《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》38話 の心は貓の目
の心は貓の目
1
バスに揺られること15分。
目的地のデパートに到著した。
駅前よりも、高い建が多い気がする。
人の賑わいも半端ではない。
「デパートに著きましたけど、どこから行きたい場所思いつきました?」
そう言うと、先輩が何か閃いたかのようなリアクションをとる。
「そうだな、1度行きたかったところがあるんだ」
「どこですか?」
「まぁ、著いてからのお楽しみだ」
そう言った先輩は先に店へとっていく。
そのすぐ後ろを3人がついていった。
って、ここは…。
『ニャ〜』
『ワン!』
泣き方で分かるだろう。
ここはペットショップだ。
「先輩飼いたいんですか?」
「買いたいと飼いたいの意味両方で言ってくるとは、なかなか上手いな」
「いや、そんなつもりで言ってないですよ」
「そうだな。単純にが見たいんだ。家で飼う気はないし、買っても世話できる気がしない」
どうやら、好きらしい。
見た目からは想像出來ない趣味だな…。
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「じゃあ、私は犬と貓のコーナーに行ってくるから蔭山たちは好きにしてくれ」
「えっ…」
いや、連れてきておいて放置かよ。
コーナーだけに野放しにすんなよ!
って俺、上手くね?
先輩は、スタスタと犬貓の鳴き聲がする方へと歩いていった。
そしてその後ろを、
「玲さん!私も行きます!」
と言って香も行ってしまった。
殘されたのは男2人。
それも、俺の妹とイチャイチャしている小坊主と一緒なんて…。
まぁでも、ペットショップの前で立っていても面白くない。
せっかく來たのだから、ペットを見て行くのも悪くないだろう。
「俺もペットショップで時間潰すけど、お前はどうする?」
「お兄さんについて行きます!」
「だからお兄さんって言うな」
 「分かりましたよ、お兄さん!」
「おい!」
俺の注意に応じない宏誠はし前を歩いて、
「行きましょう!」
と、俺を促してくる。
なんとも生意気な後輩だ。
「待ってろ、今行く」
俺は、仕方なく宏誠と一緒に熱帯魚コーナーへ向かった。
2
さすがデパートの中にあるペットショップだ。
犬や貓といった定番以外にも、ウサギやモルモット、カブトムシ、クワガタなどもたくさん取り揃えてある。
他には、亀やインコなどもいる。
一種の園なのではないかと思うほど、たくさんの種類がいた。
おかげで、鳴き聲がうるさい。
俺たち2人は、ペットショップの奧の方にある熱帯魚コーナーに來ていた。
他のペットに比べて熱帯魚は実にいいものだ。
何しろ、鳴かないのだから。
靜かで見ていて心が和む。
ただ、飼うとなるとヒーターや水槽を買わなくてはいけないらしく大変だという。
だとしても、見ている分にはその必要がない。
定期的にこういう場所に來れば、お金もかからないから、まさに無料で飼っているようなものだ。
「おい、お前はこういうのは好きか?」
なんか難しい顔をしていたので、聲をかけてみた。
「ゴールデン…、シルバー…、カッコイイ名前!」
「お前、聞いてんのか?それに以外の名前言えてねぇよ」
確かに、熱帯魚の名前は格好いい。
シルバーアロワナとかガーといった名前は、日本名じゃないからこそのかっこよさをじる。
「あ、自分は生き好きですよ」
さっきの質問に遅れて答えてきた。
どうやら聞こえてはいたらしい。
「へぇ〜」
「でも、ペットは嫌いですね」
「どういう事だよ」
好きなのに嫌い。
矛盾している。
それを分かっていて言っているのなら、何か理由があるはずだ。
宏誠は、グッピー水槽へと視線をかす。
「とか、魚とか、生きは大好きです。でもこうやってペットショップに売っていることが自分は嫌です。普通なら人のいない、自然という空間に生きていますよね?」
「そうだな」
「自由にびびとした生活を彼らは送れるはずです。その自由を人間達が奪ってしまう。そういう事が、自分は嫌です。ペットに関わらず園や水族館も自分は大嫌いです」
話を要約すると、ペットたちは普通なら何にも縛られる事の無い自然に住んでいる。その自由を人間が奪っている。それが許せない。そういう事だ。
まぁ、共できる部分はある。
確かに、人間が同じ生きの自由を奪うことは良くないことだ。
もし自分がその立場だったら嫌だ。
でも、必ずしもその達が嫌とじるとは限らない。
場合によっては、そっちの方が幸せなことだってあるだろう。
甘やかされる生活を好むかもしれない。
だから俺は一概にはそう言えないと思う。
「お兄さんはどう思いますか?」
「そうだな、俺はペット好きだよ」
「自由を奪うことをお兄さんは容認するんですか?」
「まぁな」
宏誠は、グッピー水槽からアロワナ水槽に視線を移す。
俺もそちらの方を見ると、アロワナはに合わない小さな水槽でありながらも優雅に泳いでいた。
ペットのなど分からないが、どこか楽しそうにも見える。
さっき、餌を投されていたからだろうか…。
「何でですか?」
「ペットにとって、それが幸せな事なのかそれとも不幸な事なのか。絶対、どっちかということは言いきれない。それは俺達がその立場に実際立ってみないと分からないことだ」
「…」
「お前もいつか分かるさ。必ずしも答えは1つでは無いってな。それはペットの件だけの事じゃなく、人生も同じだぞ」
「…」
俺はこの數ヶ月で學んだ。
蘭華の留學の件で、必ずしも答えは1つで無いと分かったのだ。
それはこのペットの件でも同じだろう。
宏誠は、考え込むようにして視線を落とす。
そして顔を上げてこちらを見てくる。
「先輩」
「??」
い、今確かに先輩って言ったよな。
聞き間違いで無ければ…。
「お前…」
「これからはお兄さんじゃなくて、先輩と呼ばせてもらいますね」
「なんだよ、いきなり…」
「お兄さんは、自分の人生の先輩だと今実しました。だからそう呼ばせてください!」
確かに年上だから、事実上人生の先輩だが…。
まぁ、お兄さんと呼ばれるよりはマシだろう。
「分かった…。勝手にしろ」
「はい!」
人生の先輩を見つけられたことがそうとう嬉しかったのだろうか…。
宏誠は、さっきまでの暗い雰囲気を消し去っていた。
テンションが上がった宏誠は、スキップしながらペットフードのコーナーへと消えていった。
人生の先輩ね…。
俺にとって、人生の先輩はお前の姉だよ…。
それから30分、適當に回ってからペットショップを出た。
そして、お腹が空いたからと香が行きたいと言ったファミレスへと足を進めた。
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