《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》39話 賽は投げられた
賽は投げられた
1
香の提案で、俺達4人はファミレスへ來ていた。
このファミレスは、近くにあまり無い。
西洋風の料理がメニュー表に多く見られる。
ピザ、パスタ、パエリア、グラタンなどポピュラーなものが多い。
とりどりの食べの寫真はどれもが食べたいという気を起こさせる。
「先輩何食べます?」
「そうだな…。このドリアでも食べるかな」
とメニューを指さしている。
グラタンの濃厚さと、ピラフとの相がなんとも言えない。
「お前は?」
と宏誠を見ると真剣にメニューを選んでいた。
そして、姉と同じようにメニューを指す。
「あ、自分はパスタにします」
挽たっぷりのミートソースパスタか…。
トマトの酸味がなんとも言えない。
「で、香は?」
「うーん…。私も同じスパゲッティで」
さぁ、俺はどうしようかな…。
無難に、パスタかな。
オススメのチーズたっぷりカルボナーラにしよう。
「みんな決まったなら、店員さん呼ぶよ?」
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「あぁ、よろしく頼む」
そう、先輩がオーケーを出したので呼び出しボタンを押す。
すると、宏誠が俺に話しかけてくる。
「自分がオーダーします!」
おいおい、目立ちたがり屋かよ…。
「あ、そう。じゃあよろしく」
『注文をどうぞ』
バイトだろうか。
大學生くらいの若いが聲を掛けてきた。
早速、香が注文する。
「ミートドリアン1つと…」
お前な、それはトロピカルフルーツだよ。
あんな臭い果に、とか相悪すぎだろ…。
店員は思わず苦笑いをしていたが、どのメニューかは分かるので伝票に書いていく。
「ミートソースパスタ?スパゲッティ?を2つ」
まぁどっちも同じ意味だけど…。
ってか、メニュー表見てたら普通間違えないだろ…。
また店員が苦笑いしている。
「それと、チーズたっぷりカルボナーラを1つで。以上です」
今度は何も無かった…。
なんか期待しちゃった…。
その後店員は、きちんとメニューを読み上げ廚房へと向かった。
こいつ、思ったよりも馬鹿なのか?
でももし馬鹿とか言ったら、その橫にいる剣の王が黙ってないだろうな…。
とんだシスコンだよ…。人のこと言えないけど。
2
その後、それぞれ食事をして次の場所に向かった。
別に行きたい場所もないらしいので、俺がある場所を提案したのだ。
ゲームセンターだ。
目的地に著いた俺たちは、それぞれメダルを買いに向かった。
このデパート、何でもあるらしい…。
ゲーセンだけじゃなく、カラオケとかもある。
どうやら1階から5階までが買いする所で、それより上は娯楽施設みたいだ。
ゲームセンターは、昔からよく行っている。
中學の時は、友達とよく通ったものだ。
メダルを何100枚も買って、地道に貯まる金魚すくいみたいなゲームで遊んでいた。
あのゲームしてたら、コイン無くなる気がしないんだよなぁ…。
「なぁ、蔭山」
「うぁっ!」
ビックリしたぁ。
俺1人かと思ってたのに、後ろにいたとは…。
先輩だ。
「どうしました?」
「私、あんまりこういう所に來ないから一緒に遊ばないか?」
優になってからはもちろんのこと、それ以前からも來ていないのだろう。
その理由は、まぁ格から考えれば明らかだろう…。
「分かりました。じゃあとりあえずメダル買いましょう」
「あ、あぁ」
先輩は、財布から3000円取り出しメダル換機にれていく。
今は、サービス期間らしく3000円で500枚買えるらしい。
「蔭山、半分にしよう。殘り半分はお前にやる」
「本當ですか?」
「まぁ、突然ったんだしそれくらいのお禮はさせてくれ」
でも、1500円も奢ってもらうのは気が引ける…。
まぁここは有難くけ取るのがいいだろう。
「分かりました。ありがとうございます」
「で、この後どうする?」
「とりあえず、オススメのゲームあるので行きましょう」
「分かった」
もちろん、向かうのは昔からやっている金魚すくいのゲームだ。
