《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》37話 一寸の軽んずべからず

一寸の軽んずべからず

1

夏祭りが終わり、しばらくは何もない普通の時間を過ごした。

親戚の家に行ったり、家族と買いに行ったりで普段はあまり出來ないことを楽しんだ。

今日は8月25日。

新學期まであと1週間となり、しずつ夏休みは終わりに近づいている。

夏休みが終わりに近づくと、大抵の生徒は課題が『終わらねぇ!』となるところだが、ほとんど終わってしまっているのでその心配は全くない。

寧ろ、暇を持て余しているくらいだ。

昨日も予定がなく、家でテレビを見たりゲームしたりゴロゴロしたりしていたが、2日連続ともなると飽きて退屈になってきた。

午前9時の外は、し暗め。

空に厚い雲がかかっていて、今にも降り出しそうだ。

天気がいまいちパッとしないように、テンションもいまいちパッとしない。

何か打開策はないのだろうか…。

『ドッドッドッ…』

下から階段を上がってくる音が聞こえる。

恐らく香だろう。

何かあったのだろうか?

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かなり足早に階段を上がっていた。

『コンコン』

ドアを2度ノックされた。

その後、香が堂々と部屋にってくる。

「お兄ちゃん、デパート行こう!」

「は?」

走っきたからか、息が弾んでいる。

ってきて最初の言葉がこれだ。

驚きの聲の1つも出るだろう。

の服裝から判斷する限りでは、もう行く準備は萬端といったところだろうか。

白のワンピースと白いスカートといったかなり清楚なコーディネートだ。

薄化粧もされていて、その點に気を遣っている所を見ると隨分大人のに近づいたなぁと実する。

香は、軽く息を整えてから話を続ける。

「デパート、行くことになったの。狹間さん姉弟と」

「絶対行かない!」

「な、何で?」

「姉弟ってことは、弟も著いてくるんだろ?俺、あいつ嫌いだから」

狹間 玲の弟、狹間 宏誠とは春頃に絵里が泊まりに來ていた時に初めて會った。

その時香と仲良さそうにしていたのが許せない上に、『お兄さん』と、まるで未來の『お義兄さん』であるかのように話しかけてくることに苛立ちを覚えていた。

妹と仲良くしているを許せないのは、ただの嫉妬です。はい、極度のシスコンですね。一応自覚はあります。笑。

ということで、宏誠が來る限りは行きたくないのだ。

すると、香はこう言う。

「別に悪い人じゃないよ。多分、優しい所は一緒なんだと思う。が繋がってるし」

まぁ実際、悪いことをしてきてはいない。

ただ、妹と仲良くするのが許せないだけなのだ。

それと妹よ。狹間先輩のことをお姉さんと言うな。お義姉さんに聞こえるから。

「…」

「さっき玲さんから電話があってこの話になったんだけど、玲はどうしてもお兄ちゃんに來てしいって言ってたよ」

先輩が本當にそう言っていたのなら仕方ない。

いろいろな面で助けられたから、そういう小さな頼みを拒む権利はない。

それに俺が行かないと宏誠が調子に乗って妹に手を出すかもしれない。

それを阻むためにも行くべきなのかもしれない。

「仕方ないな。準備するから玄関で待ってろ。10分後に行くぞ」

「10時集合だから極力急いでね!遅れたら悪いから」

「はいはい」

俺がそう返事を返すと、香は部屋を去った。

家にいても、退屈だったので丁度良かったのかもしれないな。

そう思いながら、俺は素早く準備を進めた。

2

電車で一駅移した俺たちは、集合場所の駅東口前のベンチに座っていた。

東口には、大きなバスターミナルがありバスに乗ろうとするスーツ姿の人が多く見られる。

そして、バスターミナルの奧には都會ならではの景が広がっていた。

家電量販店が多く立ち並び、高層ビルや高いマンションが都會の雰囲気を演習していた。

時刻は集合時間5分前。

駅の方角を見てみると、2人並んで歩いてくる姿を見つけた。

「早かったな。悪いな、いきなり遊びにったりして」

「いえいえ」

玲先輩の言葉に香が丁寧に言葉を返していた。

ここに遊びに來ているということは、優の仕事はないのだろう。

玲先輩のそばを通る人々は、優のしさに惹かれていた。

優としては、まだまだマイナーな方かもしれないが魅は十分ある。惹きつけられるのも無理はない。

「お久しぶりですね、お兄さん」

宏誠だ。

都會の中心部に遊びに行くにしては、かなり軽い服裝だ。恐らく、涼しさを重視したのだろう。

「誰だっけ?」

「あ、名前忘れられましたか…。改めて、狹間 宏誠です」

「いや、知ってるし。ただ登場機會なすぎて忘れかけてただけだから」

事実、約30話くらい宏誠の登場はない。

登場して來なくても、俺にとっては好都合だから良いけど。

「登場機會?」

「いや、それはこっちの話だ。で、デパートに何しに行くんだ?」

デパートに行くとは伝えられているが、何をしに行くかは特に聞いていない。

「買いじゃないですかね?」

「いや、何で疑問形?お前知らないのかよ」

「自分が計畫したものじゃないので分からないです。姉に聞いてください」

宏誠はそう言って視線を姉に向ける。

その姉、玲は香と子トークに花を咲かせている。

視線に気付いたのだろうか、こちらに視線を移した。

「どうした?」

「何しに行くのですか?」

「買いだよ」

「何を買うつもりですか?」

「まだ決めてないよ。行ってから決める」

決めてないんかい!

と心の中でツッコミをれておく。

「あ、バスの時間だ。行くぞ」

と、先輩は起立を促し4人でバスに乗車した。

ちゃっかり、話をそらされた気がしたが…。

まぁ、いいか。

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