買いたくなる。

それを見越して、多値段を高くしている店の人は頭がいい。

俺がベンチに戻ってくると、蘭華と絵里の間に既にスイーツの花が咲いていた。

クレープ、チョコバナナ、かき氷。どれも祭りの定番のものだ。

どれだけお金を使うつもりなのだろうか…。

まぁ、彼たちが幸せそうなのでそれはいいとしよう。

一方、半彌は1人で黙々と唐揚げを摘んでいた。

俺はその寂しそうな姿を見て、隣に座った。

「どうした?元気ないけど…」

どこか元気がないのだ。

普段の半彌であれば、『あのの足が細くて良い!』だとか『あのくないか?』とか言ってくるのだが、今日はあまり無い。

「いいが全然いない…」

「それは殘念だな。でも本番は花火だからそれまでにはもっと人集まってくるだろ?だから諦めんなって!」

それを聞いた半彌の顔は一気に明るくなる。

暗闇に螢が途端にだしたかのように。

「それもそうだな!よ〜し、食べ終わったことだし遊びに行くか!」

急に立ち上がった半彌は、俺の左手を摑んで引っ張る。

一緒に行こうということなのだろうか。

でも、さっき來たばっかりでまだお好み焼き半分しか食ってないんだけど…。

俺がし抵抗すると、半彌はさっきより強く腕を引っ張る。

「ちょっ、分かったって!お好み焼き食べたら行ってやるから待てって!」

「早く食べろ〜!綺麗なが俺を呼んでいるぜ!」

とおかしなことを言っている半彌をよそに俺は黙々と味しいお好み焼きを平らげだ。

そして、まだ食べている蘭華と絵里をベンチに置いて再度屋臺の中へと向かった。

2

まず最初に、手を出したのは缶倒し。

見た目はすごく近くにあって楽勝だと思うのだが、そこには大きな落としがある。

聞いた話によると、野球部の人がやっても難しいほど缶に重たいおもりがっているらしい。

半彌が300円を払ってやってみるも、殘念ながら失敗。

倒れた數は3個で、選べる玩は百均で売ってそうな安っぽいものだった。

半彌は悔しそうだったが、底におもりがっていることに気付いて諦めた。

続いて、的に向かった。

的は、俺の得意分野の1つだったので挑戦しようと思っていた。

俺は、半彌より先にやることにした。

屋臺のおじさんに、銃と弾を用意してもらい早速始めようとする。

『パーン!』

この音は俺の銃の音ではない。

左橫の人がやった音だ。

見事に當たりを倒していた。

どんな人が當てたのかなぁと、左橫の人に視線をかした。

ピンクっぽい髪の

その髪のの特徴ですぐに誰か思い出した。

沖縄旅行で助けた、桃山 実咲だ。

何故ここに居る?と聞こうと思ったが、俺の視線に気付いた彼が先に話しかけてくる。

「あなたは、確か…。沖縄で私を助けてくれた…」

「蔭山です!覚えていてくれましたか」

「えぇ、もちろん。命の恩人ですからねー。驚きました。まさかここら辺に住んでいる人だとは…」

「それはこちらの臺詞ですよ。桃山さんがここら辺の人だとは思わなかったです…」

桃山さんは、確か旅行で沖縄に來ていたと行っていた。

まさか同じ地域の人だとは誰が想像しただろうか…。

俺が仲良く彼と話していると、何やら考え込んでいる人がいた。

半彌だ。

確か、半彌は桃山さんという人と飛行機で會ったと言っていたが…。

まさか、この桃山さんなのか?

「まさか、あなたまでここの人だとは…」

々呆れ気味だ。

それもそうである。

飛行機で半彌は桃山さんにナンパしていたのだから。

印象がいいはずが無い。

「桃山さん?桃山さんですか?もう會えないかと思ってました!」

どうやら思い出したようだ。

「私は2度と會えなくて良かったんですけど」

「そんなぁ…。ってか何で2人とも知り合いみたいに話してるんですか?」

「あなたにお話する必要なんて無いです」

桃山さんの半彌を見る目はまさにゴミを見る目である。

相當嫌いらしい。

「それより、蔭山さん」

「ちょっ…」

何か言いたそうな半彌の言葉を遮る。

「よろしければ、一緒に回りませんか?1人で來たので。こんな人が一緒なのはし気が引けますが、蔭山さんが居れば大丈夫です」

「うん、分かった。けどちょっと待ってね」

お金を払ったのだ。的をやらないわけには行かない。

何発か売ったが、當たらなかった。

どうやら去年のはマグレらしい。

隣にいた桃山さんは気を使ってくれて、

「1つあげます」

と、景品のキャラメルを手渡ししてきた。

俺はありがたくけ取った。

「じゃあ行こうか」

そう促して、俺は桃山さんと一緒に鳥居の方へと歩き始めた。

半彌は酷いことを言われてショックなのか、立ち盡くしている。

「あなた行かないの?まぁ、行かないのならこちらとしては好都合なのだけど」

「行くよ…。行くよ!」

半彌は渋々後からついてきた。

どうやら、桃山さんは半彌のことが嫌いらしい。

後ほど、半彌と何があったのか聞こう。

そう思いながら俺は屋臺街を回り始めたのだった。

ところで同じ頃、蘭華と絵里。

この2人はまだ食事を終えていなかった。

「まだまだ行くよ〜!」

威勢のいい蘭華の聲に、絵里が右手を突き上げて、

「お〜!」

と応える。

その後、彼達は再びスイーツを買いに出かけたのだった。

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