4人同時プレイが可能なゲーム機には、椅子が4つ置かれている。
その2つに並んで座る。
ルールはいたってシンプルなものだ。
1つのポイにつき、1メダル消費する。
ゲームの畫面に出てくる金魚を自分がポイを作してとる。
メダルの獲得數はその金魚に応じて代わり、獲得數が多い金魚ほどすくうのが難しい。
だが、所詮はゲーム。
実際の金魚すくいのように、ポイを近づけると逃げるということがないのでかなり難易度は低くなっている。
更に金魚のきがほぼ一定で、金魚同士が重なる時がある。
それをすかさず狙いにいくのがコツだ。
とりあえず、俺は一通りルールを説明して試しに自分がやって見せることにした。
1番簡単な、和金と呼ばれる赤い金魚が重なったところを狙う。
結果、3匹同時にゲット。メダルが3枚手にった。
「なるほどな。やり方は分かった」
「じゃあ、早速やりましょう」
「待て。普通にやっても面白くないから勝負しないか?」
先輩はとてもやる気のようだ。
「いいですね。では、1時間後により多くのメダルを集めた方が勝ちということで良いですか?」
「分かった。では、始めだ」
こうして、賽は投げられた。
出だしから俺は調子がいい。
メダル2枚の出目金を2匹どりして稼いでいた。
こっそり橫を覗くと、先輩はメダル3枚の蘭鋳ランチュウや、稀に現れるスッポンを狙っていた。
メダルは5枚と、稼ぐにはもってこいだ。
そもそもスッポンは金魚じゃないのだが…、とやる度に思う。
開始15分もすれば、メダルはまさに山のようになっていた。
橫をチラッと見ると、驚くことに俺より多い…。
どうやら數ないチャンスは逃さずに捕らえていたみたいだ。
『♪ボーナスタイム〜』
という音が機會の方からする。
ボーナスタイムとは、あまり現れない特殊な金の金魚を4人で數匹集めると起こるボーナスの事だ。
そのボーナス期間中、蘭鋳とスッポンしか出ない。
ここでしっかりと稼がないと逆転出來ない。
俺は、重なりを見定めてボタンを押す。
だが、あまり上手くいかない。
難しい魚ばかりなので、しっかりとポイの真ん中で魚を捕えないといけないのだ。
一方の先輩は、一匹一匹を確実に捉えるという方法に作戦を変えていた。
ここら辺は流石だなと思った。
開始から30分後、香と宏誠がメダルを分けてしいと言ってきた。
始まった時は2人あわせて500枚だったはずが、いつの間にか1000枚は超えていた。
流石に、多すぎて邪魔だと思っていたし帰るまでに使い切れないと思ったので、それぞれ250枚ずつ渡した。
勝負はまだ続きているので、いちいち1枚ずつ數えるのが面倒だった…。
結局、勝負は先輩の勝ち。
初心者であるにも関わらず、練者に勝つとは…。
完敗だった。
場合に応じて作戦を変えていたのが、勝利に繋がったのだろう。
「先輩強いですね…」
「ゲームはあまりしないのだが、これはとても楽しかった」
「先輩、このメダルどうします?」
この1時間で、香たちには1000枚ほど渡したはずだが、それでもまだ1000枚殘っていた。
俺の質問を聞いた先輩は、いきなりメダルのったれを抱えて歩き出した。
その方向を眺めていると、近くにいた5人の子供たちに話しかけていた。
「このメダル、私要らないから」
そう言ってメダルのれを手渡すと子供たちが嬉しそうな顔をして、
「ありがとう、お姉ちゃん!」
とお禮を言っていた。
その言葉を聞いた先輩は、自然と表が緩んでいた。
本當、いい人だなぁ。
そう思えたひとコマだった。
その後、メダルが空になって悔しがっていた香たちを連れてこのゲームセンターを離れた。
次はどこに…。
まだ時刻は午後3時だ。
「先輩、どうします?」
「せっかくだから、もっと遊ばないか?」
そう言う先輩の表は、さっきの事があってからとても楽しそうだった。
「そうですね」
「じゃあ、行くぞ」
と珍しくテンションが高い先輩は俺たち3人の先頭にたち早歩きでエレベーターへ向かった。
「早く來いよ!」
という弾んだ聲を聞けて嬉しいと心の中で思いながら次の場所へと向かった。
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