《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》49話 久しぶりのあの場所

久しぶりのあの場所

1

カラスの鳴く聲は夕方の空によく響く。

その靜かな校庭を歩き始めた。

「もう日が暮れるね」

蘭華がこんな話題を持ちかけたのはいつ以來だろうか。

久しぶりに楽しい會話になりそうだ。

「そうだな」

「明日もいい日になりますように……」

蘭華はそう小さく呟いた。

明日もっていうことは今日はきっといい日だったのだろう。

仲直りできたことは、蘭華にとってもすごく嬉しい事だったのだろう。

「なるだろうな。明日も明後日も、そしてその先も」

「うん、そうだね!剣也といればそう思えるよ!」

そう言って蘭華はスキップし始めた。

余程楽しいのだろうな。

「ねぇねぇ、剣也!」

「なんだよ?」

「話の続きしようと思ってたけど、また今度にしない?」

蘭華が何故そう言ったのかは、彼の表を見ていればよく分かった。

楽しい気分を臺無しにしたくないんだろう。

そして、その気持ちは俺もじていた。

今は楽しい時間を存分に楽しむことがきっと大切なのだ。

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「分かったよ。なぁ、蘭華」

「ん?」

「喫茶店でも行かないか?久しぶりに」

変なじになって以來、2人でどころか1人でも行っていなかった。

だから久しぶりに行きたいと思ったのだ。

「うん!楽しい話いっぱいしよっ!」

「あぁ……っておい!」

蘭華は思いっきり走っていった。

『パンケーキが待ちきれない!』って言いながら。

勢い余って途中躓いてたけど、そんな所を見るとやっぱり蘭華はこうでないとって思う。

スカートめくれて見えそうだぞ!というのは敢えて言わないでおこう。笑。

「ちょっと待て!危ないぞっ!」

俺は走って追いかけた。

下り坂の途中転びそうになりながらも足を止めなかった。

楽しい気持ちが足を前へ前へと進めたからだ。

そして楽しい気持ちと同時に、今まで抱えていたけどよく分からなかった気持ちが浮かび上がってきた。

一緒にいたい。

いて楽しい。

もっと仲良くなりたい。

もっと疎遠なものだと思っていたこの気持ち。

でも思っていたよりは近にあった気持ち。

俺は彼をしたのだ。

「俺は蘭華のことが好きだ」

長く考えていた気持ちがようやくハッキリして、俺はとてもスッキリしていた。

その爽快が俺の足を更に前へと進める。

「まて、蘭華!」

そうんで俺は蘭華の向かう喫茶店へと向かった。

2

「はぁ〜、疲れたぁ!」

「遅い!」

全速力で走った俺よりも速いとか、どんだけパンケーキ食べたいんだよ!

で追いついた頃には、息を完全に切らしていた。

「早く行こっ!」

「分かったから引っ張るなよ!」

蘭華が腕を引っ張ってくる。

俺は無理矢理腕を剝がした。

そして休憩を取ろうと思ったが僅か數秒だけで強制終了させられた。

今度は蘭華が背中を押して無理矢理喫茶店にらせたからだ。

俺は仕方なくなされるままに喫茶店へとっていった。

『いらっしゃいませ〜』

この聲聞くのも久しぶりだな……。

さぁどこへ座ろうかな?

……。

ん?

あの黒髪ロングってまさか……。

「あれ?蔭山と蘭華じゃないか……。偶然だな」

口から1番近い席に座っていたから聲がかかる。

仕事のため學校を暫く休んでいた狹間 玲だ。

「せ、先輩?仕事は?」

「終わって今は1人でゆっくりしていたところだ。ここに座れよ」

と、1テーブルに4つの席が設置されている場所に座る。

蘭華は先輩の橫に。俺は先輩の正面に座った。

「どうやら仲直りしたみたいだな」

「え?」

「なんで知ってるの?狹間っち」

先輩は新學期初日から今まで學校には來ていない。

知っているはずのない報だ。

「皆田さんから聞いた。喧嘩したって」

「そういう事ですか……。何とか仲直り出來ました」

「それはよかったな。もうすっかりカップルみたいだな」

っ!

口に含んだ水を吐きそうになったじゃないか……。

危ね……。

『ぶっ〜!』

水飛沫がこちらに飛んでくる。

飛んできた方向を見ると、蘭華が思いっきり吹いていた。

飛行機の時に誰かさんに嘔吐された時よりはマシだけど汚い……。

「つ、付き合ってない!」

「ごめんごめん。冗談だよ」

「冗談キツイよぉ!」

蘭華はちょっと拗ねた表で、先輩にちょっかいを出している。

そんな表がとても可らしく見えた。

「先輩いない間、々大変だったんですからね!」

先輩がいない間相談できる相手が居なくてとても困っていた。

問題1つ解決しようと思えばまた新しい問題が出てくるので、正直大変だったのだ。

まさにモグラ叩きのように。

いや、モグラ叩き自は得意で特に問題ないんだかな。笑。

「すまなかったな。お詫びにというのはなんだが、今日は奢るよ。だから好きなものを頼んでもいい」

それを聞いた蘭華の目はこれまでにないほど輝いていた。甘い好きだからなぁ、蘭華。

先輩、知りませんよ?

財布が空になっても。

「本當ですか?」

「あぁ、もちろん」

じゃあ、俺もそうさせてもらいますね!

新メニューのメープルパンケーキを思いっきり食べられると思ったらよだれが出てきそうだ。

「狹間っちの太っ〜!」

「おい、太じゃなくて太っ腹だろ?」

俺が素早く突っ込む。

どこかで聞いたようなボケだが、まぁいいか。

「わざとだよ。だって狹間っち、別にお腹太くないし」

「例えだよ、例え。先輩は太ってないよ。ですよね?先輩?」

そう言うと、先輩はすごく焦っていた。

まさか、太った?

「っ!さ、最近太ってきてるけどまだ太っ腹って程ではない……」

「そ、そう言えば太ったかもね!だって赤ちゃんいるのかなってくらいになってるもん!」

そう言った蘭華は先輩のお腹を手でって確認している。

危ねぇ、また吹き出しそうになってしまった。

「ま、まぁそんなことは置いておいて好きなもの早く注文したらいい」

「あ、話逸らしたなぁ!狹間っち!」

「い、いいから頼め!」

先輩は珍しく困っていた。

そんなに太ったことにれてほしくないのだろうか。

外見ではちっとも変わってないから気にする必要なんてないのに。

まぁそんなことはさておき、俺と蘭華は満足いくまで甘いを注文した。

そして、先輩の財布はほぼ空になったのだった。

「予想外……」

先輩は會計が済んだ後に1人でそう嘆いていた。

先輩、ありがとうございます!

そしてこれからもよろしくお願いしますね!

相談相手としても、俺たちの財布代わりとしても。笑。

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