《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》45話 敵の存在
敵の存在
1
9月10日。
學校祭の準備は開始から1週間ほど経った。
3日の出來事以來、西島との間には何一つ進展はない。喧嘩以前の狀態と対して変わらず接している。
一方でクラスの模擬店。ほぼ毎日のように行なっている會議でそれなりに決まってきている。
毎度、進展をクラスの方に報告しても異論は全く出てこない。それほどいい案を出せている。
上手くやれば、他クラスに勝てるかもしれない。
そして、豪華景品を獲得できるのだ。
そうなれば俺の株だけでなく西島の株も上がるので、彼にとってもいいことになるだろう。まさに一石二鳥だ。
朝登校して1限の開始を待っているところ。
開始まであと30分もある。
いつもは15分前に著くのだが、蘭華が早く學校で予習をしなければいけないと言い出したので慌てて早く來たのだ。
その蘭華は、必死に數學の予習をしている。こういう真面目なところがあるから績が良いのも頷ける。
普段の言は極めて馬鹿丸出しだが。
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俺はジュースが飲みたい気分になったので、廊下に向かう。
今の時間帯は、登校してくる生徒が多い。そのため廊下も々歩きにくい。
「あ、蔭山さん。おはようございます」
「おはよ」
その聲を聞いて俺は1年3組の教室の前で立ち止まる。
正面にの子が1人立っていた。
ピンク系の長い髪の。
背中の1つ縛りが特徴のこと言えば分かるだろう。
聲の主は桃山さんだ。
學校では、會うのも話すのも初めてかもしれない。
「初めて制服姿を見たよ。沖縄の時は制服姿を見れるなんて想像もしてなかったよ……」
「酷いよ。私は蔭山さんのこと知ってたのに」
「ごめんごめん。あまり他クラスの人と関わらないから……」
「まぁ、今こうして話せるので文句は無いけど」
「ところで、桃山さんのクラスって模擬店は何するの?」
桃山さんのクラスは1年3組。
他クラスの報を知って損は無い。
「アイスクリームだよ。3種類あるんだけどね、バニラとイチゴとブドウと……。まぁ私の好みを無理矢理通して貰ったんだけどね」
「もしかして、運営の仕事してるの?」
「う、うん。私、部活とか特にってないし暇だったからやることにしたの。それと私たちのクラスの學級會長がすごくやる気でね……」
1年3組の學級會長、原はら 爽樹そうきは學年では超熱で名が通っている。
負けず嫌いなため、今回も相當やる気になっているのだろう。
「それを見て私もこの際頑張ってみようって思ったの」
「まぁ、そうだなお互い頑張ろうぜ」
「も、もしかして蔭山君も?」
「そう。俺は西島にわれてだけどな。桃山さんみたいに立派な理由じゃないよ」
「私は別に……」
桃山さんは頭から湯気が出るのではないかと言うくらい顔を赤くしていた。照れているのだ。
こんな面もあるんだな……。
「とりあえず、負けないからな!」
「私も、負けないように頑張る」
「じゃあ、俺はジュース買いに行くわ」
「うん。またね」
そう言った彼は顔の近くで優しく手を振っていた。
そして優しく微笑んでいた。
俺は止めていた足を再び進めた。
2
7限目まで特に何も起こらずいつも通り時間を過ごした。
そして迎えた放課後。
珍しく會議はないと西島に言われていたので、早めに帰ることにした。
玄関に著くと、蘭華は傘を持って壁に寄りかかっていた。
外は今にも雨が降りそうな空模様。
午後5時の空にしてはかなり暗かった。
それと同じように蘭華の表も暗く見えた。
「どうしたんだよ、蘭華。元気無さそうだけど?」
「何でもないよ!」
そう言った彼の表は一瞬で明るくなった。
何かのスイッチがったかのように、素早くれ替わる。
「じゃ、行こうぜ」
「うん!」
2人足並みを揃えて歩く。
特に付き合っているわけでもない。でも傍から見れば間違いなくカップルに見えているだろう。
登下校を2人で、ほぼ毎日しているのだから。
そのため々と変な噂がたったりしたが、馴染と言えば大抵治まった。馴染という関係はなんと都合がいいのだろうか。
「雨、降り出しそうだな」
何気ない話題をふる。
「うん、そうだね」
素っ気ない返事が返ってくる。
いつもとは聲のトーンが違う気がする。
気のせいだろうか。
俺は1つ聞きたいことがあった。
西島の事だ。
「なぁ、蘭華」
「何?」
「西島ってどんな奴なんだ?」
「西島君?」
もしかしたら俺のじている西島と、蘭華のじている西島では差があるかもしれない。
それを聞いておきたいのだ。
「真面目で、優しくて、勉強が好きで……。そんなじかな?」
今日の蘭華の聲はあまり弾まない。
天気のせいだろうか。
蘭華のイメージと俺のイメージに差は特にない。
多分、俺たち2人のイメージがほぼ同じなら他の人も同じようにじているだろう。
約1週間前、彼は俺にこう言った。
『君が思ってるほど人から信頼されてないから……』
もしこの印象が正しいなら明らかに矛盾することになる。
真面目で、優しい人間が信頼され無いはずがない。
あるとすれば、信頼を失った。信頼を失うようなことをした。
一彼に、何があったのか。
やはりこれを知らないことには始まらないのだ。
「西島って、信頼されてると思うか?」
「なんでさっきから西島君のことばかり話題になってるの?」
「いや……」
「別にいいんだけどね……」
彼のこの言葉には、何か裏がある気がした。
西島の話をどこか嫌がるような言い方。
深く詮索してしくないような言い方。
もしかしたら、この問題の鍵は彼にあるのではないか……。いや、深く考えすぎか……。
「ごめん、剣也。変な空気にしちゃったね。元気出していこうよ!」
蘭華のテンションはいつも通りに戻っていた。
「あ、あぁ」
「さぁ、家へレッツゴー!」
そう言った後、俺たちの間に會話は無かった。
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